漢字発祥の国だけあって、中国の「四字熟語」は、人生訓にもなるような含蓄に富んでおり、数千年の悠久の歴史を背景とした故事に由来するものも多く、人類の叡智の結晶とも言えます。
そこで今回は、「言動」を表す四字熟語のうち、「決断、強い意志」を表す四字熟語をご紹介したいと思います。
1.決断、強い意志
(1)夷険一節(いけんいっせつ)
平和で順調なときも逆境にあるときも、節操を変えないこと。
「夷険」は土地の平らな所と険しい所の意。太平と乱世、また、順境と逆境のたとえ。「節」は節操の意で、節義を守って変えないこと。
(2)意志堅固(いしけんご)
目的を果たそうとする気持ちが並外れて強いこと。
「意志」は目的を果たそうとする気持ちのこと。「堅固」は丈夫なこと。
(3)一念発起(いちねんほっき)
それまでの考えを改め、あることを成し遂げようと決意し、熱心に励むこと。また、今までの気持ちを改めて仏道に入り、悟りを開こうと固く決心すること。
もと仏教語。「一念」はひたすら思い込むこと。「一」はひたすらの意。
(4)一六勝負(いちろくしょうぶ)
サイコロの目に一が出るか六が出るかで勝負を争うばくちのこと。転じて、のるか反るか、運まかせの冒険。
(5)一士諤諤(いっしがくがく)
他のものがおもねる中で、ただ一人だけ怖れためらうことなく、自分の考えをはっきりと言うこと。
「諤諤」は正論をありのままにいうさま。
(6)一刀両断(いっとうりょうだん)
物事を思い切って処理するたとえ。また、物事をためらわずにきっぱり決断するたとえ。一刀のもとに物を真っ二つに断ち切る意から。
「一刀」はひとたび太刀を振り下ろす意。
(7)慧可断臂(えかだんぴ)
非常に強い決意のほどを示すこと。また、切なる求道の思いを示すこと。
「慧可」は中国南北朝時代後期の高僧で、禅宗の第二祖。「断臂」は「臂(ひじ)」(腕)を切り落とすこと。この語は後世、画題としても有名。
禅宗の高僧慧可は、嵩山(すうざん)の少林寺にいた達磨(だるま)に教えを請うたが、達磨は面壁(めんぺき)するばかりであった。慧可はある大雪の夜、雪の中に立って自分の左臂を切り落として求道の決意のほどを示し、それによって教えを授けられたという故事から。
(8)諤諤之臣(がくがくのしん)
正しいと思うことを直言する人のこと。
「諤諤」は、何も恐れず遠慮せずに正しいと思うことを述べるさま。
(9)確乎不動/確固不動(かっこふどう)
地位や気持ちがしっかりと定まっていて、決して揺れ動かないこと。
「確乎」はしっかりとしていて、簡単に揺れ動かない様子。「不動」は動かないこと。
(10)確乎不抜/確固不抜(かっこふばつ)
信念や意志がしっかりしていて、物事に動じないこと。
「確乎」は、信念などがしっかりしたさま。確かなさま。「不抜」は、固くて抜けない意から、動かないこと、くじけないこと。
(11)敢作敢当(かんさくかんとう)
覚悟を決めて行動すること。または、決断して行動した結果の責任を潔く取ること。
または、その気持ちのこと。
「敢作」は「敢行」は同じ意味で、思い切って行動すること。「当」は取り掛かること。
(12)気骨稜稜(きこつりょうりょう)
自分の信念を曲げずに、厳正に貫こうとする態度のこと。
「気骨」は自分の信念を貫こうとする性格。「稜稜」は威勢があって厳正という意味。
(13)起死回生(きしかいせい)/回生起死(かいせいきし)
死にかかった人を生き返らす意。医術のすぐれて高いことの形容。転じて、崩壊や敗北などの危機に直面した状態を、一気によい方向に立て直すこと。絶望的な状況を立て直し、一挙に勢いを盛り返すこと。
「起死」「回生」はともに、死にかかった人を生き返らせること。
(14)仰首伸眉(ぎょうしゅしんび)
大きな目標を持って、平気な顔をして何事にも動じないこと。
「仰首」は頭を上げること。「伸眉」は寄せた眉を伸ばすこと。
頭を上げて胸を張り、眉をつり上げる様子から。
「首(こうべ)を仰(あお)ぎ眉(まゆ)を伸(の)ぶ」と訓読する。
(15)漁夫之勇/漁父之勇(ぎょふのゆう)
よい出来事も悪い出来事も全ては運命だと思い、どんな災難にあっても、いつかよい出来事があると信じて、勇気を持って取り組むこと。
「漁夫」は漁師。
漁師が水中で恐ろしいものに出会っても、仕事を辞めずに続ける勇気という意味から。
(16)緊褌一番(きんこんいちばん)
気持ちを引き締めて事にのぞむこと。難事などを前に心を引き締めて物事に取り組むこと。難事や大勝負などの前の心構えを言ったもの。
「緊褌」は褌を引き締める意。「一番」は思い切って一度ほどの意。
(17)具不退転(ぐふたいてん)
