私はサラリーマン時代、「珍しい苗字」の人や「読み方の難しい苗字」の人とお会いした時は、必ずと言っていいほど由来や読み方について話を聞きました。
「珍名マニア」というほどではありませんが、とても興味があったのです。
前に「全国民に苗字が付けられた由来」の記事を書きましたが、今回は「珍しい苗字」「読み方の難しい苗字」をご紹介したいと思います。
1.珍しい苗字
(1)石破(いしば)
次期自民党総裁候補の一人でもある衆議院議員の石破茂氏(1957年~ )の苗字も珍しいものです。彼は鳥取県出身で、建設事務次官や鳥取県知事、参議院議員、自治大臣を務めた石破二朗氏の息子です。三井銀行(現三井住友銀行)勤務を経て、父の死後に政界入りしています。
「石破天驚(せきはてんきょう)」という四字熟語があります。これは「石が破れ、天が驚くほど巧妙である」という意から、「音楽・詩文・出来事などが、人を驚かすほど奇抜で巧みなことの形容」です。
「石破」という苗字は「石橋の略」で、由来は、「南北朝時代に後醍醐天皇から、京都にあった石橋姓にちなんで石破姓を賜った」とのことです。なお、鳥取県八頭郡八頭町破岩(われいわ)という地名は江戸時代の記録にもあります。「石破」は鳥取県に多い苗字です。
(2)蓮佛(れんぶつ)
蓮佛美沙子さん(1991年~ )は鳥取県鳥取市出身の女優です。2005年のスーパーヒロイン・オーディション「MISS PHOENIX」グランプリ受賞を機に芸能界入りしました。
「蓮仏」も同様ですが、鳥取県東部の因幡起源の苗字とも言われています。「蓮」と「佛(仏)」から仏教に関係があることは容易に想像できます。弥左衛門と称していた人物が、仏門に帰依して創姓したとのことです。「蓮佛」(「蓮仏」)も鳥取県に多い苗字です。
(3)夏秋(なつあき)
夏八木勲氏(1939年~2013年)は東京都出身の名俳優です。ガンで亡くなりましたが、親交のあった千葉真一と共にに肉体鍛錬を欠かさなかったことでも知られています。
「夏八木(なつやぎ)」は「夏秋」から出た苗字と言われています。
「夏秋」は、山梨県北杜市や三重県名張市にある地名で、中世までは「夏焼(なつやき)」と書きました。「夏焼」とは、「夏の作物が日焼けする土地」のことで、当地は山腹を開いて開田した土地なのでこれが地名となり、後世「焼」を美化して「秋」としたようです。
大阪駅前の「梅田」が、江戸時代に低湿地帯を埋め立てて田畑にしていた土地で、「埋田」という地名だったのを改名したのと似たような経緯ですね。
「夏秋」は佐賀県や三重県に多い苗字です。
2.読み方の難しい苗字
(1)十一月二十九日(つめづめ)
(2)十八娘(ねごろ)
(3)七五三掛(しめかけ、しめい、しめがけ)
(4)一(はじめ、いち、かず、にのまえ、よこいち、いちもんじ、ひともんじ、かずと、でかた)
(5)一口(いもあらい、かずぐち)
(6)二(したなが)
(7)三(みたび、みつ)
(8)四(あずま)
(9)七(さとる、なな)
(10)十(もげき、もぎき)
(11)中(あたり)
(12)几(おしずまき)
(13)九石(さざらし、くいし)
(14)廿楽(つづら)
(15)浮気(ふけ)
(16)明日(ぬくい)
(17)鴨脚(いちょう)
(18)薬袋(みない)
(19)野老山(ところやま)
(20)月見里(やまなし)
(21)小鳥遊(たかなし)
(22)栗花落(つゆり)
(23)四月一日(四月朔日)(わたぬき)
(24)八月一日(八月朔日)(ほづみ)
(25)春夏秋冬(ひととせ)
(26)勘解由小路(かでのこうじ)
(27)目(さがん)
(28)御手洗(みたらい)
(29)五百旗頭(いおきべ)