スポーツが行われる場所は、競技の種類によってさまざまな呼び名で呼ばれています。
今回はこの「競技場の名前」の由来についてご紹介したいと思います。
1.土俵(どひょう)
「土俵」とは、「土を盛って作る相撲の競技場」のことです。
俵に土を詰めた袋(土俵)を使っているため、特に「土俵場(どひょうば)」と呼んでいましたが、これを縮めた呼称です。
余談ですが、大相撲で「優勝決定戦」が行われることになった場合、「本場所で発表された取組表によって行われた正式な取組」のことをアナウンサーが「本割(ほんわり)」と言うのをお聞きになったことがあると思います。
ゴルフにたとえると、「優勝決定戦」は、「サドンデスのプレーオフ」で、「本割」は「ファイナルラウンド」です。
「割(わり)」は、「大相撲の取組」のことですが、取組を書いた紙も「割」(正式名称は「割紙」)と言います。取組を編成することを「割を組む」と言います。「割り当てる」ということから名付けられたものでしょう。
2.ピッチ
「ピッチ(pitch)」とは、「サッカーやクリケットの競技場」のことです。
サッカーの競技場は、「フィールド(Football field)」または「ピッチ(Football pitch)」と呼ばれています。
「ピッチ」はもともと「クリケット」の用語です。「クリケット」は「二つのチームがボールを打ち合って得点を競う野球と似たゲーム」で、イギリスで盛んに行われています。
クリケットは長さ20m、幅3mのスペースの中で、「ボウラー」が投げたボールを「バッツマン」が打ち返すゲームです。
このクリケットの競技スペースが「ピッチ」と呼ばれており、ピッチの両端には「ウィケット」と呼ばれる「三柱門」が設置されます。
「pitch」の語源は、古い英語の「pic」で、「杭などの先の尖ったものを打ち込む」という意味です。
イギリスの学校などには、サッカーができる広い競技用の場所があり、その日の状態のよい所を選んで「四隅に杭を打ち」、「その内側をサッカーの競技スペース」と決めて試合をしていたそうです。
この「杭を打つ」ことが、クリケットの「ウィケット(三柱門)を立てる」ことを連想させるため、「サッカーの競技場」が「ピッチ」と呼ばれるようになったそうです。
ただしサッカーのグラウンドを「ピッチ」と呼ぶのはイギリスだけで、アメリカでは「フィールド」と呼ぶのが一般的です。
3.リンク
「リンク(rink)」とは、「アイススケート場、ローラースケート場、アイスホッケーの競技場」のことです。
「アイススケート」の「リンク」は、「アイスアリーナ」とも呼ばれます。
「rink」の語源は、スコットランド語で「コース」を意味する単語で、「カーリング」をする場所の名前として使われていました。その後、この言葉は他のスポーツやさまざまな用途の氷を張った場所に対して転用されるようになりました。
ほかに古フランス語の「renk」(「通り」の意)が語源との説もあります。
「つなぐ」という意味の「リンク」は「link」で、スペルが違う別の言葉です。
なお、ゴルフ場のことを「ゴルフリンクス」(一般的には「ゴルフコース」と言います)と呼ぶことがありますが、これは「golf links」です。
ゴルフ発祥の地・スコットランドの海沿いの自然の地形を生かしたゴルフコースは「ゴルフリンクス」と呼ばれています。セントアンドリュースなどの全英オープンゴルフの開催コースが代表的なものです。
元々スコットランドで「海と陸が重なり合った場所」「海岸と陸地の間に広がる砂丘(から形成された硬い大地を持つ草原)」を「リンクスランド」と呼んでいたため、「リンクスランド」に造られたゴルフコースという意味で「ゴルフリンクス」と呼ぶようになったわけです。