後ろを振り返らずに、物事を遣り通すという気持ちをもつこと。
「具」は準備するということ。
「不退転」は仏教の修行で、退歩することの段階から戻らないということから、信じて決して変えないということ。
(18)勁草之節(けいそうのせつ)
勁草のように強い節操や意志があること。
「勁草」は強い風でも倒れない強い草ということから。
(19)懸崖撒手(けんがいさっしゅ)
勇気をふるい、思いきって何かをすることのたとえ。
「懸崖」は、切り立った崖、断崖のこと。「撒」は、手でまきちらす、放す。断崖で手を放すという意から。もともとは仏教のことば。
「懸崖に手を撒(はな)つ」と訓読する。
(20)乾坤一擲(けんこんいってき)/一擲乾坤(いってきけんこん)
運を天にまかせて、のるかそるかの大勝負をすること。天下をかけて一度さいころを投げる意から。
「乾」は天、「坤」は地の意。「一擲」はひとたび投げること。
(21)捲土重来/巻土重来(けんどちょうらい/けんどじゅうらい)
一度敗れたり失敗したりした者が、再び勢いを盛り返して巻き返すことのたとえ。巻き起こった土煙が再びやって来る意から。
「捲土」は土煙が巻き上がることで、勢いの激しいことのたとえ。「重来」は再びやって来ること。もとは一度敗れた軍が再び勢いを盛り返して攻めて来ることをいった。
(22)堅忍果決(けんにんかけつ)
強い意志で堪え忍び、いったん決めると思い切って断行すること。また、そのような性質。
「堅忍」は意志がきわめて強く、じっと堪え忍ぶこと。我慢強いこと。「果決」は思い切って事を行うこと。
(23)剛毅果断(ごうきかだん)
意志がしっかりとしていて、思い切って事を行うさま。また、決断力に富んでいるさま。
「剛毅」は気性が強く屈しないこと。意志が強く物事にくじけないこと。「果断」は思い切って事を行うさま。
(24)剛毅直諒(ごうきちょくりょう)
意志が強く、正直で誠実なこと。また、そのさま。
「剛毅」は、意志が強く何事にも容易に屈しないこと。「直諒」は、正しくて誠意があること。
(25)剛毅木訥/剛毅朴訥/剛毅朴吶(ごうきぼくとつ)
心が強く、しっかりしていて飾り気のないさま。
「剛毅」は気性が強く屈しないさま。意志が強く物事にくじけないさま。「木訥」は無口で飾り気がないさま。無骨なさま。
(26)抗拒不承(こうきょふしょう)
相手の依頼や、要求を激しく拒否して、認めないこと。
「抗」は抵抗すること。「拒」は拒否すること。
「抗拒(こうきょ)して承(う)けず」と訓読する。
(27)傲骨嶙峋(ごうこつりんしゅん)
高ぶって人に屈しない気質の甚だしいさま。
「傲骨」は腰にこの骨があると人に屈することができないといわれる骨。転じて、高ぶって人に屈しない気質のたとえ。
「嶙峋」は崖が重なって奥深いさま。ここでは「傲骨」の甚だしいさま。
中国唐代の人々が「李白の腰には傲骨があって、そのために人に屈することができない」と評した故事から。
(28)豪胆無比(ごうたんむひ)
他と比べられないほどに、度胸があり、思い切った行動をする様子。
「豪胆」は何事にも動じない度胸があること。
「無比」は他と比べることのできるものが存在しないこと。
(29)剛腸石心(ごうちょうせきしん)
度胸がすわっていて、何ものにも屈しない強い意志をもっていること。
「剛腸」は、度胸があること。「石心」は、石のような心で、何ものにも屈しない堅固な心のこと。
(30)豪放磊落(ごうほうらいらく)
気持ちが大きく快活で、小さなことにこだわらないこと。また、そのさま。
「豪放」「磊落」ともに度量が大きく快活で、些細なことにこだわらないこと。
(31)虎穴虎子(こけつこし/こけつこじ)
多少の危険を冒さなければ、大きな成果や業績は得られないということ。
「虎穴(こけつ)に入(い)らずんば虎子(こし/こじ)を得(え)ず」の略。
「虎穴」は、虎がすんでいる穴。「虎子」は、虎の子ども。虎のすみかの穴に入る勇気がなければ、虎の子どもは捕らえられないという意から。
(32)金剛不壊(こんごうふえ)/不壊金剛(ふえこんごう)
きわめて堅固で決して壊れないこと。また、志を堅く守って変えないこと。
もとは仏の身体について言った語という。「金剛」は金石の中で最も硬いもの。ダイヤモンド。一説に金・金剛石。「不壊」は堅く壊れないこと。
(33)斬釘截鉄(ざんていせってつ)
毅然とした態度で、決断すること。釘や鉄などの硬いものを断ち切るように、きっぱりと決断する様子。
「斬」も「截」も、ばっさりと断ち切ってしまうこと。もとは仏教のことばで、煩悩や迷いを断ち切って、解脱(げだつ)させること。
「釘(くぎ)を斬(き)り、鉄(てつ)を截(た)つ」と訓読する。
