「You are wrong.」
相手が間違っていると思っても、なかなかその誤りを指摘することは難しいものです。
古い言葉に「和風細雨(わふうさいう)」というのがあります。「人に過ちを改めるように忠告する時に取るべき穏やかな態度や方法」のことです。
今回は、「相手の誤りを指摘した」具体的な例をご紹介します。
1.京都の有名料亭
20年以上前、私と妻が京都の高台寺周辺を散策していて、ちょうどお昼でお腹もすいてきた時のことです。たまたまそこに、名前を聞いたことのある老舗料亭があったので、一度思い切って入ってみることにしました。
玄関を入りましたが誰もいないので、「すみません」と言うと、奥から仲居さんが出て来ました。「食事をしたいのですが」「ご予約はいただいておりますか?」「いえ」というやりとりのあと、私たち二人を品定めするように見て、「ここは、お気軽に食事して頂くようなところではおません。おひとり1万円くらいしますんで・・・」と言われたので、私たちはその料亭を出ました。
最初、私は「慇懃無礼」な対応だなと憤慨しました。しかし後でよく考えて見ると、私たちがハイキングに行くような軽装だったので、ひとり2,000円程度の食事を考えているのではないかと仲居さんが見透かしてやんわり断ったのではないかと思います。
2.名刺交換
これは、私の失敗談です。他社を訪問した時、数人の人と初対面の名刺交換をする中で、自分の名刺を出すべきところ、直前にもらった他社の人の名刺を出してしまったのです。
すると、相手の人は、その名刺をしばらくじっと見ていた後、「珍しいお名前ですね。うちの〇〇課長と同じお名前ですね」と言われました。それで、すぐ間違って名刺を出したことに気付き、失礼をお詫びして改めて私の名刺を出しました。
3.社会の窓
私が不動産取引に立ち会った時のことです。応接室に入って来た司法書士の先生の「社会の窓」が開いていることに気付き、先生にそっと耳打ちしてあげました。先生は、取引時間に遅れたのでよほどあわてていたようです。
4.後ろ前
妻が道を歩いていて、前を行くご婦人の服装がどうもおかしいことに気付きました。前と後ろを反対に着ているようなのです。
そこで、親切心から「お洋服が後ろ前になっていますよ」と声を掛けたそうです。すると、その人は、「こういうファッションなんですっ!」と妻に怒鳴ったそうです。
「失礼ねっ!」と言わんばかりだったようです。それ以来、妻はたとえ明らかにおかしいと思っても、絶対に指摘しないことに決めたそうです。
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