前回まで、「ホトトギス派の俳人」16人(「ホトトギス派の俳人(その16)杉田久女:虚子との確執で有名な悲運の女流俳人」など)と「ホトトギス派以外の俳人」14人(「ホトトギス派以外の俳人(その14)長谷川かな女:大正期を代表する女流俳人」など)を紹介する記事を書いてきました。
ホトトギス派は、「客観写生」「花鳥諷詠」「有季定型(季語のある定型俳句)」を旨としましたが、それに飽き足りない俳人たちが、「無季俳句」や「自由律俳句」などを標榜する「新興俳句運動」を起こしました。
私は、「新興俳句運動」を全否定するつもりはなく、それなりの歴史的意義はあったと思います。しかし、私はやはり季節感溢れる「季語」を詠み込んだ「定型俳句」に魅力を感じます。
そこには、現代の私たちの生活から失われつつある(一部はほとんど失われた)季節感が溢れており、「懐かしい日本の原風景」を見るような気がします。
そこで今回から、「二十四節気」に沿って季節感あふれる「季語」と俳句をご紹介していきたいと思います。
なお、前に「季語の季節と二十四節気、旧暦・新暦の季節感の違い」という記事も書いていますので、ぜひご覧下さい。
「夏」は旧暦4月~6月にあたり、「初夏」(立夏・小満)、「仲夏」(芒種・夏至)、「晩夏」(小暑・大暑)に分かれます。
今回は「晩夏」(小暑・大暑)の季語と俳句をご紹介します。
・小暑(しょうしょ):新暦7月7日頃です。「六月節」 暑気に入り梅雨の明ける頃です。
・大暑(たいしょ):新暦7月22日頃です。「六月中」 夏の暑さがもっとも極まる頃です。
7.植物
(1)あ行
・青瓜(あおうり):ウリ科の一年生果菜。青々としているが表面に縞のあるものもある。おもに中部地域で栽培される。白瓜にくらべ実が引き締まって食感がいい。粕漬、味醂漬、味噌漬などに利用される
青瓜の 真桑(まくわ)にならぬ 尊さよ(森川許六)
・青柿(あおがき):まだ熟さない青い柿のことをいう。柿は梅雨どきに目立たない花を咲かせ、そのあと青い実をつける。まだ熟さない柿は渋く生食には向かないが、柿渋を採取するのは、青柿を利用する
・青葛(あおかずら):葛藤(つづらふじ)の別称。晩夏七月頃、淡緑色の小花が集まり咲く
・青胡桃(あおくるみ):胡桃は日本全国に見られる落葉高木で、花のあと、青い実をつけ る。夏のうちは未熟でこれを青胡桃または生胡桃という。秋、熟するのを待って収穫する
・青山椒(あおざんしょう):山椒の熟さない青々とした実のことで、花のあとの六月頃の実をいう。香りと辛味が強い。山椒は雌雄異株で実は雌株につく。青い実はまるごと料理に使われる。しらすと佃煮にしたちりめん山椒は有名
なのりして 摘むはたが子ぞ 青山椒(大江丸)
・青紫蘇(あおじそ):シソの一品種。茎、葉ともに緑色で、花は白色。若葉および若い穂は香料や薬味にし、実は塩漬けにする
・青唐辛子/青蕃椒(あおとうがらし):夏の間のまだ青いトウガラシの実をいう
三つちぎり 得させよ青き 蕃椒(とうがらし)(与謝蕪村)
・青萩(あおはぎ): 秋に咲く萩にさきがけて咲く、夏の萩。別名「夏萩」「さみだれ萩」
・青藤(あおふじ):葛藤(つづらふじ)の別称。晩夏七月頃、淡緑色の小花が集まり咲く
・青葡萄(あおぶどう):青々とした未熟な夏の葡萄のこと。熟しても青い種類の葡萄のこ とではない。棚を這う葉陰の間に青く小さい房が下がっている様 にはさわやかな感じがある
葉洩日に 碧玉透けし 葡萄かな(杉田久女)
・青酸漿/青鬼燈(あおほおずき):晩夏、まだ熟していない鬼灯の青い実のこと
・青柚(あおゆ):青柚子(あおゆず)の別称
葉をつけて 青柚を売れり 京の町(長谷川櫂)
・青柚子(あおゆず):晩夏、まだ熟していない青い柚子の実のこと。
六月頃花が咲いた後、葉陰に濃い青緑の実がつく。直径3cmぐらいの時がもっとも香り高く、果皮を擦ったり削いだりして、料理の香りづけとして使われる。さわやかな青い色とともに清々しい香りが夏の食欲を誘う
・青林檎(あおりんご):夏に出荷される早生種の林檎。果皮が青く酸味が強い。丸ごと齧 ったときの口中に広がる清涼感がよい
・赤紫蘇(あかじそ):赤色の紫蘇
・赤茄子(あかなす):トマトの別称。晩夏に収穫する
・アカンサス:キツネノゴマ科アカンサス属耐寒性宿根草。地中海原産で庭などに植えられる。アザミのような葉を持ち、六月から八月にかけて太い花径を伸ばし白い唇形花を下から順に咲かせる。丈夫で育てやすい植物である
・麻(あさ):アサ科の一年草、大麻の別称。夏には2m程の茎に、深い切れ込みのある葉をつけ繁茂する。晩夏に刈り取り、茎の皮は蒸して繊維を取り乾燥させて麻糸にする。皮を剥いだ後の茎は苧殻(おがら)といい、盆の迎え火、送り火に使う
ゆり出す 緑の波や 麻の風(広瀬惟然)
麻の香の くるも涼しや 寺の庭(立花北枝)
夕暮や かならず麻の 一嵐(正岡子規)
・麻の葉(あさのは):手のひらのように分裂した麻の複葉のこと。麻自体が夏の季語
・麻の花(あさのはな):夏に咲く薄黄緑色の麻の花
・麻畑(あさばたけ):麻の栽培されている畑。麻は夏の季語
しののめや 露の近江の 麻畠(与謝蕪村)
・アスター:キク科の一年草。晩夏に菊に似た花をつける。蝦夷菊(えぞぎく)
・アスパラガスの花(あすぱらがすのはな):アスパラガスはユリ科の多年草。原産地のヨーロッパでは紀元前から栽培。多肉質の若い茎を食用にする。成長すると茎は1m以上になり、葉を松葉のように分岐させる。七月から八月にかけて釣鐘形のクリーム色の花を咲かせる
・鳳梨(あななす/ほうり):パイナップルの別称
・甘瓜(あまうり):甜瓜(まくわうり)のこと。晩夏に収穫する
・亜麻の花(あまのはな):亜麻はアマ科アマ属の一年草で繊維をとるために栽培される。草丈は50cmくらい。四月から六月にかけて淡い紫色の五弁花を茎の頂点に一つ咲かせる。花径は2cmくらい
・有馬蘭(ありまらん):胡蝶蘭の別称。兵庫県有馬に産するもの
・虎杖の花(いたどりのはな):七月ごろ、茎の先と葉腋に白い花を多数開く。雌雄異株。花の色が紅色をしているものは紅虎杖とも明月草とも呼ばれる
虎杖の 花やわびしき 水の音(佳兆)
・糸蘭(いとらん):ユッカの一種で、夏から秋にかけて開花する
・犬枇杷(いぬびわ):犬枇杷はクワ科イチジク属の落葉低木。山地に自生し、高さ4mくらいになる。四月から五月にかけて葉腋に花を一つつける。 雌雄異株。雌花は秋に果実となり、熟すと食べられる
・岩鏡(いわかがみ):亜高山、高山植物として全国に分布している。葉が光って鏡のよ うに見えるところからこの名が付けられた。おもに岩場に生える が湿原にも見られる。10cmくらいの花茎の先に、淡紅色の花 が集まるようにして咲く
・岩桔梗(いわぎきょう):キキョウ科の多年草。寒冷な高山の砂地や岩の割れ目などに自生 する。花は桔梗に似た青紫色で、花茎の頂に一個~三個咲く。下方に細かい鋸歯の葉を互生させる。根は岩や石の間に入りこんで 伸びる。危うい場所で風に吹かれている花は高貴な感じがする。草丈は5~15cm
・岩桐草(いわぎりそう):イワタバコ科の多年草。暖地の渓谷の岩場などに自生する。花や葉が桐に似ているというのでこの名がある。長い葉柄を持つ広卵 形の葉の間から花茎を伸ばし頂に漏斗形の花が下向きにまとまって咲く。花色はうす赤紫色だが、白色のものもある。草全体に軟 毛がある。草丈は10~15cm
・岩蓼(いわたで):タデ科の多年草。高山の砂礫地に生育する。地下茎が深く這って増殖する。直立した茎に卵形で大きな葉が互生し、夏に、茎やまばらに分かれた枝の先に黄白色の小花が円錐形に密集してつく。草丈は1m近くになる。花期は七月から九月にかけて
・岩煙草(いわたばこ):イワタバコ科イワタバコ属の多年草。本州、四国、九州の湿った岸壁などに自生する。七月から八月にかけて花茎をのばし、二から二十個の紅紫色の花を散形花序に咲かせる。葉がたばこの葉に似ているのでこの名がある
