最近、高齢者による「交通死亡事故」がたびたび報道されます。そして、原因のほとんど(8割程度)は「ブレーキとアクセルの踏み間違い」というものでした。
1.高齢者の交通事故件数の実態
漠然とした印象としては、以前は若者による交通事故が多かったですが、最近は高齢ドライバーによる交通事故が急増しているように見えます。
しかし、実態はどうなっているのでしょうか?
(1)年齢階層別の交通事故発生件数(免許保有者10万人当たりの件数)
警察庁の交通事故統計表の平成30年のデータによれば、概略次のような順位になっています。
①16~19歳(平成20年:2500件、平成30年:1500件)
②20~29歳(平成20年:1250件、平成30年:750件)
③80歳以上(平成20年:1000件、平成30年:625件)
あとは、④70~79歳、⑤30~39歳、⑥50~59歳、⑦40~49歳、⑧60~69歳ですがこの年齢層はほとんど差はありません。
交通事故の件数は、過去10年間で大幅に減少しており、年齢層別の順位も変わっていません。
(2)年齢階層別の交通死亡事故発生件数(免許保有者10万人当たりの件数)
しかし「死亡事故」に限ってみると、様子が変わってきます。
平成29年のデータ(年齢層は「5歳刻み」)ですが、これによると、
①85歳以上:14.6件、③80~84歳:9.2件、④75~79歳:5.7件 (①③④合計で29.5件)②16~19歳:11.4件、⑤20~24歳:5.2件となっています。
あとの年齢層は2.9~4.1件でほとんど差はありません。
これによってわかることは、「75歳以上の高齢ドライバー」による「死亡事故」の件数が突出して多いことです。
2.高齢者限定免許とは
このような深刻な事態を受けて、政府が高齢者向けに「安全機能車の限定免許」案を検討しているとの報道がありました。
限定免許で運転できる車の条件は今後関係省庁で詳細を詰めるそうです。具体的には、「踏み間違い時の加速抑制機能」や「衝突などの危険を察知した際の自動ブレーキ機能」を備えた車種などを想定しているようです。
3.「自動ブレーキ」などの先進の安全技術搭載車の増加
自動車メーカー各社は、一昔前は「ハイブリッド車」開発全盛でしたが、最近は「電気自動車」とともに、「安全機能車」の開発と標準装備化に注力しているようです。
今後、「高齢者限定免許」制度が施行され、高齢ドライバーに限らず「安全機能車」が一般化する可能性が高いと思います。ちょうど「MT(マニュアル)車」が廃れて「AT(オートマ)車」が商用車も含めて一般化したのと似ています。
これに伴って、「安全機能」を搭載していない中古車価格は下落する可能性が高いと思います。
なお、今乗っている車に「安全機能」を「後付け」する人もいると思いますが、ディーラーの担当者の話では「『後付け』はその車に合う装置しか設置できないため、『中途半端な安全機能』になるリスクがある」とのことでした。ディーラーは「新車を売りたい」という商魂があることは差し引いて考えなければなりませんが、我々のような高齢者や高齢者予備軍の人は、やはり最新機能を備えた「安全機能車」の新車に買い替える方が、消費税の増税も近いこともありベターな気がします。