先日テレビのクイズ番組を見ていると「小学校5年の理科」で習う問題として、「野菜か果物か」を問うものがありました。
「トマト・ナス・メロン・イチゴ・スイカ・バナナ・アボカド」などが出ていたと記憶しています。
明らかに果物と思っていたものが野菜だったりしてとても興味深いものでした。
そこで今回は「野菜と果物の違い」についてわかりやすくご紹介したいと思います。
1.野菜と果物の違い
湿度や気温の高い夏になると、みずみずしい野菜や果物がひときわ美味しくなります。メロンやスイカが出回り、キュウリ、トマトなどの夏野菜が食卓に上ることも多くなります。
私が子供の頃は、今のように年中野菜や果物が売られることはなく、春野菜・夏野菜、夏の果物・秋の果物が出る時期がはっきり分かれており、「季節感」が強く感じられました。
「初物」は高くて手が出ませんが、「旬(しゅん)」になると値段も安くなり、味も美味しくなります。
「野菜」と「果物」は、どちらも栄養が豊富で、私たちの生活に欠かせない食材です。しかし両者の違いを正確に説明するのは意外と難しいものです。
(1)草本性か木本性かによる分類方法
①野菜
「野菜」(vegetable)とは、「食用の草本植物の総称」です。つまり水分が多い草本性で食用となる植物」のことです。
主に、葉や根、茎(地下茎を含む)、花・つぼみ・果実を副食として食べるものをいいます。
②果物
「果物」(fruits)とは、普通「『食用になる果実』、および『果実的野菜』(後述)のうち、強い甘味を有し、調理せずにそのまま食することが一般的であるもの」を指します。
狭義では「樹木(果樹)になる果実の総称」です。「果樹」とは木本性などの永年作物のことです。
ただし、農林水産省では、統計上「野菜」に分類されるもののうち、メロン・イチゴ・スイカなど果実的な利用をするものを「果実的野菜」として扱っています。
なお、ややこしい話ですが、「野菜的果実」という言葉もあります。これはアボカド・レモン・柚子(ゆず)などを指します。
(2)収穫形態で区別する方法
畑で作られるものが「野菜」で、木に成る作物が「果物」です。
(3)食べ方で区別する方法
①食べる部分
実だけでなく、葉や皮などその他の部分も食べる作物が「野菜」で、実しか食べない作物が「果物」です。
②調理形態
火にかけたり、ドレッシングをかけたりと、何らかの方法で手を加えて(調理して)食べる作物が「野菜」で、調理せず生で食べる作物が「果物」です。
③料理の役割
「おかず(副食)」として食べる作物が「野菜」で、「デザート」として食べる作物が「果物」です。
(4)農林水産省の見解
「野菜と果物の違い」についての質問に対して、農林水産省は次のように回答しています。
野菜と果物(果実)の分類については、はっきりした定義はありません。あるものを野菜に分類するか果物に分類するかは、国によっても違い、日本でも生産・流通・消費などの分野で分類の仕方が異なるものもあります。生産分野においては、一般的に次の特性を持つ植物が野菜とされています。
1. 田畑に栽培されること(栽培されていない山菜などは野菜と区別することが多い)
2. 副食物であること
3. 加工を前提としないこと(こんにゃくのような加工を前提とするものは野菜としていない。漬物のように原料形質がはっきり残っているものや家庭における簡易加工は加工に含まない)
4. 草本性であることしかし、どの定義も確固たるものではありません。また、農林水産省では、果実を、生産や出荷の統計をとる上で果樹として分類しています。
蛇足ながら、日本の税関の「実行関税率」では、トマトは「食用の野菜」、メロン・イチゴ・スイカは「食用の果実」と定められています。
アメリカでは19世紀に、トマトが野菜か果物かをめぐって裁判がありました。輸入業者と役所との間で争われたこの裁判が起きたのは、「野菜には関税がかかるが、果物にはかからなかった」ためです。裁判の結果、1893年の最高裁判所で「トマトはデザートに出すものではないから野菜である」という判決が下ったそうです。
2.果物と間違いやすい「果実的野菜」の実の成った様子とその花
(1)トマト
(2)メロン
(3)イチゴ
(4)スイカ