・岩梨(いわなし):岩梨はツツジ科イワナシ属の常緑小低木。山地で地を這うように 自生する。春に淡紅色の花を咲かせ、夏に実が熟す。蒴果は1cmくらいで食べられる。梨の果肉に似ているのでこの名がある
・岩蘭(いわらん):羽蝶蘭(うちょうらん)の別称
・朮(うけら):オケラの古名
・薄雪草(うすゆきそう):キク科の多年草。山地や乾いた草原等に自生する。蝦夷・千島・早池峰等生育する地名を冠したものやホソバナウスユキソウ、ミネウスユキソウ等の総称で、エーデルワイスも仲間。葉は長楕円形で表は白っぽい緑色、裏は灰白色。茎の頂に短く柄分れして黄褐色の小花がつく。花弁のように見えるのは包葉であり、草全体 が薄雪をかぶったように白い綿毛におおわれている。草丈25~60cm
・羽蝶蘭(うちょうらん):胡蝶蘭の別称
・独活の花(うどのはな):独活はウコギ科に属する多年草で山野に自生する。春、若い茎を食用とする。葉は大型の羽状で夏の終りから秋にかけて球状の白い小花をつける。花序の大きさは3cmくらいである
・梅鉢草(うめばちそう):ユキノシタ科の多年草。北海道から九州までの、日当たりの良い やや湿った山野に自生する。白い五弁の花が梅鉢の紋に似ている ところから名が付いた。広い卵形の葉が根生し、その間から直立 した花茎が伸び、その頂に、直径2cmほどの花をひとつづつ付ける。清楚な感じのする花である。草丈は10~40cm
・瓜(うり):瓜といえば、俵形の実。甘味のあるものも、ないものもある。代表的なものは真桑瓜(胡瓜)や白瓜のたぐい
朝露に よごれて涼し 瓜の泥(松尾芭蕉)
瓜の皮 むいたところや 蓮臺野(松尾芭蕉)
山かげや 身をやしなはん 瓜ばたけ(松尾芭蕉)
花と実と 一度に瓜の さかりかな(松尾芭蕉)
昔思へ ひとつ畑の 瓜茄子(向井去来)
押しあうて 瓜くふ顔や 蚊屋の裾(森川許六)
水桶に うなづきあふや 瓜茄子(与謝蕪村)
遠きより 友こそ来けれ 瓜むかん(黒柳召波)
たそがれや 蹠はなれし 瓜の種(加藤楸邨)
・瓜盗人(うりぬすびと/うりぬすっと):西瓜などを盗む人、瓜泥棒
・エーデルワイス:薄雪草(うすゆきそう)に同じ
・蝦夷菊/翠菊(えぞぎく):キク科エゾギク属の一年草。中国北部原産で、草丈は60cmくらい。葉は楕円形で互生する。茎や葉に白い毛をもち、夏から秋にかけて赤、桃色、青、紫、白、黄などの花を咲かせる。花径は5cmくらい。アスター
・蝦夷塩竈(えぞしおがま):シオガマギク属の多年草。高山植物。
茎は根ぎわで分枝し、直立して高さは20~50cmになる。葉は1~2cmの柄をもって茎に互生し、形は三角状披針形。葉の先端は尖り、基部は切形、縁は重鋸歯で葉の両面は無毛か、ときに毛がある。葉身の長さ2~6cm、幅0.5~2cm。
花期は8-9月で、黄白色の唇形の横向きにねじれた花が、葉腋の下段から上段に咲いていく
・蝦夷丹生(えぞにう):セリ科の多年性植物。東北から北海道の山野に自生する。直立の茎は2~3mに及び、七~九月に傘状の小さな白い花が集まって開く
・越橘(えつきつ):岩梨の別称。夏に小さな丸い実が赤黒く熟し、果肉は白く梨に似た味がする
・涎衣草(えんいそう):帚木(ははきぎ)の別称。夏に葉を茂らせ、晩夏に開花する
・花魁草(おいらんそう):北アメリカ原産の多年草。花の香りが花魁のおしろいに似ていたことからついた名といわれる。七~九月、円錐状にたくさんの花をつける。別名は草夾竹桃、宿根フロックスともいう
・黄蜀葵(おうしょっき):和名はとろろあおい。茎は直立して2mのほどの高さになる。七月半ばから葉の腋に、黄色い五弁花を横向きに開く。花の中心部は、暗紫色。朝開き、夕にしぼむ。一日花である
・大麻(おおあさ):麻のこと
・大待宵草(おおまつよいぐさ):待宵草の一種。一般には月見草と呼ばれる。
アカバナ科の越年草。北アメリカ原産の帰化植物で、明治初年に渡来し、今では各地に野生化している。茎は直立して、高さ1m前後になり、狭長楕円形で縁に浅い鋸歯(きょし)のある葉が密につく。夏の夕方、黄色で径5cmぐらいの四弁の花が枝先に連なって咲き、翌朝しぼむ。ド=フリースの突然変異説の研究材料とされた
・蒼朮の花(おけらのはな):キク科オケラ属の多年草。本州、四国、九州の日当たりのよいところに自生する。葉はかたく縁が鋸歯状。晩夏、枝先に白または淡紅色の頭花をつける。花の周囲を苞葉が取り囲む
・含羞草/知羞草(おじぎそう):マメ科の多年草でブラジル原産。草丈は20~30cmで七、八月頃、葉のわきに淡紅色で四弁の美しい花を球状につける。葉は合歓に似ている。葉に触れるとおじぎの様な運動をするのでこの名がある
・折戸茄子(おりどなす):丸い形で果肉が緻密な茄子。原種に近いためトゲが鋭く、形も不ぞろいになりがちだが、ナスらしいコクのある濃厚な味わいが特徴
徳川家康に献上していたという記録が残る。初夢に見ると縁起がいいとも、家康が愛したものともいわれる。「一富士、二鷹、三茄子」のことわざのナスが「折戸なす」と言われている。
明治以降、栽培が途絶えていたが、2005年に国の研究機関から種子を譲り受け、生産者とJA、関係者が一丸となって復活に取り組み、2007年から出荷を開始している
・御蓼(おんたで):岩蓼(いわたで)の別称。タデ科オンタデ属の多年草。ウラジロタデの変種
(2)か行
・海紅豆/海豇豆(かいこうず):梯梧(でいご)の別称。九州・沖縄にみられるマメ科の落葉高木。四、五月頃に真っ赤な花が咲く
・蒲の花(がまのはな):蒲の穂の別称。七、八月頃に出る
・蒲の穂(がまのほ):ガマ科の多年草。川、池、湿地など水辺に群生する。七~八月頃、 直立した茎の先に茶色い円筒状花穂をつける。茶色い部分は雌花 の集まりで、その上部に少し色の淡い雄花をつける。その後雌花 は真白な絮となり飛散する
・蒲鉾(がまぼこ):蒲の穂の別称。七、八月頃に出る
・鵞毛玉鳳花(がもうぎょくほうか):鷺草(さぎそう)の別称。晩夏に純白の花をつける
・蚊帳吊草(かやつりぐさ):畑や荒れ地などに生える雑草。独特の香りがある。細い茎の先に七、八月頃、黄褐色の地味な花穂をつける様が線香花火に似る。茎を裂いて広げた様は蚊帳を吊った形に似ていることからその名がついた
翁にそ 蚊屋つり草を 習ひける(立花北枝)
行き暮れて 蚊帳釣草に ほたるかな(各務支考)
野に伏せば 蚊屋つり草も 頼むべし(小林一茶)
・カラジューム:サトイモ科カラジューム属の観葉植物。南米アマゾンが原産地で、
寒さに弱い。縁取られた白や赤の葉が特徴である。草丈は40cmくらい。錦芋
・烏瓜の花(からすうりのはな):ウリ科の蔓性多年草。七・八月頃白い花を開く。花弁の先が五裂し、さらに糸状に裂けてレースを拡げたようにみえる。夕刻に開き、朝にしぼむ。かすかにウリのさわやかな香りがする
人の手は たしなし花の からす瓜(ますほ)
・烏扇(からすおうぎ):射干(ひおうぎ)の別称。晩夏に黄橙色の花をつける
・河原撫子(かわらなでしこ):ナデシコの別称。河原に多く見られるからいう。晩夏から薄紅色の花が咲き続ける
・岩高蘭(がんこうらん):岩高蘭はガンコウラン科ガンコウラン属の常緑小低木。高山に生 え、地を這って群生する。五月から七月にかけて、葉腋に小さな 暗紅色の花を咲かせる。秋に実る果実は、甘酸っぱくておいしい
・萱草の花(かんぞうのはな):ユリ科の多年草。六、七月、ユリに似た六弁花を咲かせる。花色は黄橙色。一日でしぼむ。別名わすれ草ともいう
萱草の 花とばかりや わすれ草(小西来山)
切かけし 椋(むく)のくさりや わすれ草(百萌)
・黄菅(きすげ):夕菅の別称。晩夏の暮れ方に黄色い花が咲き、翌朝にはしぼむ
・気違茄子(きちがいなす):朝鮮朝顔の別称。薬用に用いられていたが、分量を誤ると狂躁 (きょうそう) 状態になることから、かつてはこう呼ばれた
