私にとって「ハリウッドの黄金時代」(1920年代~1960年代)のハリウッド女優として忘れることのできない人がオードリー・ヘップバーンです。
前に記事に書いた「マリリン・モンロー」や「エリザベス・テイラー」と違って、映画館で実際に彼女の映画をいくつか見ましたので、身近に感じる清楚で妖精のような女優です。「午前10時の映画祭」の再上映や、テレビでも見ました。
1.オードリー・ヘップバーンとは
オードリー・ヘップバーン(1929年~1993年)はベルギー出身のイギリス人で、アメリカで活躍した女優です。アカデミー賞、トニー賞、エミー賞、グラミー賞のすべてを受賞しており、AFIの「最も偉大な女優50選」では第三位にランクインしています。また「インターナショナル・ベスト・ドレッサー」にも殿堂入りしています。
(1)生い立ちと幼少期
彼女はベルギーのブリュッセルで生まれました。
5歳から10歳までロンドンの私立寄宿舎学校で過ごし、第二次世界大戦中はオランダに移住しています。
第二次世界大戦後は、モデルで生計を立てながら単身ロンドンに渡り、マリー・ランバート・バレエ学校で学び、イギリス映画に出演しています。
(2)女優業前期
彼女は最初、小さな舞台や映画の端役に出演していましたが、幼いころから習っていたバレエの才能と妖精のような佇まいの彼女をフランスの作家コレット女史が見出し、自作の舞台劇「ジジ」の主役に抜擢します。
「ジジ」のブロードウェイ公演で主役を演じた彼女は、ハリウッドの映画監督のウィリアム・ワイラー氏に認められ、ハリウッド女優への道が開けることになります。
(3)ハリウッド映画「ローマの休日」と高まる人気
ウィリアム・ワイラー監督は長らくペンディングとなっていた「ローマの休日」(1953年)の主役に彼女を起用することにします。
実はこのヒロイン役にはエリザベス・テイラーも興味を示していました。しかしワイラー監督は「美しいが純真。魅惑的だが凛とした」ヒロインを求めていたのです。
グラマラスで華やかで肉感的なテイラーは、当時の女性の美の象徴であり、オードリーは豊かではない胸、ややエラの張ったあご、歯並びなど(これらは彼女自身が生涯コンプレックスを抱いていた欠点でした)正反対でしたが、それらの欠点さえチャームポイントにしてしまう武器が彼女にはありました。
それは深い想いを宿した黒い瞳です。その愁いを帯びた輝きは、見る者の心を一瞬にして射抜き魅了するものでした。「永遠の妖精」といわれたゆえんです。
このハリウッド映画初主演作で、いきなりアカデミー賞主演女優賞を獲得した彼女の人気は一気に高まりました。彼女は、自分を見出してくれた「ローマの休日」のワイラー監督と共演者のグレゴリー・ペックには生涯感謝していたそうです。
その後、1961年の「ティファニーで朝食を」、1964年の「マイ・フェア・レディ」、1966年「お洒落泥棒」など数々のヒット作に主演しました。
余談ですが、彼女の痩せて骨ばった少年のような体形を洗練されたチャーミングなものにしたのは、ユベール・ド・ジバンシィ(1927年~2018年)の服でした。彼は1953年に「麗しのサブリナ」で彼女の服を担当して以来、生涯にわたって彼女の服をデザインし続けました。
(4)社会活動
1970年、彼女はジュリー・アンドリュース(1935年~ )が司会を務める「愛の世界」というユニセフの特別番組に出演しています。これが、晩年に人生を捧げることになるユニセフへの最初の貢献でした。
1988年には「ユニセフ親善大使」となり、以後残りの人生を社会貢献活動に捧げています。
2.オードリー・ヘップバーンの言葉
(1)私にとって最高の勝利は、ありのままで生きられるようになったこと、自分と他人の欠点を受け入れられるようになったことです。
(2)成功は誕生日みたいなもの。待ちに待った誕生日が来ても、自分は何も変わらないでしょ。
(3)何より大事なのは、人生を楽しむこと。幸せを感じること、それだけです。
(4)もし結婚するなら、どっぷりと結婚していたいの。
(5)人の評価は、他の人たちの意見よりも、その人が他の人たちについてどのように言っているのかでより分かるものです。
(6)チャンスなんて、そうたびたび巡ってくるものではないわ。だから、いざ巡ってきたらとにかく自分のものにすることよ。
(7)人は物以上に回復して、新しくなり、生き返り、再生し、報われることが必要なの。決して誰も見捨ててはいけません。
(8)過去へさかのぼりましょう。小さかった時に何に幸せを感じたのかのをさがすの。私たちはみんな成長した子供。本当に・・・。だから人は回想し、愛したものや気づいた現実をさがし求めるべきなのです。
(9)幸福のこんな定義を聞いたことがあります。「幸福とは健康と物忘れの早さである」ですって!私が思いつきたかったぐらいだわ。だってそれは真実だもの。
(10)どんな人でも、不安がきれいに消えるということはないと思うの。成功すればするほど、自信は揺らぐものだと思うこともある。考えてみれば、おそろしいことね。
(11)戦争を経験して、逆境に負けない強靭さが身に付きました。また、戦争が終わって戻って来たもののありがたみをつくづく感じました。食料・自由・健康・家庭、そして何より人の命に、深い感謝の念を抱いたのです。