地震が起こると必ず発表される指標に「震度」と「マグニチュード」があります。どちらも同じ地震の指標を示しているのですが、その数値によって表される内容は大きく違っています。
そこで今回は地震の「震度」と「マグニチュード」の違いをわかりやすくご紹介したいと思います。
1.震度とマグニチュードの違い
「震度」とは、「ある地点での揺れの大きさを示した数値」です。この「震度」は地震計による「計測震度」を四捨五入してわかりやすい整数に置き換えたもの(1995年までの基準)です。
計測震度0~0.4:震度0(人は揺れを感じない)
計測震度0.5~1.4:震度1(屋内で静かにしている人の中には揺れをわずかに感じる人がいる)
計測震度1.5~2.4:震度2(屋内で静かにしている人の大半が揺れを感じる)
計測震度2.5~3.4:震度3(屋内にいる人のほとんどが揺れを感じる)
計測震度3.5~4.4:震度4(ほとんどの人が驚く。電灯などの吊り下げ物は大きく揺れる)
<「震度5」~「震度7」については、1996年に変更されました(後述)>
計測震度4.5~5.4:震度5
計測震度5.5~6.4:震度6
計測震度6.5~7.4:震度7
一方「マグニチュード(M)」とは、「地震の規模の大きさを表す数値」です。「地震によって発生したエネルギーの大きさ表す数値」とも言えます。
地震の規模は、地下にある断層が割れた面積とずれた大きさに比例していることから、マグニチュードの数値が1増えた場合、地震のエネルギーは31.6倍となり、2増えた場合は、約千倍(31.6×31.6)になります。
極微小地震:マグニチュード1以下
微小地震:マグニチュード1~3
小地震:マグニチュード3~5
中地震:マグニチュード5~7
大地震:マグニチュード7~8
巨大地震:マグニチュード8~9
超巨大地震:マグニチュード9~10
マグニチュード10.0は、「地球上で起こり得る最大の地震」です。
ちなみに、マグニチュード11.0は、「チクシュルーブ隕石の地球衝突のエネルギー」(4800億トン)で、恐竜絶滅の最も有力な一因とされています。
マグニチュード11.5は、「地球が太陽から受ける総エネルギー1日分」(2.6兆トン)です。現在地球上で確認された最大の隕石孔のフレデフォート隕石の衝突エネルギーは、マグニチュード11.8と推定されています。
マグニチュード12.0は、「長さ1万kmの断層が動き、地球が真っ二つに割れて起こる地震」(15兆トン)です。
したがって、地震の規模が大きくても、震源から遠い場所では震度が小さくなり、反対に地震の規模が小さくても、震源から近い場所では震度が大きくなります。
かつて日本では、「震度」は「0から7までの8階級」で表されていましたが、1996年からは震度5と6がそれぞれ「弱」と「強」に分けられ、「10段階の階級」で表されるようになりました。
これは1994年12月28日に起きた「三陸はるか沖地震」(マグニチュード7.6)と、1995年1月17日に起きた「阪神・淡路大震災」(マグニチュード7.3)を契機としたものです。
この二つの地震では、同じ「震度5」の地域でも被害が大きく異なるという現象が相次ぎました。「震度6」のエリアでも同様に被害の大きさに違いがみられました。
そのため、「震度5」と「震度6」について、「弱」と「強」にわけて10段階の階級に変更したのです。
1996年以降の新しい基準は次の通りです。
計測震度4.5~4.9:震度5弱(大半の人が恐怖を覚え、物につかまりたいと感じる。棚にある食器類や本が落ちることがある)
計測震度5.0~5.4:震度5強(物につかまらないと歩くことが難しい。固定していない家具が倒れることがある)
計測震度5.5~5.9:震度6弱(立っていることが困難になる。壁のタイルや窓ガラスが破損し、落下することがある)
計測震度6.0~6.4:震度6強(這わないと動くことができず、飛ばされることもある。耐久性の低い木造建物は傾くものや、倒れる物が多くなる)
計測震度6.5~ :震度7(耐久性の高い木造建物も稀に傾くことがある。耐久性の低い鉄筋コンクリート造の建物では倒れる物が多くなる)
2.最大震度とマグニチュードとの相関関係
(1)マグニチュードを震度に換算する方法
全ての条件を勘案すれば、マグニチュードと震度の関係をある程度の精度で換算することは可能と考えられますが、地震によって条件が異なるため、一定の計算式で換算することは難しいと言えます。
(2)過去の大地震のマグニチュードと最大震度
①阪神・淡路大震災(1995/1/17):マグニチュード7.3、最大震度7相当
②十勝沖地震(2003/9/26):マグニチュード8.0、最大震度6弱
③東日本大震災(2011/3/11):マグニチュード9.0、最大震度7
④熊本地震(1回目)(2016/4/14):マグニチュード6.5、最大震度7
⑤熊本地震(2回目)(2016/4/16):マグニチュード7.3、最大震度7