最近、「ソサエティー5.0」という言葉を聞くようになりましたが、皆さんはご存知でしょうか?
「5G」(第5世代移動通信システム)が2020年から始まったことは、だいぶ知られるようになりましたが、「ソサエティー5.0」の方は、まだ認知度が低いように思います。
そこで今回はこれについて分かりやすくご紹介したいと思います。
1.「ソサエティー5.0」とは
「ソサエティー5.0」(Society5.0)とは、「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する新たな未来社会(Society)」のことです。
日本が提唱する未来社会のコンセプトで、「科学技術基本法」に基づき、5年ごとに改定されている「科学術基本法の第5期(2016年度~2020年度)」でキャッチフレーズとして登場したものです。
世界的課題の解決という観点から、国際連合が提唱する「持続可能な開発目標(SDGs)」と絡めて「Society5.0 for SDGs」として用いられることもあります。
2.人類社会の歴史
人類社会は、人類の英知によって、矛盾や格差・ひずみを孕みながらも進化を遂げて来ました。
「狩猟社会」(ソサエティー1.0)、「農耕社会」(ソサエティー2.0)、「工業社会」(ソサエティー3.0)、「情報社会」(ソサエティー4.0)に続く「我が国がめざすべき未来社会(第5社会、超スマート社会)の姿」という位置づけです。
3.ドイツの「インダストリー4.0」との違い
「ソサエティー5.0」とよく似た言葉にドイツの「インダストリー4.0」があります。
「インダストリー4.0」の目的は、「I o T(Internet of Things)」(すべてのもののインターネット化)や「AI」(人工知能)をはじめとしたテクノロジー技術を製造業で活用することにより経済発展をめざすというものです。
これに対して「ソサエティー5.0」は次の4つの目標を掲げています。
①持続的な成長と地域社会の自律的発展
②国および国民の安全・安心の確保と豊かで質の高い生活の実現
③地球規模課題への対応と世界の発展への貢献
④知の資産の持続的創出
4.いつから始まったのか
上に述べた「ソサエティー5.0」の4つの目標を見てもわかるように、これは「政策目標」という側面が強いもので、アベノミクス第三の矢「成長戦略」において重要な役割を担っている政策です。
この「ソサエティー5.0」はすでに始まっています。
「Io T」「AI」をはじめ、「クラウド」「ドローン」「自動運転」「無人ロボット」の活用が着実に進められています。
具体的な実例(今後実用化されるものも含む)としては次のようなものがあります。
①遠隔医療(健康寿命延伸・社会コストの抑制)
家に居ながら診察を受けることも可能になります。
②スマート農業(食糧の増産・食品ロスの削減)
「スマート農業」とは「ICT」やロボット技術を活用した超省力・高品質生産の新たな農業形態のことです。農業の人手不足を解消し、知識を未来へ継承することが期待されます。
③無人店舗(人手不足解消)
④自動走行バス(過疎地の住民や運転できない高齢者の足の確保)