・衣笠草(きぬがさそう):ユリ科の多年草。亜高山の林中に咲く。直立した太い茎の上部に 八枚~十枚の葉を輪生させ、その中心に花茎を出し、直径6~7cmの白い大きな花をひとつつける。雪がとける頃から咲きはじめる。花は白から淡紅色そして淡緑色へと変化する。大きく輪生する葉を衣笠に見立ててこの名がある。草丈は30~80cm
・君代蘭(きみがよらん):ユッカの一種で、夏から秋にかけて開花する
・錦鶏菊(きんけいぎく):キク科ハルシャギク属の一年草。北アメリカ原産。明治時代に渡来した。日本各地の空き地や道端、河川敷などに群生する。草丈は1m以上にもなり、五月から八月にかけて黄色のあざやかな花を咲かせる。草全体が菊芋や黄花コスモスに似ている
・銀盃(ぎんさかずき):銀盃草の別称
・銀盞花(ぎんせんか):アオイ科フヨウ属の一年草。原産地は地中海沿岸から中央アフリカにかけて。草丈は50cmくらいになり、茎がまばらに枝分かれする。七月から八月にかけてクリーム色の直径3cmほどの五弁花を咲かせる。朝咲いて午前中にしぼんでしまう
・巾着茄子(きんちゃくなす):茄子の一種。「中島巾着ナス(長岡巾着ナス)」とも呼ばれる、長岡市の伝統野菜の一つ。茄子は夏の季語。
・銀盃草(ぎんぱいそう):ユキノシタ科ギンバイソウ属の多年草。本州の関東から西の山地に自生する。草丈は50~80cmくらい。楕円形の葉は対生し、全体がまばらな毛でおおわれる。七月から八月にかけて集散花序を出し、十個から二十個の白い小さな花をつける
・草いきり(くさいきり):生い茂った夏草が密生し、むせるような臭いを発していること
・草いきれ(くさいきれ):夏草のむっとする匂いのこと。「いきれ」とは、蒸れてほてること
草いきれ 人死にゐると 札の立つ(与謝蕪村)
身もあらず 鶏の砂あぶ 草いきれ(富田木歩)
草いきれ 鉄材錆びて 積まれけり(杉田久女)
・草夾竹桃(くさきょうちくとう):花魁草の別称。晩夏に開花する
・草合歓(くさねむ):マメ科クサネム属の一年草。日本全国の水田などの湿地帯に自生する。ネムノキに似たぎざぎざの葉を持ち、七月から八月にかけて葉腋から花序を出し淡黄色の蝶形の花を咲かせる。花の大きさは1cmくらい
・草の息(くさのいき):生い茂った夏草が密生し、むせるような臭いを発していること
・草野牡丹(くさのぼたん):野牡丹の一品種
・孔雀草(くじゃくそう):メキシコ原産のキク科の一年草。園芸品種が多く、高さ30~50cmほど。葉は羽状複葉。夏、径3cmほどの舌状花を開く。花は鮮黄色で基部に濃赤褐色の斑紋があり蛇の目傘のように見える
・雲井撫子(くもいなでしこ):撫子の一種。高嶺撫子のうち、白馬連峰に咲く白いもの
・黒百合(くろゆり):ユリ科の多年草で高山に生える。七月頃、濃紫色の花が咲く
・月下美人(げっかびじん):サボテン科。メキシコ原産のクジャクサボテンの一種。夏の夜20cm位の美しい、白い巨花を徐々に開く。開く時強く匂う
・小無花果(こいちじく):犬枇杷(いぬびわ)の別称
・紅黄草(こうおうそう):マリーゴールドの名で知られている、キク科コウオウソウ属の一年草。五月から十月にかけて黄色や橙色の2cmほどの花をつける。観賞用に花壇などに植えられるが、根に線虫の防除効果があるので作物の周りなどにも植えられる
・紅槿(こうきん):ハイビスカスの別称。夏、鮮やかな紅白や白色の木槿に似た花をつける
・合昏(ごうこん):合歓(ねむ)の別称。花は晩夏に咲く
・紅蜀葵(こうしょっき):北アメリカ東部、ジョージア、フロリダなどに野生する多年草で、 2m以上になる。葉が掌状に深く裂け、花は直径15cmチくらいの赤色五弁。一日花である。秋には茎が枯れてしまうが、 翌年、またその根から2mくらいの茎を伸ばして花を咲かせる
紅蜀葵 眞向き横向き はなやかに(鈴木花蓑)
紅蜀葵 常住はだか なる昼を(臼田亜浪)
・香附子(こうぶし):カヤツリグサ科のハマスゲの根茎を乾燥したもの。漢方的には理気(気のめぐりを良くする)、疏肝、調経、止痛の効能があり、気のふさがりやイライラ、腹痛、月経異常などに用いられる
・黄金甜瓜(こがねまくわうり):甜瓜(まくわうり)のこと。晩夏に収穫する
・苔桃の花(こけもものはな):苔桃はツツジ科スノキ属の常緑小低木。高山に自生し、高さは15cmくらい。六月から七月にかけて短い総状花序を出しピン ク色の花を五六個下向きにつける。秋に熟す赤い実は、ジャムや 果実酒になる
・小塩竈(こしおがま):塩竈菊の一種
・午時花(ごじか):アオギリ科ペンタペテス属の一年草。インド原産で観賞用に庭や花壇に植えられる。草丈は1m以上、七月から九月にかけて花径4cmほどの濃いオレンジ色の花を咲かせる。午後になって咲き、翌朝に散ってしまうのでこの名がある
・ご赦免花(ごしゃめんばな):蘇鉄の花のこと。八丈島はかつて流人の島で、この花が咲くと赦免の沙汰があると言い伝えられていたことから
・胡蝶蘭(こちょうらん): 夏、山の湿っぽい岩などにつく10cmほどの草。羽蝶蘭、岩蘭ともいう。薄い紅紫色の小さな花が咲く。洋蘭ファレノプシスとはことなる種類の花
・今年竹(ことしだけ):今年生えた竹。若竹
風ごとに 葉を咲き出すや 今年竹(加賀千代女)
高きより この世へ影し 今年竹(長谷川櫂)
・小梅蕙(こばいけい):高山の湿地に群生するユリ科の多年草。七、八月頃、白い小花が集まり咲く
・小梅蕙草(こばいけいそう):ユリ科の多年草。中部地方以北の山地や谷間の日当たりの良い湿地に群生する。有毒植物である。シランの葉に似た葉の柄元は茎を抱いている。茎は直立し頂が柄分かれして小さな白色の花が密集する円錐形の花房をつける。雄シベが花弁より長くとび出して いる。草丈50cm~1m
・駒草(こまくさ):ケシ科の多年草で本州中部以北に自生する高山植物。砂地に生え、他の草と混生しない。高さは10cm程度、人参に似た葉の間から茎を伸ばし、先端に五~六個袋状の淡紅色の花を咲かせる。花を横から見ると馬の顔に似ているところから、この名がある
・駒繫(こまつなぎ): マメ科コマツナギ属の小低木。本州、四国、九州の野原や土手など日当たりのよいところに自生する。高さは60~90cmくらい。葉は四五枚の小葉を持つ葉状複葉で互生する。七月から八月にかけて、葉腋から総状花序を出し、紅紫色の蝶形花をつける。馬をつなげるほど茎が丈夫であることからこの名がある
・こまとめはぎ:駒繫(こまつなぎ)の別称
・胡麻の花(ごまのはな):原産地はアフリカ、古く中国から伝わった栽培植物。七月から八月にかけ淡い紫がかった、小さな釣鐘状の花をつける。実ると朔果の中に四十粒ほどの実をつける
・金剛草(こんごうそう):駒繫(こまつなぎ)の別称。晩夏から秋にかけて赤紫の小花を穂状につける
・昆布(こんぶ):岩礁に着生する褐色の大きな海草。夏に船で沖まで出て刈り取っ たり、浅瀬で引いたりする。浜辺で乾燥させ、食料や調味料に利 用する
(3)さ行
・さがりごけ:松蘿(さるおがせ)の別称
・鷺草(さぎそう):ラン科の多年草。純白の花で湿原に自生する。白鷺が羽を広げて舞い降りるかのような形の美しい花である。花期は七・八月
鷺草や 風にゆらめく 片足だち(三宅嘯山)
うめ散つて 鷺草白き 木蔭かな(酒井抱一)
鷺草の 花消なむ風の 夜の卓(高田蝶衣)
・さびたの花(さびたのはな):ユキノシタ科アジサイ属の落葉潅木。山地に自生し、七月から八月にかけて額の花に似た白い花をつける。皮にある粘液で糊を作り、それを和紙の原料の楮に混ぜて使ったため糊空木(のりうつぎ)の和名がある
・仙人掌/覇王樹(さぼてん):メキシコ原産の多年生多肉植物。夏に菊に似た赤みをおびた黄色の花が咲く
・仙人掌の花(さぼてんのはな):花は、白、黄、赤ととりどり。どの花も大振りで美しい。強い匂いを放つものもある
仙人掌の 奇峰を愛す 座右哉(村上鬼城)
サボテンの 指のさきざき 花垂れぬ(篠原鳳作)
・早松茸(さまつたけ):キシメジ科。松茸に先立って夏に出る茸。傘の径5~20cm、 柄の長さ5~20cm。松茸に似て茶褐色。松茸のような強い 香りはないが新鮮なうちは茸らしい香りがある。歯ごたえが良く 鍋物、炊き込み御飯などに利用する
