前に「行商人」の記事を書きました。
私が子供の頃、近くに「商店街」や小売店を一か所にまとめたような「市場」は出来ていましたが、よく行商人がやって来ました。リヤカーを引いて魚を売りに来るおじさん、大八車を引いて朝採りたての野菜や果物を売りに来る農家のお婆さん、富山の薬売り、馬(ポニー)に馬車を引かせた「ロバのパン屋」、「ポン菓子屋」、「焼き芋屋」、「麦茶と糗粉(はったいこ)売り」、「竿竹(さおだけ)屋」など多くの行商人がいました。
その後、「スーパー」や「百貨店」、「コンビニ」、「ドラッグストア」が近所に出来たので、高槻市内ではいつの間にか行商人の姿を見かけなくなりました。
都市部では「スーパー」などで、「ワンストップ」で買い物が出来るので、行商人を利用する必要を感じなくなっています。
1.買い物難民(買い物弱者)の問題
しかし、地方の過疎地では、「スーパー」が1軒もない地域があり、そこに住む住民も老人で、買い物に町まで出かけるのがままならない「買い物難民(買い物弱者)」の問題が起きています。経済産業省の調査によると、「買い物難民」は平成22年に600万人だったのが、平成27年には700万人まで増加しているそうで、今後ますます増加が予想されます。
なお、都市部でも山手の住宅地などで、老人ばかりになって採算が取れなくなったスーパーが閉店したりして「買い物難民」になるケースも出てきています。
2.買い物難民の救世主(?)
買い物難民に対応するものとして、「移動スーパー・ネットスーパー・生協・宅食便」などの業態があります。生協は以前からある業態ですが、残りは近年現れたものです。
今回はこれについて考えてみたいと思います。
(1)移動スーパー
「移動スーパー」とは「住宅地などで自動車を使って食料品や日用雑貨などを販売する小売業の業態で『行商』の一種」です。現在は山間部の過疎地や離島などで多く見られます。
有名な移動スーパーの一つに「とくし丸」があります。「とくし丸」は徳島市に本社を置く移動スーパー運営企業です。
「とくし丸」と提携した販売パートナー(フランチャイズオーナー)が。「とくし丸」の提携スーパーから商品を仕入れ、軽トラックを走らせて過疎地で販売するものです。
京都府丹後地方の「舟屋」で有名な「伊根町」と「与謝野町」を訪問エリアとする水口美穂さんが、ブログを書いたり、本を出版したりして有名になりました。
与謝野町・伊根町と「高齢者等の見守り協定」も結んでおり、過疎地の高齢者と密接な関係を築いているようです。
この移動スーパーは、私の子供時代の行商人と小売店を兼ねた役割を果たしており、品数が少ないとかついつい多めに買ってしまうというデメリットはありますが、過疎地の高齢者に欠かせない救世主になっていると思います。
(2)ネットスーパー
「ネットスーパー」とは、「既存のスーパーマーケットや店舗を持たない宅配専門業者が、インターネットで注文を受け付けて、既存店舗(スーパー)から主に個人宅まで日用品や食料品などを即日配達する宅配サービス」のことです。
都市部の高齢者で、足腰の不調などで買い物に出歩くのが困難な場合でも、「インターネット」を使えれば利用できます。
私のような「団塊世代」はネットを抵抗なく使える人が多いので、今後はこのネットスーパーの利用が増加するのではないかと思います。「ネットの御用聞き」とでも呼べばよいのでしょうか?
このネットスーパーは、今後都市部の買い物難民の救世主になることが十分期待できそうです。
(3)生協
「生協(CO・OP」(コープ)は正式名称が「消費生活協同組合」と呼ばれるもので、1948年からあります。宅配のほか、店舗・共済・介護・葬祭など様々な事業を行っています。
組合員のために、生活に必要な物資の購入・加工・生産・宅配を行います。
ネットスーパーと異なり、注文から配達まで1週間~2週間かかります。配達日は毎週固定の場合が多いようです。
また生協は「定期注文」が必要なシステムのため、購入がスポット的ですぐに商品が欲しい人にはネットスーパーの方が向いています。
生協は、上に述べたようにネットスーパーに比べてスピードと自由度に劣るので、救世主と言えるかどうか微妙です。
(4)宅食便
徳光和夫さんがテレビで日清医療食品の「食宅便」の宣伝をしていますが、管理栄養士が監修した冷凍の弁当や食材を毎週あるいは希望日に宅配するというものです。このほか、ワタミやニチレイフーズ、アサヒグループ食品なども宅食便を行っています。
私の知り合いで、奥さんを亡くした団塊世代の人も、この宅食便を利用していますが、正直なところ「あまり美味しくない」とこぼしていました。これはあくまでも「個人の感想」ですが・・・
宅食便は、「栄養バランス」「ヘルシーさ」はよく考えられているようですが、「冷凍」で「あまり美味しくない」という点で今一歩の感じ(私は食べたことがないので、あくまでも「感じ」です)なので、救世主と言えるかどうか微妙です。