ちやはとは？紫式部の母親・藤原為信女のことで、紫式部が幼い頃に死去。

2024年NHK大河ドラマは「源氏物語」の作者である紫式部が主人公でそのパトロンでもあった藤原道長とのラブストーリーも含む「光る君へ」（主演・吉高由里子　作・大石静）です。

2020年の「麒麟がくる」、2021年の「青天を衝け」、2022年の「鎌倉殿の13人」、2023年の「どうする家康」と力作・話題作が続くNHK大河ドラマですが、2024年の「光る君へ」も楽しみですね。

なお「源氏物語」と紫式部については「紫式部はなぜ源氏物語を書いたのか？藤原道長との不倫の真相は？」という記事に、また光源氏のモデルとされる8人については、「光源氏のモデル･源融とは？イケメンで光源氏のモデルの最有力候補。」など8回に分けて記事に書いていますので、ぜひご覧ください。

前に次のような記事を書きました。

ところで、紫式部の母親の藤原為信女（「光る君へ」では「ちやは」という名前で登場）とはどんな人物だったのかも気になりますよね。

2024年NHK大河ドラマ「光る君へ」では、国仲涼子さんが演じます。

そこで今回は、藤原為信女（ちやは）の生涯と人物像に迫ってみたいと思います。

１．藤原為信女（ちやは）とは

藤原為信女（ふじわらのためのぶのむすめ）（生年不詳～974年？）は平安時代の女性で、紫式部の母親と伝わっています。藤原為信女の母親については不詳です。

彼女は摂津守・藤原為信の娘で、天禄初年（970年）ごろ、播磨権少掾を勤めていた藤原為時と結婚し、紫式部、藤原惟規ら一男二女をもうけました。

結婚したその翌年には長女が、さらに次の年に次女が生まれました。この次女が紫式部です。それから二年後に長男の藤原惟規も生まれたとされています。

彼女は紫式部たちの幼いころに亡くなってしまったらしく伝記が明らかでなく、惟規を出産し、その年に他界したとも伝わります。

「光る君へ」では国仲涼子さんが「ちやは」という架空の名で演じますが、堅子という名であったとも言われます。

紫式部の日記や歌集には母のことが残されていないことから、式部が幼いころに死去したようです。

源氏物語でも、3歳の時に母である桐壺の更衣を亡くした光源氏をはじめ幼いころに母を亡くしている登場人物も多く、式部自身を投影させていたのかもしれません。

紫式部の家系（先祖）は、6代前が藤原北家を隆興させた左大臣藤原冬嗣（ふじわらのふゆつぐ）（775年～826年）であり、藤原道長と祖を同じくしています。

曾祖父藤原兼輔（ふじわらのかねすけ）（877年～933年）は三十六歌仙の一人である有名な歌人で、祖父藤原雅正（ふじわらのまさただ）（生年不詳～961年）も歌人であり、代々文学の才能に秀でた家系でした。一族の多くが勅撰和歌集に名を残しています。

なお、紫式部の母方の家系も藤原冬嗣の子孫であり、父方と同族になります。

２．藤原為信女（ちやは）の父親の藤原為信とは

藤原為信（ふじわらのためのぶ）（935年?～987年?）は、平安時代中期の貴族で、中納言・藤原文範の子で、母は越前守藤原正茂女です。官位は従四位下・常陸介。紫式部の外祖父にあたります。

藤原北家長良流で、従三位参議藤原清経（長良の６男）の後裔。

備中守藤原為雅の同母弟で、子に筑前守藤原理明・康延・藤原為時室（紫式部の母）らがいました。

村上天皇に仕え、康保2年（965年）蔵人に任ぜられました。天延元年（969年）越後守に任ぜられましたが、2年後には妻の甥である宮道弘氏に越後守を譲っています。ほかに右近衛少将、摂津守を歴任しています。

のち、常陸介に任ぜられましたが、在任中の寛和3年（987年）正月10日に出家しました。その後の消息は不明です。