ほととぎす 確かに峰の 早松茸(内藤丈草)
・早桃(さもも):夏のうちに収穫する桃をいう。早いものは六月下旬頃から市場に出回る。山梨早生や岡山早生など、甘味も充分あって秋の桃に劣らない
・松蘿(さるおがせ):サルオガセ属。寒冷地の湿った森の針葉樹などに付着して成長する地衣類。色は淡緑色。カーテン状またはとろろ昆布状に枝から垂れ下がる。乾燥して利尿薬に利用する
・サルビア:シソ科サルビア属の多年草。花色は赤、白、紫等がある。夏から 秋にかけて花期は長く、花壇によく見られる
・珊瑚樹の花(さんごじゅのはな):珊瑚樹はスイカズラ科ガマズミ属の常緑低木ないしは高木。暖地の沿岸部に自生するほか、庭木や生垣としても植えられる。高さは5mくらいが普通で、高いものは15mにもなる。 六月ごろ、枝先に円錐花序を出し白い小花たくさんつける。実は秋に赤く熟し、しだいに藍黒色に変わる。美しい実を珊瑚にたとえて珊瑚樹の名がついた
・塩竈菊(しおがまぎく):山地や高山の草原に生えるゴマノハグサ科の植物。夏から秋にかけて、赤紫の花をつける
・鴫焼(しぎやき):夏に収穫した新茄子の鴫焼。
鴫焼とは、ナスの切り口に油を塗って焼いたものに練り味噌をつけ、再びあぶったもの。油で揚げて練り味噌をつけることもある。ナスに枝を挿して鳥の「鴫」の頭の形につくったところからの名称
鴫焼は 夕べをしらぬ 世界かな(宝井其角)
・子午花(しごか):午時花(ごじか)の別称
・四時花(しじか):日日草(にちにちそう)の別称。晩夏から秋深まる頃まで花をつけ続ける
・紫蘇(しそ):シソ科の一年草。自生もするが、おもに栽培される。香気があり青紫蘇は刺身のつまなどに、赤紫蘇は梅干の色づけなどに利用される
・紫蘇の葉(しそのは):夏の青々とした紫蘇の葉のこと
・霜降撫子(しもふりなでしこ):撫子の一種。高嶺撫子のうち、白馬連峰に咲く白いもの
・ジャスミン:モクセイ科の常緑低木。晩春から晩秋まで、枝先に芳香のある純白の小花をつぎつぎとつける。干した花をウーロン茶にまぜてジ ャスミン茶を作る
・蛇の目草(じゃのめそう):北米原産の孔雀草の一種で波斯菊(はるしゃぎく)の別称。七、八月頃にコスモスに似た黄色や赤の花をつける
・沙羅の花(しゃらのはな):ツバキ科の落葉高木。10mほどの丈になる。白い花びらに黄色の蕊をもつ。咲いてもその日のうちに落ちてしまう一日花。花の形が椿に似ていることから「夏椿」ともいう。釈迦入寂の「沙羅双樹」とは別の木である
花を拾へば はなびらとなり 沙羅双樹(加藤楸邨)
沙羅の花 捨身の落花 惜しみなし(石田波郷)
沙羅の花 緑ひとすぢ にじみけり(石田波郷)
・絨花樹(じゅうかじゅ):合歓の別称。花は晩夏に咲く
・女王花(じょおうか):月下美人の別称。南米原産のサボテン科の多年草。夏の真夜中に咲き、数時間でしぼむ多肉植物
・白根葵(しらねあおい):キンポウゲ科の多年草。日本原産の植物である。深山に自生するが、日光の白根山に多いところから名が付いた。直立した茎に掌状の葉を互生する。花は茎の頂にひとつ咲く。四枚の花弁のように見えるのは萼で、中心に雄シベと雌シベがある。直径5~10cmの大きな淡紅色の花は平開し、立葵の花に似ている。草丈20~60cm
・白瓜/越瓜(しろうり):白瓜ウリ科の一年生果菜。甜瓜に似るが甜瓜よりもやや大きい。青々としているが完熟すると白くなるのでこの名がある。甘みも香りもなく奈良漬けや鉄砲漬などに用いられる
越瓜や もの喰あきし 魚の店(うおのたな)(葛巾)
あさ瓜や 畏(かしこ)まりたる 姫の膝(中尾我黒)
・白茄子(しろなす):ナスの一品種。果皮の色が白い。しろなすび
・新藷(しんいも):さつまいもの走りをいう。普通、九、十月頃に市場に出盛るが、早生のものは六、七月頃に出る。走りのものとして、盆の供え物に添えたりする。すじがあり、甘味は充分ではない
・新枝豆(しんえだまめ):立秋前に獲れる枝豆のこと。夏豆。
ハウスなどで栽培されるものは五月ころ市場に出回る。枝豆は秋の季語
・新牛蒡(しんごぼう):若牛蒡の別称。夏に収穫したもの
・新生姜(しんしょうが):生姜はショウガ科の多年草。秋、淡黄色で多肉の根茎が大きくなったものを収穫するが、新生姜は八月ころに掘った若い根を食用とする。香りが高く辛味も強い
・睡蓮(すいれん):七月から八月にかけて、水面に浮かぶように咲く花。蓮によく似るが、蓮のように茎が立ち上がらない。印象派のモネが好んで描いた花でもある。「子季語」のヒツジ草は日本の野生種の睡蓮で、未の刻に萎んだり開花したりするからこの名があるといわれる
睡蓮の 花沈み今日の こと終へず(臼田亜浪)
睡蓮の 敷き重なりし 広葉かな(星野立子)
睡蓮の 池より流れ 来し一花(高田正子)
・砂苺(すないちご):岩梨の別称。夏に小さな丸い実が赤黒く熟し、果肉は白く梨に似た味がする
・西洋メロン(せいようめろん):エジプト原産のウリ科の蔓性一年草。甘く芳香があり、また果汁も多く、夏の果物として珍重されている。代表はマスクメロンである
・喘息煙草(ぜんそくたばこ):薬剤を巻きタバコ状にし、喘息発作時に吸って用いたもの
・禅庭花(ぜんていか):萱草に似たキスゲ亜科の多年草。一般的にはニッコウキスゲ(日光黄菅)の名前で呼ばれる。七月頃、橙色の花が開く
・千日紅(せんにちこう):千日草の別称。開花が初夏から晩秋まで続く
・千日草(せんにちそう):ヒユ科センニチコウ属の一年草。熱帯アメリカ原産で庭や公園に植えられる。草丈は40cmくらい。六月から十月にかけて、茎の先端に苞といわれるぽんぽん状の赤い花をつける。花径は2cmくらい。花期が長いのでこの名がある
・蒼朮(そうじゅつ)/蒼朮の花(そうじゅつのはな):蒼朮はおけらの別称。晩夏から秋にかけ、枝先に白や紅白色の花をつける
・素馨(そけい):モクセイ科の常緑樹の茉莉花(まつりか)の別称。枝先に強い芳香をもつ小花が咲く。花を乾燥させたものを茶に入れるとジャスミン茶となる。またジャスミン油の原料にもなる
・蘇鉄の花(そてつのはな):蘇鉄はソテツ科ソテツ属の常緑低木。暖地に自生するほか公園などにも植えられる。大きいもので5mくらいになる。六月から八月にかけて茎頂に大きな花をつける。雄花は黄色味を帯び た棒状で、雌花は球状になる
・そのひぐさ:日日草の別称
(4)た行
・高嶺草(たかねぐさ):高山帯・亜高山帯などの高山に生える植物の総称
・高嶺塩竈(たかねしおがま):シオガマギク属の高山植物。高山植物としては珍しい一年草である。
本州の中部地方から北海道の高山帯に分布し、砂礫地や草地に生える。高さは5~15cm。茎の上部に唇形の紅紫色の花を10個ほどつける。花期は7~9月
・高嶺撫子(たかねなでしこ):撫子の一種。高山の荒れた土地に咲く
・竹煮草(たけにぐさ):ケシ科の大形多年草。丈は2mにも達する。山野の日当たりのよい場所に自生し、葉裏も茎も白っぽく、茎の頂に白色の、 時には赤みを帯びた小花をつける。果実は莢状にたれて、風に揺れると音を立てることから、ささやき草とも呼ばれる
馬飼ひも 馬柵して住めり 竹煮草(前田普羅)
・竹の若葉(たけのわかば):晩夏の頃の若竹についた若々しい葉のこと
・竹の若緑(たけのわかみどり):若竹の若々しい葉
・ダチュラ:ナス科チョウセンアサガオ属の一年草。朝鮮朝顔のこと。原産地は熱帯アジア。草丈は1mほどになる。卵型の葉を持ち、夏に10~15cmほどの漏斗状の白い花を咲かせる。草全体に毒があり、華岡青洲が手術に使った全身麻酔薬には、この朝鮮朝顔の葉が使われていたという
・ダリア/ダリヤ:キク科。メキシコ原産の多年草。春に球根を植えて夏に咲かせる。手鞠形のポンポン咲きや舌状のデコラ咲きなど形や色も多様である。わが国には天保時代に渡来した
大いなる 緋ダリア草に 逆しまな(原石鼎)
一輪の 黄なるダリアに 心寄す(原石鼎)
なかんづく 緋の天鷲絨(びろーど)の だりあかな(原石鼎)
