「春」を含むことわざ・慣用句・熟語

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春眠暁を覚えず

1.春眠暁を覚えず(しゅんみんあかつきをおぼえず)

春の夜は寝心地がよいので、夜が明けたのにも気付かず、なかなか目が覚めないということです。

中国・唐代の詩人孟浩然(もうこうねん)(689年~740年)の「春眠」という詩に由来することわざです。

2.一場の春夢(いちじょうのしゅんむ)

人生の栄光や繁栄は、極めて儚(はかな)いということです。「一場」はほんの短い間のことで、春の夜に見る夢のように、すぐに消えてしまうということからです。

3.春宵一刻値千金(しゅんしょういっこくあたいせんきん)

朧月夜に花の香りが漂う春の宵のひとときは、千金にも値するほどすばらしいということです。「一刻」はわずかな時間、「千金」は千両・大金の意です。

中国・北宋の詩人・書家・政治家の蘇軾(そしょく)(1037年~1101年)の「春夜」という詩に由来する言葉です。

「春宵一刻」という四字熟語も同じ意味です。

4.春植えざれば秋実らず

「準備八割」という言葉があります。成功するかどうかは準備にかかっており、何事もちゃんと準備をしておかなければ実ることはありません。

「春植えざれば秋実らず」も、よく似た意味のことわざです。春に種をまかなければ、秋に収穫することは出来ません。つまり、やるべきことをやっておかなければ成功は望めないということです。

5.我が世の春

物事が全て思い通りになる絶頂期のことです。

藤原道長(966年~1028年)の「この世をば我が世とぞ思ふ望月(もちづき)の欠けたることのなしと思へば」という和歌がこの言葉を最も端的に表しています。

6.春の雪と子供の喧嘩は長引かぬ

これは恐れるに足りないものを表すことわざです。

春に雪が降っても、暖かくなっているのですぐに溶けてしまいます。同じように子供の喧嘩も、すぐに「ごめんね」と言えば仲直りできるものです。

「春なのにこんなに雪が降って、積もったらどうしよう」とか「こんなにひどい喧嘩をしてしまって、明日から仲良しに戻れるだろうか?」といった心配は杞憂です。

同じような意味のことわざに、「春の雪と年寄りの腕自慢は当てにならぬ」「年寄りの達者は春の雪」「春の雪と叔母の杖は怖くない」「春の雪と歯抜け狼は怖くない」などがあります。

7.春蘭秋菊(しゅんらんしゅうきく)ともに廃すべからず

春蘭も秋菊もともに趣があって美しく、見捨てがたいことから、どちらも優れていて、甲乙が付けにくいことのたとえです。出典は「旧唐書」です。四字熟語で「春蘭秋菊」とも言います。

8.春秋高し(しゅんじゅうたかし)

「春秋」は年月・年齢の意で、高齢であることのたとえです。出典は「戦国策」です。

9.春秋に富む(しゅんじゅうにとむ)

年が若く、長い将来があることです。出典は「史記」です。

10.春秋の筆法(しゅんじゅうのひっぽう)

物事を厳格に批判する態度です。また、間接の原因を直接の原因のように言う表現方法です。

「春秋」は孔子が編纂したと言われる中国の歴史書です。「春秋」に見られる独特の論理に基づいた歴史批判から、間接の原因としかなり得ない些細なことも大事に結びつく直接の原因として述べる表現形式のことです。

また、そのような表現形式を通して示される厳正な批判のことです。

11.春の晩飯(ばんめし)後三里(あとさんり)

春は夕食を済ませた後でも、三里(約12km)の道を歩いて行けるほど日が長いことです。

「春の夕飯食って三里」「入相(いりあい)一里」も同様の意味です。ちなみに「入相」とは、日が山の端(やまのは)に入る頃、日が暮れる頃のことです。

12.春の日に心無い者に使われるな、冬の日に心無い者を使うな

春に思いやりのない者に使われると、日の長い一日中を働かされるし、冬に気の利かない者を雇うと、日が短いから十分仕事をしないうちに暮れ、労賃ばかり取られてしまう結果になるということです。

13.一人娘と春の日はくれそうでくれぬ

春の日が暮れそうで暮れないことから、一人娘は親が惜しがり、なかなか嫁に出さないというたとえです。

「春日遅遅(しゅんじつちち)」という言葉もあります。これは春の日が長く、暮れるのが遅いことを客観的に淡々と述べた言葉ですが、前に挙げた三つのことわざは、具体的でなかなか面白いと思います。

14.惠蛄(けいこ)春秋(しゅんじゅう)を知らず

夏の間だけ生きている夏蝉は、春や秋の季節を知らないということから、生命の極めて短いことのたとえです。また、世間知らずのたとえです。

15.春氷を渉る(しゅんひょうをわたる)

春先の氷はいつ割れるかわからないので、その上を渡るのは危険千万だということで、非常に危険なことのたとえです。

16.春風(しゅんぷう)の中に坐するが如し

慈愛あふれる良師の感化を受けることです。

17.春は蛙(かわず)が目を借りる

春にすぐ眠くなるのは、蛙に目を借りられるからだという俗説があります。春は眠たい時期だということです。

蛙(かわず)の目借時(めかりどき)」とも言い、俳句で春の季語となっています。

18.春風駘蕩(しゅんぷうたいとう)

春の景色ののどかなさま、春風がそよそよと気持ちよく吹くさまです。また、温和でのんびりとした人柄のたとえです。

19.春蛙秋蝉(しゅんあしゅうぜん)

やかましく鳴く春の蛙と秋の蝉の意から、うるさいだけで役に立たない無用な言論のたとえです。

20.春蚓秋蛇(しゅんいんしゅうだ)

春の蚯蚓(ミミズ)や秋の蛇がのたくったような悪筆の意で、悪筆のたとえです。

21.花咲く春にあう

それまで長い間不遇でいた人が、ようやく認められて世に出て手腕を発揮することです。

22.冬来たりなば春遠からじ

暗い冬の後に、やがて明るい春が来るのは天地の理であるということです。現在は不幸でも、前途には明るい希望が見えているから元気を出そうという励ましの意味で使います。

つらく厳しい時期を耐え抜けば、必ず幸せが巡って来るというたとえです。イギリスの詩人シェリーの「西風に寄せる歌」の一節です。

「一陽来復(いちようらいふく)」も同じ意味です。

23.春愁秋思(しゅんしゅうしゅうし)

「春の日にふと感じる物悲しさと、秋にふと感じる寂しい思いのこと」「良い気候の時に、何となく気がふさぐこと」です。また、いつも心のどこかに悲しみや悩みがあることを言います。

阿久悠作詞・三木たかし作曲で岩崎宏美が歌った「思秋期」という曲があります。これは思春期の少女の淡い恋愛体験の憂いを綴ったものですが、この「春愁秋思」に通じるものがあるように思います。

24.春風得意(しゅんぷうとくい)

春の風の心地よさのことです。転じて、仕事や出世が順調で満足げなことの形容です。

25.春蕪秋野(しゅんぶしゅうや)

春の雑草と秋の野原のことです。また現実離れして、風雅に遊ぶ文人の境地のことです。

26.春露秋霜(しゅんろしゅうそう)

春の露と秋の霜のことで、恩恵と威厳のたとえです。

27.春和景明(しゅんわけいめい)

春の日の穏やかで光の明るいさま、春の穏やかで明るい陽気のことです。

28.春寒料峭(しゅんかんりょうしょう)

春になって寒さがぶり返し、肌寒く感じられるさまのことです。

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