「地口(じぐち)」は「判じ絵」と似た江戸時代の言葉遊び

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地口

前の記事で江戸時代の「判じ絵」「判じ物」「字謎」をご紹介しましたが、今回は「判じ絵」によく似た「地口」についてご紹介したいと思います。

1.地口とは

地口とは、「江戸中期に生まれた戯文を作る言葉遊びのこと」です。「似口(にぐち)」「口合(くちあい)」「合口(あいくち)」とも言います。

単なる「駄洒落」や「語呂合わせ」ではなく、言葉を入れ替える下敷きとなる「元句(もとく)」は、誰でも知っている和歌や俳句や漢詩、能・浄瑠璃・歌舞伎の名セリフ、民謡や盆唄、俚諺や俗謡など極めて雑多です。

日本の歴史や、中国の古典を知っていないとわからないものもあります、「知口」とも「智口」とも言われる所以です。

地口に戯画を添えることは、地口そのものより遅れて始まり、宝暦・明和(18世紀後半)の頃に流行しました。

「掛行灯(かけあんどん)」に地口の文句を記し、戯画を描き加えたものを「地口行灯」と言い、享保年間(1716年~1736年)に流行したそうです。

2.地口の具体例

・着た切り雀(舌切り雀)

・飛んで湯に入る夏の武士(飛んで火にいる夏の虫)

・当たらぬ富にたはひなし(触らぬ神に祟りなし)

・当てまして鉄砲の猿(明けまして結構の春)

・下戸に御飯(猫に小判)

・粋(いき)な上にも半纏(石の上にも三年)

・一本差しは闇(一寸先は闇)

・居残り三人恥かき人(桃栗三年柿八年)

・芋葉に小鶏頭(いろはにほへと)

・うそは身につまる(歌は世につれる)

・乳母の耳に念仏(馬の耳に念仏)

・江戸芸者杖(江戸名所図会)

・お芋の煮転ばしや七つ刺し(お江戸日本橋七ツ立ち)

・お亀鉢巻き(岡目八目)

・驕り判官(小栗判官)

・掛け取り千両残り(関取千両幟)

・傘さして夜の雨(唐崎の夜の雨。近江八景の一つ)

・片手のらくがん(堅田の落雁。近江八景の一つ)

・髪結いどの天神(亀戸の天神)

・芥子(からし)に蒲公英(たんぽぽ)の昆布あり(烏に反哺の孝あり)

・杏より梅が安し(案じるより産むが易し)

・木登り入浴(清盛入道)

・玄関に席をあらためて口上を聞く(林間に酒を温めて紅葉をたく。白居易の漢詩)

・このしろ山とかわづゐる身節季(山城大和河内和泉摂津)

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