・俵茱萸(たわらぐみ):夏茱萸の別称。晩夏の頃に実が赤く熟する
・千島桔梗(ちしまききょう/ちしまぎきょう):千島で発見されたキキョウ科 ホタルブクロ属 に属す 多年草 。七、八月頃に外側が紫、内側が淡紫色のややうつむきの花をつける
・千鳥草(ちどりそう):ラン科テガタチドリ属の多年草。本州の中部地方以北及び北海道の高山の草原などに自生する。草丈は30~60cmくらい。広線形の葉は互生する。七月から八月にかけて茎の頂点に穂状花序を出し、赤紫色の花を多数咲かせる。花を千鳥の飛ぶ様に見立ててこの名がある
・地麦(ちばく):帚木(ははきぎ)の別称
・地膚(ちふ):帚木(ははきぎ)の漢名
・朝鮮朝顔(ちょうせんあさがお):ダチュラに同じ
・朝露草(ちょうろそう):銀盞花の別称。晩夏に黄色い花をつける
・草石蚕の花(ちょろぎのはな):シソ科カッコウソウ属の多年草の植物。草丈は60cmほどになる。六月から七月ころ花穂を伸ばしピンク色の花を穂状に咲かせる。晩秋にできる塊茎は正月用の料理に利用される
・ちんぐるま:バラ科ダイコンソウ属の落葉小低木。高山地帯に群生する。六月から八月にかけて直径2cmくらいの白い花を一 面に咲かせ、お花畑を作る
・栂桜(つがざくら):ツツジ科の常緑小低木。葉は栂に、花は桜に似る。七月頃、薄紅色の花をつける
・月見草(つきみそう):アカバナ科の二年草、原産地はメキシコ。初夏になると、白い四弁の大きな花を夕刻に開き翌朝にはしぼんで赤黄色となる
月見草 別れてのちの 山霧は(臼田亜浪)
月見草 咲く砂明り 聖徒にや(河東碧梧桐)
北斗露の ごとし咲きすむ 月見草(渡辺水巴)
・葛籠葛(つづらかずら):葛藤(つづらふじ)の別称。晩夏七月頃、淡緑色の小花が集まり咲く
・葛藤(つづらふじ):葛藤はツヅラフジ科ツヅラフジ属の落葉蔓性植物。日本各地の山地に自生し、蔓は長く伸びる。七月から八月にかけて小型の円錐花序に淡緑色の小さな花をつける。秋に小さな葡萄状の実が黒く熟す
・爪切草(つめきりそう):松葉牡丹の別称
・釣浮草(つりうきそう):フクシアの別称。晩夏に葉元から白・桃・紅紫などの花を下垂する
・蔓手毱(つるでまり):ユキノシタ科アジサイ属の蔓性植物。日本各地の山地に自生し、枝から多くの気根を出して崖や木の幹を這い上る。葉は卵形で対生し、六月から七月にかけて、山アジサイに似た多くの両性花と白い装飾花をつける
・連鷺草(つれさぎそう):鷺草に同じ
・梯姑/梯梧(でいこ):マメ科の落葉高木でインド原産。四~五月頃、葉よりも早く、真っ赤な蝶形花が密集してつき、木全体が真っ赤に見える。花の赤 が強烈で印象的。幹や枝に刺がある。沖縄県の県花
・天竺牡丹(てんじくぼたん):ダリアの別称。夏から秋にかけて開花する
・天仙果(てんせんか):犬枇杷の別称。晩夏に実が濃紫色に熟するが、味はまずい
・唐黍の花(とうきびのはな):玉蜀黍の花の別称。晩夏、穂状の雄花が咲く
・玉蜀黍の花(とうもろこしのはな):熱帯アフリカ原産。イネ科の一年草。雌雄異花で夏の終わりの頃、茎頂に薄に似た大きな雄花をつける。雌花は葉腋上の苞の中から赤毛状の花柱を長く垂らし、雄花が風に飛ばした花粉を受ける
・トマト:ナス科の野菜。原産は南米のペルー。赤く艶々した球形は夏の太陽を思わせる。青い実の頃から酸味のある匂いを放ち、完熟して水分と甘味を含む。冷して生で食べるのが一番。ジュースやトマトピュゥレ、料理等に用いる
・土用の芽(どようのめ)/土用芽(どようめ):土用の頃萌え出る新芽、梅雨明けの頃の気温上昇で芽吹く
・土用藤(どようふじ):夏藤の別称
・とろろあおい:黄蜀葵(おうしょっき)の別称。
(5)な行
・長茄子(ながなす):20~25cm前後の長さになる細長いナスの総称。在来種として栽培されてきたものがいくつもあり、農林水産省のホームページに在来種の主なものとして東北地方では秋田県の「河辺(かわべ)長茄子」、岩手県の「南部(なんぶ)長茄子」、大阪府の「大阪長茄子」、宮崎県の「佐土原(さどわら)長茄子」などが紹介されている
・水葱(なぎ):水葵の別称。夏、青紫の小花をつける
・梨瓜(なしうり):甜瓜(まくわうり)のこと。晩夏に収穫する
・茄子(なす/なすび):茄子紺(なすこん)というとおり、光沢のある濃紺のひょっとこ形の実。広葉に隠れるように実り、つやつやとした皮が雨滴や露をはじく。茄子汁や焼き茄子、茄子の鴫焼、茄子漬など食べ方もさまざまある。初物は「初茄子」という
これやこの 江戸紫の 若なすび(西山宗因)
水桶に うなづきあふや 瓜茄子(与謝蕪村)
・茄子汁(なすじる):茄子のみそ汁のこと。茄子は夏の季語
苣(ちさ)はまだ 青葉ながらに 茄子汁(松尾芭蕉)
・茄子漬(なすづけ):茄子の糠漬や塩漬けのこと。採りたての茄子を夜に仕込んで朝に食べる一夜漬けは、ことのほか茄子の旨味を引き立てる。一つまみの焼明礬を加えることで、茄子紺の鮮やかさを損なうこともな い
・茄子の鴫焼(なすのしぎやき):茄子を縦二つ切りにして油で揚げるか、串にさし切り口に油を塗って焼くかして練り味噌をかける。けしの実や粉山椒をふり熱いうちに供する
・夏茱萸(なつぐみ):夏茱萸はグミ科グミ属の落葉小高木。本州や四国の山野に自生し、 高さは4mくらいになる。四月から五月ころ葉腋に淡黄色の花を咲かせ、六月ころに赤い実が熟す。食用になる
・夏水仙(なつずいせん):キジカクシ目ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草。葉が水仙に似ていることからこの名がついた。夏の終りに薄い赤紫色のラッパ状の大きな花を咲かせる
・夏椿の花(なつつばきのはな):沙羅(しゃら)の花の別称。晩夏、葉の根元に椿に似た白い五弁花をつける
・夏葱(なつねぎ):秋に種を蒔いて夏に収穫する葱のこと。白い部分が少なく青い葉の部分食べるので葉葱ともいう。酢味噌和えにしたり、冷麦や冷奴などの薬味にしたりする。夏料理の名脇役でもある
夏葱に 鶏裂くや 山の宿(正岡子規)
・夏萩(なつはぎ):萩は秋の七草の一つ。 9月頃に蝶形の花をつけるが、夏に早々と咲くものを夏萩という。 宮城野萩を別名さみだれ萩、あるいは夏萩という
・夏藤(なつふじ):マメ科ナツフジ属の蔓性植物。本州から四国九州の暖かい山地に自生する。七月から八月にかけて、流さ15cmほどに総状花序を伸ばし、白い蝶形の花を多数咲かせる。花も葉も藤に似る
・夏豆(なつまめ):立秋前に獲れる枝豆のこと。ハウスなどで栽培されるものは五月ころ市場に出回る。枝豆は秋の季語
・夏桃(なつもも):早桃(さもも)の別称。
・撫子(なでしこ):秋の七草の一つ。薄紅色または白で、花の縁にぎざぎざがある。中国原産の石竹をカラナデシコというのに対し、日本に自生するのはヤマトナデシコとして、古くから日本人に親しまれてきた。和名は「撫でし子」からきてをり、女性やこどもを象徴する花でもある
酔うて寝む なでしこ咲ける 石の上(松尾芭蕉)
なでし子に かゝる涙や 楠の露(松尾芭蕉)
かるがると 荷も撫子の 大井川(広瀬惟然)
かさねとは 八重撫子の 名なるべし(河合曾良)
常夏や あちら隣は 相撲とり(吟水)
撫子の 節々にさす 夕日かな(夏目成美)
撫子を 斧もて削る ごとくせよ(長谷川櫂)
・生胡桃(なまくるみ):晩夏、まだ熟していない小さな青い胡桃の実のこと。青胡桃
・なんばんの花:玉蜀黍(とうもろこし)の花の別称
・日日花(にちにちか):日日草の別称。晩夏から秋深まる頃まで花をつけ続ける
・日日草(にちにちそう):西インド原産。日本では観賞用に栽培され、30cmほどの茎に長楕円形の葉をつける。その腋から先が五つに裂けた筒状の花を数個つける。五月から十月、赤、白、桃色などの新しい花が日々、咲き代わり、秋には細長い実をじれば薬になる
・日輪草(にちりんそう):向日葵(ひまわり)の別称
