電線にスズメやムクドリが大勢で止まっているのをよく見かけますね。電線には6600Vの「高圧電流」が流れているはずなのに、平気で止まり木代わりに使っています。「感電死」して焼き鳥にならないのは不思議ですね。
今回はこの理由について分かりやすくご紹介します。
1.電気の性質
電気は、「水」に近い性質を持っているので、よくたとえられます。
(1)電圧
「電圧」とは、文字通り「電気の圧力」のことです。
水は高い所から低い所へ落ちると物理法則で決まっていますが、電気も同じです。
電気も「電位」(「水位」のようなもの)の高い方から低い方へ流れます。この高さの差異が電圧です。
(2)電流
「電流」も、文字通り「電気の流れ」のことです。水の流れの強さ弱さをイメージすると分かりやすいと思います。
ここで、「オームの法則」を思い出してください。
「オームの法則」とは、ドイツの物理学者オーム(1789年~1854年)が1826年に発見した法則で、「電流の強さは電圧に比例し、抵抗に反比例する」というものです。
「電流=電圧/抵抗」で表されます。
つまり、「電圧が高ければ、電流も大きくなる」、「抵抗が小さければ電流は大きくなる」ということです。水にたとえて考えると分かりやすいと思います。
2.電気が流れるためには「通り道」が必要
電気には、もう一つ「電気は通り道がなければ流れない」という重要な性質があります。
「乾電池で豆電球を点ける実験」でおなじみのように、+側でも-側でも導線を電池から離すと、豆電球は点きません。
つまり、電気は「行って帰れる道がなければ流れてくれない」ということです。
なお、水と電気は似た性質を持っていますが、この点は全く違います。水は流れたら流れっ放しで、流れた水がまた蛇口に戻って来ることはありませんね。
3.スズメが感電しない理由
スズメがちょこんと高圧線の上に乗っかっているだけでは、抵抗=0なので電気がスズメに流れることはありません。なぜかというと、この状態では、「電位差が存在しない」のです。
前に「電気は高い所から低い所へ流れる」とご説明しましたが、逆に「高低差がなければ、電気は流れない」のです。
「オームの法則」によれば「電流=電圧/抵抗」なので、抵抗=0の場合は電流=0、電圧(電位差)=0になります。
加えて、電流はより流れやすい方向に向かうという性質があります。
わざわざ電気の通りにくいスズメの体を経由するよりも、電線を通ったほうが電気が流れやすいので、スズメが感電することはないのです。
4.スズメが二本の電線を跨いだ場合は感電する
しかし、スズメが二本の電線を跨いでしまった場合は、「電位差」があるために感電します。