皆さんは「地球上に最初に現れた生き物」が、動物ではなく「植物」だったことをご存知でしょうか？
そこで今回は、植物がどのように地球上に現れて進化していったのかをわかりやすくご紹介したいと思います。
１．地球に最初に誕生した生命である植物
地球ができたのは、今から約46億年前。地球上に初めて生き物が現れたのは、35億年以上も前のことだと考えられています。
この地球に最初に誕生した生命は植物でした。ただし植物と言っても、この最初の生き物は、動物とも植物ともつかない、とても簡単なつくりの生き物でした。
一番古い化石は、南アフリカのトランスバールという所の、34億年前にできた岩から発見されたものです。この岩の中から発見された小さな化石は、大きさは1ミリの10分の1と、かなり小さなものですが、植物が残したものであると考えられています。つまり、34億年も前にすでに植物が現れていたということになります。
もっとも、その当時の植物は、現在のような花や茎（くき）のあるものではなくて、顕微鏡でなければ見えないような、小さな細胞一つからできている簡単なつくりのものだったのです。植物というよりは、「植物の先祖」といったほうが正しいかもしれません。
約35億年前に海中に生息する藍藻（らんそう）植物が「光合成」を始めたことによって、無機物しか存在しなかった原生の地球で二酸化炭素と水からブドウ糖などの有機物と酸素を作り出すことができるようになり、酸素を利用した呼吸をする微生物が誕生しました。
しかし、こんな小さな細胞でも、光をエネルギーとして、二酸化炭素と水からでんぷんなどを作って酸素をはき出す「光合成」という仕事をすでに行っていました。この働きは現在の植物とまったく同じなのです。
さらに植物たちの活発な光合成によって大気中の酸素量が増えたことにより、有害な紫外線を吸収する「オゾン層」が形成され、それまで海で生活していた生命は陸に上がることが可能となり、地球は生命が安全に生活できる環境になりました。
太古の地球の大気は酸素が無く、逆に二酸化炭素がとても濃い状態でした。それを現在のように変えてきたのが、光合成生物なのです。
植物は ”死の星” だった太古の地球を ”命の星” に変えたのです。最初に海から上陸した生物も植物です。
２．植物が海から上陸し、植物が繁栄したのが約5億年前
海の中よりも光合成に必要な光にあふれた陸上では、植物はどんどん進化し繁栄しました。これが約5億年前です。
３．節足動物なども海から上陸し、動物が進化したのが約4億年前
その後、植物に続いて節足動物などが上陸し、動物もどんどん進化を遂げていきました。これは約4億年前のことです。
４．恐竜は2億3000万年前に登場し、6500万年前に絶滅
2億3000万年前に登場した恐竜は、陸・海・空すべてを支配し、6500万年前に突如姿を消します。とはいえ、1億6500万年の間地球を支配していたことになります。
５．哺乳類や鳥類の繁栄と人類の祖先の誕生が約600万年前
恐竜が絶滅した後に哺乳類や鳥類などが繁栄し、最初に人類の祖先が誕生したのが約600万年前と言われています。
現生人類の「ホモ・サピエンス」が現れたのは25万年前。長い狩猟生活を経て、農耕をはじめたのは約1万年前。そして、現代文明の礎となった産業革命が起きたのは約200年前。
６．地球上の多種多様な生命は全て植物を起源としている
このような極めて長い地球の歴史から見ると我々人間の歴史は一瞬に等しいものです。
それと比べて植物は大大大先輩で、地球の生命の歴史のほとんどが植物たちによって作られてきたことがわかります。
気の遠くなるような長い年月を生き抜いてきた植物たちは我々が理解できないほどの神秘的で不思議な力を持っていても決して不自然なことではありません。
今の地球上の多種多様な生命はすべて植物を起源として成り立っています。命を育む全ての要素を植物は持っています。
７．生態系サービス
現代の我々人間の生活に必要な食物や薬、衣服・建築用材・家畜飼料など、その大半は植物に依存しています。
また、こうした直接の利用だけなく、現在の多様な生物の存在が、安定した生態系を作り、地球全体の大気や水の循環を安定させることにも役立っています。
このような自然の恵みのことを、「生態系サービス」ともいいます。
稲が育つためには、水、空気、そして田んぼの中に暮らしているたくさんの生き物の働きが必要です。
また野菜や果物は、虫の働きによる受粉が行われなければ、実ができないものがあります。虫は大切な役割を持っているのです。
食べ物だけではなく、紙や机、洋服など、我々の暮らしは、生物多様性の恵みがあってこそです。
「生態系サービス」は次の4つに分類されます。