・日光黄菅(にっこうきすげ):ユリ科の多年草。山地・高原湿原・草原等に群生している。日光に多いのでこの名がある。50~60cm程の線形の葉が扇状に出て先は下方へ折れ曲がる。花茎は直立し頂に数個の蕾がつき、次々と咲き続ける。花色は淡い橙色で、ユリに似ている一日花。 草丈は60cm~1m
・日中金銭(にっちゅうきんせん):午時花(ごじか)の別称。晩夏から初秋にかけ赤い花をつける
・韮の花(にらのはな):東アジア原産、ユリ科の多年草。八月頃、30cm程の茎の頂点に、白い小花を球状につける
・庭草(にわくさ):帚木(ははきぎ)の古称
・蒜の花(にんにくのはな):蒜はユリ科の多年草。地下に生ずる大きな鱗茎を食用、薬用、強壮剤に用いる。八月ころに花茎を伸ばし薄紫色の小さな花を球状咲かせるが、鱗茎を太らせるためすぐに摘み取られてしまう
・ねぶの花(ねぶのはな):合歓の花の別称。花は晩夏に咲く
象潟や 雨に西施が ねぶの花(松尾芭蕉)
・合歓の花(ねむのはな):合歓は淡紅の刷毛のような美しい花を開く。夜になると葉を閉じて眠ったようになるので、この名がある
舟引の 妻の唱歌や 合歓の花(三上千那)
雨の日や まだきにくれて ねむの花(与謝蕪村)
合歓咲くや 河水を汲む 桔槹(はねつるべ)(河東碧梧桐)
合歓咲くや 此処より飛騨の 馬糞道(前田普羅)
合歓今は ねむり合すや 熱の中(石田波郷)
・ねむり木(ねむりぎ):合歓(ねむ)の別称。花は晩夏に咲く
・眠草(ねむりぐさ):含羞草(おじぎそう)の別称。晩夏、薄紅色の小花を毬状につける
・凌霄(のうぜん)/凌霄花(のうぜんかずら)/凌霄の花(のうぜんのはなn):夏に咲く蔓性植物の花。花はオレンジ色で漏斗状。樹木や塀に絡まって高々と咲き上る。中国原産で古くから庭木として植えられている。花の色が特異なのでかなり目立ち存在感がある。咲いた先から次々に散るので、地上に散り敷くさまも美しい
凌霄の 咲くや田中の 薬師堂(露羔)
凌霄や 水なき川を 渡る日に(蒼)
凌霄や 木を離れては何処這ん(天野桃隣)
のうぜんや 真白き函の 地震計(日野草城)
家毎に 凌霄咲ける 温泉かな(正岡子規)
・野牡丹(のぼたん):ノボタン科シコンノボタン属の常緑低木。ブラジル地方原産。葉は対生し丈は2mほどになる。七月から八月にかけて、枝先に紅紫色の五弁の花をつける。花の直径は7cmくらい。牡丹に似ていないが、牡丹のように美しいのでこの名がついた
・糊うつぎの花(のりうつぎのはな):さびたの花の別称。夏、枝端に円錐状に密集した白い小花が咲く
(6)は行
・バーベナ:クマツヅラ科クマツヅラ属(バーベナ属)の総称。約250種の一年草および多年草を含む。ヴァーベナと表記されたり、ビジョザクラ(美女桜)などの名でも呼ばれる
・パイナップル:パイナップル科の常緑多年草。原産は南米。薄紫色の花をつけ、 楕円形の果実となる。芳香があり、生食のほか缶詰に加工される
・ハイビスカス:中国、インド原産で、広く熱帯地域に分布する。日本では越冬できる沖縄や九州南部で植えられるほか温室でも栽培される。高さは2~3mほどになる。朝、開花し夜にはしぼむ。赤が主流でピンクや朱、黄色などもある
・白山一花(はくさんいちげ):キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草。湿り気のある草原に生える。夏、根生葉のわきから花茎をのばしその先端に2cmほどの白い花をひとつ咲かせる。石川県白山に多く見られたことから この名がついた
・芭蕉の花(ばしょうのはな):中国原産、日本では中部以西で栽培。七月から九月、美しい大きな葉の間から太い花茎を首をもたげるように伸ばす。穂の上に雄花、下に雌花をつけ、やがてバナナのような実がなるが食べられない
法の世や 在家のばせを 花が咲く(小林一茶)
・走り藷(はしりいも):夏のうちに掘られる薩摩芋。新藷(しんいも)
・蓮(はす/はちす):仏教では涅槃の境地を象徴する神聖な花とされ、仏はこの花の上に座す。また、泥の中から伸びて美しい花を咲かせるところから、中国では聖人の花とされた。花が終わったあとの実床が蜂の巣に似ていることから「はちす」といわれ、和名の「はす」はそれを略したものである。実床の中の黒い実と地下茎(蓮根)は食用になる
さはさはと はちすをゆする 池の亀(上島鬼貫)
雨の矢に 蓮を射る蘆 戦へり(松尾芭蕉)
蓮の香に 目をかよはすや 面の鼻(松尾芭蕉)
鯉鮒の この世の池や 蓮の花(森川許六)
蓮の香や 水をはなるる 茎二寸(与謝蕪村)
戸を明けて 蚊帳(かや)に蓮(はちす)の 主(あるじ)かな(与謝蕪村)
蓮の花 咲くや淋しき 停車場(正岡子規)
ほのぼのと 舟押し出すや 蓮の中(夏目漱石)
蒲の穂は なびきそめつつ 蓮の花(芥川龍之介)
舟道の 桑名は蓮の 花ざかり(長谷川櫂)
・蓮池(はすいけ):蓮を栽培している池。蓮は夏の季語
・蓮の花(はすのはな):スイレン科の多年草で、池や沼などで栽培する。真夏に咲く花が涼味を呼ぶ
・蓮見(はすみ):蓮の花は夜は閉じて朝開く。それを早朝から池や沼に見に出かけること。朝の涼気の中、紅や白の大輪が開くのを見るのは何とも清々しい。近年では古代の種から咲かせた大賀蓮も有名。舟を仕立てれば蓮見舟
・蓮見舟(はすみぶね):蓮見のための舟
・初茄子(はつなす/はつなすび):その夏に初めてとれた茄子のこと
めづらしや 山を出羽の 初茄子(松尾芭蕉)
だしで煮て 冷ましてあるや 初茄子(長谷川櫂)
・初雪草(はつゆきそう):北米原産の一年草。七、八月頃、表面の葉が白く変色する
・葉唐辛(はとうがらし):晩夏の頃の、まだ青々としている唐辛子の葉
・花笠草(はながさそう):衣笠草(きぬがさそう)の別称。晩夏に白く大きい花が咲く
・花珊瑚(はなさんご):生垣用に植えられる常緑小高木。七、八月頃、枝先に紫がかった白い小花が集まり咲く
・花合歓(はなねむ):マメ科の落葉高木。梅雨の後の晩夏に、刷毛先のように紅をまじえた花をつける
・花芭蕉(はなばしょう):芭蕉の花に同じ
島の子と 花芭蕉の蜜の 甘き吸ふ(杉田久女)
県庁や 訴人もなくて 花芭蕉(日野草城)
・花瓢(はなひさご):瓢箪はウリ科ユウガオ属の蔓性一年草。北アフリカ、インド、タイが原産。七月から八月にかけて蔓の先端に夕顔に似た白い花を咲かせる。夕顔同様夕方に花を咲かせる
・花糸瓜(はなへちま):ウリ科の一年草で、晩夏、黄色い釣鐘型の小花をつける
・花紫(はなむらさき):ムラサキ科ムラサキ属の多年草。日本各地の山地に自生する。根は染料や薬用に利用されてきた。草丈は40~80cmくらい。六月から八月にかけて、花径8mmくらいの白い花を咲かせる
・帚木/地膚子(ははきぎ):箒の材料となる草。生えている状態も、箒に似てこんもりとしている。晩夏、黄緑色の小花をつける。その実は「とんぶり」と呼ばれ食用になる
・帚草(ははきぐさ):帚木の別称。夏に葉を茂らせ、晩夏に開花する
・浜万年青(はまおもと):浜木綿(はまゆう)の別称。晩夏に白い花を傘形につける
・浜菅(はますげ):カヤツリグサ科の多年草。海岸の日当たりの良い砂地や草原に自生する。繁殖力が強く群生する。線形の葉の根元から硬い花茎が直立し、頂に赤茶色の20~30個の小花からなる細い花穂を数本つける。地味で目立たないが塊茎は薬用となる。草丈20~30cm
・浜梨(はまなし):ハマナスの和名。六月頃、香りのよい紅色の花が咲く
・玫瑰(はまなす):バラ科。海辺に自生する。葉や枝に棘があり、五月ごろに開花する。真っ青な海を背景に真紅の花が美しい。秋に甘い実をつける
玫瑰や 今も沖には 未来あり(中村草田男)
・浜撫子(はまなでしこ):藤撫子の別称
・浜木綿の花(はまゆうのはな):ヒガンバナ科の花。日本では関東以西の温暖な地の海岸に咲く。万年青のような葉であるが大きく、七、八月頃傘形の白い花を咲かせる。葉の艶と花の芳香がよい。万葉歌人の柿本人麻呂にも詠まれた。夏の海を感じさせる花
・早松茸(はやまつたけ):早松茸(さまつたけ)に同じ
・波斯菊(はるしゃぎく):キク科ハルシャギク属の一年草。空き地や道端などに生える雑草。七、八月頃にコスモスに似た黄色や赤の花をつける。
和名の由来となっている「ハルシャ(波斯)」はペルシャのこと。別名はジャノメソウ(蛇目草)
・蕃茄(ばんか):トマトの別称。晩夏に収穫する
・樊噲塩竈(はんかいしおがま):ゴマノハグサ科(APG分類:ハマウツボ科)の半寄生の多年草。茎は斜め上に伸び、高さ50~80cm。葉は互生し、羽状に深く裂け、長さ20~30cm。8~9月、分枝した花序を出し、各枝先に花穂をつくり、紅紫色花を開く
・射干/檜扇(ひおうぎ):本州西部から九州に分布し、山地の原野に生育する。太い根茎をもち、長さ30~40cm、幅約3cmの剣状の厚い葉が檜 扇のようになることから名づけられた。七、八月頃に朱橙色に赤 色斑のある花を咲かせる。花の直径は5~6cm。ダルマヒオ ウギやフイリヒオウギなどの園芸品種もある
・日車(ひぐるま):向日葵の別称
・瓢の花(ひさごのはな):花瓢に同じ
・美女桜(びじょざくら):バーベナクマツヅラ科バーベナ属の一年草または宿根草。中南米原産で庭や公園に植えられる。草丈は30cmくらい。五月から十月にかけて桜草に似た白やピンク、赤、紫などの花を咲かせる
・未草(ひつじぐさ):睡蓮の別称。夜咲きのものが未の刻ごろに開花したことから
・日照草(ひでりそう):松葉牡丹の別称。夏に開花する
・向日葵(ひまわり):向日葵は太陽の花。太陽に向かって花の向きを変えると考えて、この名がついた。夏の象徴の花である
向日葵の 月に遊ぶや 漁師達(前田普羅)
向日葵の 蕋を見るとき 海消えし(芝不器男)
日を追はぬ 大向日葵と なりにけり(竹下しづの女)
向日葵の 眼は洞然と 西方に(川端茅舎)
向日葵の 垂れしうなじは 祈るかに(篠原鳳作)
・氷室の桜(ひむろのさくら):氷室のある辺りで、夏になって咲く桜をいう。また、春咲いた花を氷室に入れて保存しておくことという解釈もある
氷噛めば 匂ふ氷室の 桜かな(高桑蘭更)
・氷室の花(ひむろのはな):氷室を作るような寒冷の山地で、夏になってようやく咲く桜の花のこと
・姫瓜(ひめうり):甜瓜(まくわうり)の一種
・姫沙羅(ひめしゃら):ツバキ科の落葉高木。関東以西の山林中に自生。樹皮は淡黄赤色で滑らか。葉は長卵形で先がとがる。夏、白い五弁花を開く。庭木にする
・姫撫子(ひめなでしこ):撫子の一種。北欧原産のごく小型のもの
・姫野牡丹(ひめのぼたん):ノボタン科の一年草。本州中部以南、四国、九州の暖地の日当たりのよい草地に生える。高さ約30cm。葉は対生し披針形で全縁、縁に毛がある。夏、枝先に紅紫色の四弁花をつける
・百日草(ひゃくにちそう):メキシコ高原の原産で、日本には江戸時代末期1862年に渡来。強い日照、高温多湿を好む。七月~九月と開花期が長く、花もちがいいことから百日草の名がついた。白、赤、黄、紫など色はいろいろ、一重や八重咲きもある。仏花としても供えられる
・白蓮(びゃくれん/しろはちす/しろはす):白色の花をつける蓮
白蓮に 人影さはる 夜明かな(大島蓼太)
白蓮に 夕雲蔭る あらしかな(加舎白雄)
・瓢箪草(ひょうたんそう):フクシアの別称。晩夏に葉元から白・桃・紅紫などの花を下垂する
・瓢箪の花(ひょうたんのはな):瓢の花の別称。晩夏に白い花をつける
・風蝶草(ふうちょうそう):フウチョウソウ科クレオメ属の一年草。原産地は熱帯アメリカ。夏、草丈は1mほど、茎の頂点に淡いピンク色の総状花を咲かせる。夕方から咲き始め、翌日昼頃にはピンク色が薄くなる一日花である
・風鳥草(ふうちょうそう):中南米原産の観賞植物。晩夏から秋にかけて開花する
・風蘭(ふうらん):ラン科の常緑多年草。太い根を伸ばし樹木などに生える野生のラン。厚く細長い葉をつけ、七月頃に白い五弁の花を開く。よい香りを漂わせる。園芸品種として鉢植えもされる。高いところに吊られているのをよく目にする
来る人に 風蘭おろす 軒端哉(池西言水)
風蘭の 先や蘇鉄の 八九本(河合曾良)
・風露草(ふうろそう):フウロウソウ科の多年草。山野の日当たりの良い所に自生する。フウロ草は地方種が多く、白山・蝦夷・千島・浅間・四国等地名を冠する。ゲンノショウコもフウロソウの仲間である。もみじのような深く切れ込んだ葉を持ち、花は、直立した茎の頂の短く分かれた柄に数個咲く。色は白からピンク色・紫色等いろいろあるが、花弁に筋が入る。草丈は10~80cmくらい。花は五弁で可憐
・富栄草(ふえいそう):銀盞花の別称。晩夏に黄色い花をつける
・フクシア:アカバナ科フクシア属の落葉低木。熱帯原産の植物で、おもに温室で栽培される。数ある品種の中でも伊達紫は花が大きく、三月から十一月にかけて花弁四枚がく片四枚の濃紅色の花をあざやかに咲かせる
・ふくべの花(ふくべのはな):瓢の花の別称。晩夏に白い花をつける
・藤撫子(ふじなでしこ):ナデシコ科の多年草。海岸に生え、高さ20~50cm。長楕円形の葉が対生。7、8月ごろ、紅紫色の花を開く
・扶桑花(ふそうか/ふそうげ):ハイビスカスの別称。夏、鮮やかな紅白や白色の木槿に似た花をつける
・豚草(ぶたくさ):北米原産のキク科一年草で、蓬に似た草。晩夏に黄色い小花を穂状につける
・仏桑花(ぶっそうげ):ハイビスカスの別称。夏、鮮やかな紅白や白色の木槿に似た花をつける
・屁糞葛(へくそかずら):灸花の別称。晩夏から初秋の頃、小花が集まり咲く
・糸瓜の花(へちまのはな):花糸瓜に同じ
・紅蓮(べにはす/ぐれん):蓮の中でもひときわ色が濃く、花びらが紅色やピンク色の蓮の花のこと
・鳳梨(ほうり/あななす):パイナップルの別称
・木防己(ぼくぼうき):葛藤(つづらふじ)の別称。晩夏七月頃、淡緑色の小花が集まり咲く
・菩提樹の花(ぼだいじゅのはな)/菩提の花(ぼだいのはな):菩提樹はシナノキ科シナノキ属の落葉高木。寺院の境内などに植えられ、大きいもので20mにもなる。六月ごろ淡黄色の 芳香のある花を咲かせる。秋に直径7~8mmの球状の実をつける。乾燥させた実は数珠玉などに利用する
・蛍草(ほたるそう):セリ科ミシマサイコ属の多年草。日本各地の日当たりのよい山地などに自生する。草丈は1m以上にもなり、茎の上部で枝分かれする。八月ころ茎の先端に複散形の花序を伸ばし、黄色い粒状の小さな花をつける
・布袋葵(ほていあおい):ミズアオイ科ホテイアオイ属の多年草。南アフリカ原産の水草で池などに浮いた状態で生育する。葉の付け根あたりのふくらみが、七福神の布袋様に似ているところからこの名がある。夏に淡い紫色の花を咲かせる。繁殖力が高く、池を覆うほど増える
・布袋草(ほていそう):布袋葵の別称。真夏に薄紫の花が咲く
・ポンポンダリア:ダリアの園芸品種。花は径5~7cm。管状の花弁が多数内側に巻いて、てまり状をなし、赤・白・黄など、色の変化が多い
(7)ま行
・真木草(まきくさ):帚木(ははきぎ)の古称
・真瓜(まくわ):真桑瓜(まくわうり)の別称
涼しさの 水からはずむ 真瓜かな(浪化)
夏かけて 真瓜も見えず 暑さかな(向井去来)
・真桑瓜/甜瓜(まくわうり):ウリ科蔓性一年草。初夏、花を咲かせたあとに結実する。大きさは15cmくらいになる。さっぱりとした香りと甘味がある
闇の夜と 凄く狐下はふ 玉真桑(松尾芭蕉)
白くても しろき味なし 真桑瓜(上島鬼貫)
・マスクメロン:メロンの一品種。果実の表面に網目模様がある。香りがよいところから、マスク(麝香 (じゃこう) )の名がある。温室で栽培。ネットメロン。あみメロン
・松葉牡丹(まつばぼたん):スベリヒユ科の一年草。葉は松葉に似、花は牡丹のように鮮やかなところからこの名がついた。草丈は7~8cmくらい。細かい種を周辺に落として増え続ける。色はピンク、赤、黄色など
・待宵草(まつよいぐさ):マツヨイグサ属の総称。一般には月見草と呼ばれる
・茉莉花(まつりか):ジャスミンのこと
・まつりんご:パイナップルのこと
・マリーゴールド:メキシコ原産の孔雀草の一種。晩夏から秋にかけ黄色っぽい花をつける
・丸茄子(まるなす):形が丸いタイプの茄子の総称
・万寿菊(まんじゅぎく):メキシコ原産の孔雀草の一種で紅黄草(マリーゴールド)の別称。晩夏から秋にかけ黄色っぽい花をつける
・曼陀羅華(まんだらげ):朝鮮朝顔の別称
・三稜草(みくりそう):池や沼に生える多年草。晩夏に白い花が毬状につく
・水葵(みずあおい):ミズアオイ科の一年草。沼や田に自生するが、栽培もされる。葉は葵に似た心臓形。高さは30cmほど。夏に青紫色の小さな花をつけ、秋まで咲き続ける。水葱(なぎ)は古名で、昔食用としたことからこう呼ばれた
・水朝顔(みずあさがお):水車前(みずおおばこ)の別称。晩夏から秋にかけて水面に白い花が開く
・水車前(みずおおばこ):水田や溝に生える。葉がオオバコに似ているためミズオオバコという。花は直径3cmほどで、水面に出て咲く一日花。白地に淡い紫色を帯びる。花期は八月から十月。花の形が朝顔に似ているため、ミズアサガオともいわれる
・嶺の雪(みねのゆき):初雪草の別称。北米原産の一年草で、七、八月頃、表面の葉が白く変色する
・深山塩竈(みやましおがま):シオガマギク属の多年草の高山植物。
北海道から中部地方以北の高山帯の砂礫地や乾いた草地に生える。高さは5~15cm程度。シダのような葉は、同属のヨツバシオガマやタカネシオガマに似るが、小葉が更に細かく切れ込んでいることで区別ができる。花期は7~8月。他の高山植物と比べ開花の時期が早い。茎の先端に長さ2~3cmの唇形で鮮やかな紅紫色の花を10個ほど固まってつける
・茗荷汁(みょうがじる):茗荷の子を入れた汁物のこと。茗荷の子は夏の季語
茗荷汁に うつりて淋し 己が顔(村上鬼城)
・茗荷の子(みょうがのこ):茗荷の花芽。風味があり、味噌汁の具や薬味にするが、これを食べると物を忘れるという俗説がある。「茗荷の花」は秋
・虫取菫(むしとりすみれ):タヌキモ科ムシトリスミレ属の多年草。北海道、本州、四国の高山の湿った岩場などに自生する。草丈は5~15cmくらい。食虫植物で葉に止った虫を消化してしまう。七月から八月にかけて根元の葉から花茎を伸ばし、菫に似た淡紅紫色の花を一つつける
・紫草(むらさき):花紫の別称
・紫の花(むらさきのはな):花紫の別称
・メロン:メロンは、ギリシャ語のmelopepon(りんごのような瓜)が語源。古代エジプトですでに栽培され、東西に伝わったとされる。メロンの王様は、ヨーロッパで発達した網目のあるマスクメロン、果肉はやわらかく甘くうす緑色。夕張メロンの果肉はオレンジ色
・捥茄子(もぎなす):茄子の一種。茄子は夏の季語
・もみじあおい:紅蜀葵(こうしょっき)の別称。北米原産のアオイ科の多年草で、晩夏に緋紅色の大きな花を開く
(8)や行
・灸花(やいとばな):日本各地の路傍や草原に自生する蔓性多年草。七月~九月、ベル状で中央に赤い丸がついた可憐な花をいくつもつける。色がもぐさ、あるいは灸のあとのかさぶたにも見えることからその名がついた。枝、葉、実とも臭いことから屁糞葛ともいわれる
・焼茄子(やきなす):茄子料理の一つ。茄子は夏の季語
・藪虱の花(やぶじらみのはな):セリ科の二年草。晩夏、枝先に白い小花が笠状に集まり咲く
・山桑の花(やまぐわのはな):山法師の花(やまぼうしのはな)の別称
・大和撫子(やまとなでしこ):撫子の別称。晩夏から薄紅色の花が咲き続ける
・山茄子(やまなす):茄子の一種。茄子は夏の季語
・山枇杷(やまびわ):犬枇杷の別称。晩夏に実が濃紫色に熟するが、味はまずい
・山法師の花(やまぼうしのはな):ミズキ科の落葉高木、高さは6~10m。花弁のように見える、白い四枚の総苞片(そうほうへん)の芯に黄緑色の細かい花が密生している。白い頭巾をかぶった比叡山延暦寺の法師姿をイメージしてつけられたとも
かなたより 空かげりくる 山法師(高田正子)
・夜落金銭(やらくきんせん):午時花(ごじか)の別称。晩夏から初秋にかけ赤い花をつける
・夕顔(ゆうがお):夕顔は夕暮れにほの白い花を開く。その花は翌朝にはしぼむ。『源氏物語』夕顔の巻にあるとおり、貧しい家に咲く花として詩歌に詠まれてきた。花のあとには、丸い大きな薄緑色の実を結び、この実からは干瓢ができる。「夕顔」といえば、実ではなく花をさす。実は「夕顔の実」という
夕顔に 干瓢むいて 遊びけり(松尾芭蕉)
夕顔に 見とるゝや身も うかりひよん(松尾芭蕉)
夕顔に 米つき休む 哀(あはれ)かな(松尾芭蕉)
夕顔の 白ク夜ルの後架に 紙燭とりて(松尾芭蕉)
夕がほや 秋はいろいろの 瓢かな(松尾芭蕉)
夕顔や 酔てかほ出す 窓の穴(松尾芭蕉)
夕顔に 雑炊あつき 藁屋かな(越智越人)
夕顔や そこら暮るるに 白き花(炭 太祗)
ゆふがほや 竹焼く寺の 薄煙(与謝蕪村)
夕顔の 中より出づる 主かな(三浦樗良)
汁椀に ぱっと夕貌 明かりかな(小林一茶)
夕顔を 蛾の飛びめぐる 薄暮かな(杉田久女)
ほのぼのと 揺れて夕顔 ひらきそむ(長谷川櫂)
・夕顔棚(ゆうがおだな):晩夏、観賞用につくる夕顔の棚のこと
・夕菅(ゆうすげ):ユリ科の多年草。山地に自生する。夏、茎の頂点に百合に似た黄色い花をラッパ上に咲かせる。夕方開き翌朝にしぼむことから「ゆうすげ」の名がついた
・ユッカ:リュウゼツラン科。人の背丈ほどにもなる。葉は固く鋭い。初夏から秋にかけて、一本の茎に白い円錐状の花をたくさんつける
・四葉塩竈(よつばしおがま):シオガマギク属に属する多年草の高山植物。エゾヨツバシオガマの変種とされていたが、詳細な比較から別種であることが分かり分離された
(9)ら行
・落草(らくそう):帚木(ははきぎ)の別称
・琉球木槿(りゅうきゅうむくげ):ハイビスカスの別称。夏、鮮やかな紅白や白色の木槿に似た花をつける
・留紅草/縷紅草(るこうそう):ヒルガオ科の蔓性一年草。メキシコ原産の観賞植物。茎は細く長さは1m以上になり他の物にからむ。六~八月頃漏斗状の濃紅色の美しい小花が開く。稀に白色もある
・蓮華(れんげ):蓮の花(はすのはな)の別称。真夏に開花する
・ロシアひまわり:花径30cmほどのとても大きな花を咲かせるひまわり。
(10)わ行
・若牛蒡(わかごぼう):夏に収穫される早蒔きの牛蒡のこと。牛蒡の種まきの時期はそれほど厳密ではなく、種まき後、三四ヶ月で収穫できる。きんぴらやサラダなどに利用する
・若竹(わかたけ):初夏、地上に出た筍は、茶色の皮を脱いで新しい竹となる。ぐんぐん伸びてみずみずしい若葉を広げる。その年に生えたので今年竹ともいう
若竹や 竹より出て 青き事(北枝)
昼鐘や 若竹そよぐ 山づたひ(内藤丈草)
若竹や 烟のいづる 庫裏の窓(菅沼曲翠)
若竹や ふしみの里の 雨の色(高桑闌更)
わか竹や 村百軒の 麦の音(黒柳召波)
・病葉(わくらば):万緑の中、まるで病めるかのように一、二枚、緑を失った木の葉を見つけることがある。病害虫や風通しの悪さなどが災いする。黄色や褐色に変色し秋でもないのに落葉する。緑陰で拾ったりすることもある
わくら葉の 落つる間宿る 太山(みやま)かな(青蘿)
わくら葉の 梢あやまつ りんご哉(与謝蕪村)
病葉や 学問に古る 白浴衣(原石鼎)
・忘草(わすれぐさ):萱草(かんぞう)の別称。晩夏、百合に似た黄橙色の花をつける
・綿菅(わたすげ):カヤツリグサ科の多年草。深山・高層の湿地に群生する。養分の 少ないやせた土地を好む。尾瀬ケ原・霧ケ峰・八幡平・日光戦場 ヶ原等で大群落が見られる。花が終わった後、実につく白い綿毛 が目につくが、五~六月頃咲く花は地味で目立たない。綿菅の綿で埋め尽くされた湿原は心に残る風景である。草丈は20~50cm
・綿の花/棉の花(わたのはな):アオイ科の一年草。原産地は東インド、エジプト。盛夏の頃、葉のわきに白、淡黄色の大きな美しい五弁花を開く。花のあと球形の果実となり、熟すと綿毛を持つ種をとばす
丹波路や 綿の花のみ けふもみつ(高桑蘭更)
大坂の 城見えそめて わたの花(高井几薫)