(34)志操堅固(しそうけんご)
志や考え・主義などを堅く守り、何があっても変えないさま。
「志操」は考えや主義などを守って変えない意志。
(35)七転八起/七顛八起(しちてんはっき)
何度失敗してもくじけず、立ち上がって努力すること。転じて、人生の浮き沈みの激しいことのたとえとして用いることもある。七度転んでも八度起き上がる意から。
一般に「七転(ななころ)び八起(やお)き」という。
(36)死中求活(しちゅうきゅうかつ)/死中求生(しちゅうきゅうせい)
絶体絶命の状況でも、何か解決の糸口を見つけ、活路を見出そうとすること。また、窮地から抜け出すために、死ぬ覚悟で、危険にとびこんでいくこと。
「死中」は、死を待つしかない状態。「活」は、活路・抜け出す方法。「死中(しちゅう)に活(かつ)を求(もと)む」と訓読する。
(37)疾風勁草(しっぷうけいそう)
苦境や厳しい試練にあるとき、初めて意志や節操が堅固な人であることが分かるたとえ。
強い風の中に折れずにいる強い草の意、また、強い風が吹いて、初めて強い草であることが分かる意から。
「疾風」は激しく速く吹く風。はやて。「勁草」は強い草。節操の堅い人のたとえ。
「疾風に勁草を知る」の略。
(38)舎生取義(しゃせいしゅぎ)
命は惜しいがそれよりももっと義を渇望するという孟子の言葉から、命を犠牲にしても正義を守ること。
(39)射石飲羽(しゃせきいんう)
どんなに困難なことに対しても、精神を集中して一心に事にあたれば、できないことはないということ。
「射石」は、岩を弓矢で射ることで、「飲羽」は、その矢が矢羽(やばね)まで深くささること。「石(いし)を射(い)て羽(はね)を飲(の)む」と訓読する。
母を虎に食い殺された楚の熊渠子(ゆうきょし)が、ある夜、石を母のかたきの虎と見間違え、矢で射たところ、矢羽まで深く石に食い込んでいたという故事から。
なお、弓の名人の、養由基(ようゆうき)と李広(りこう)にも同様の故事がある。
(40)遮二無二(しゃにむに)
一つのことをがむしゃらにすること。むやみに。また、やたらと。むしょうに。
「遮二」は二を断ち切る意。「無二」は二がない意で、前後の見通しも考えないで行うこと。また、当て字とする説もある。
(41)熟慮断行(じゅくりょだんこう)
十分に考えた上で、思い切って実行すること。
「熟慮」は十分に考えをめぐらすこと。「断行」は思い切って行うこと。
(42)松柏之質/松栢之質(しょうはくのしつ)
体が丈夫なことのたとえ。または、意志や信念が固いことのたとえ。
「松柏」は植物の松と柏(コノテガシワ)のことで、どちらも常緑樹で一年中緑の葉をつけるということから、体力や意志が強いことのたとえ。
(43)松柏之操(しょうはくのみさお)
志や主義を曲げずに信念を貫くこと。どんな困難にあっても、節操を変えずに守り通すこと。
松や柏(コノテガシワ)は、冬の寒さにあっても、その美しい緑を変えずにいることから。
「松柏」は、常緑樹である松や柏のこと。また、「松」と「柏」はそれぞれ、中国古代王朝の殷(いん)と周(しゅう)にたとえられる。
(44)初志貫徹(しょしかんてつ)
初めに心に決めた志を最後まで貫き通すこと。
「初志」は思い立ったときの最初の気持ち・志。「貫徹」はやり通す、貫き通すこと。
(45)心堅石穿(しんけんせきせん)
意志を貫き通せば、どんな困難なことも解決することができるということ。
「心堅」は意志が固いこと。「穿」は穴を空けるや、貫き通すということ。意志が固ければ、石に穴を開けることもできるという意味から。
傅先生は師から木ののみだけを渡されて、岩盤に穴を開ける修行を与えられたが、四十七年かけて穴を開けたという故事から。
「心(こころ)堅(かた)ければ石(いし)をも穿(うが)つ」と訓読する。
(46)迅速果断(じんそくかだん)/迅速果敢(じんそくかかん)
すばやく物事を処理し、勇気を持って決断すること。また、実行がきわめてはやいこと。たちまち決断を下して、実行できる能力のこと。
「迅速」は、非常にすばやいこと。「果断」は物事を思い切りよく決断すること。「果敢」は、大胆に決断できること。
(47)瞋目張胆(しんもくちょうたん)
大いに勇気を奮うこと。
「瞋目」は怒りで目をむき出すこと。「張胆」は肝っ玉を太くすること。
恐ろしい事態にあっても、恐れずに勇気を持って立ち向かう心構えをいう言葉。
「目を瞋(いから)し胆(きも)を張る」と訓読する。
(48)雪中松柏(せっちゅうのしょうはく)
志や節操、主義を決して曲げないことのたとえ。
植物の松や柏の葉の色は、雪が降っても緑色のまま変わらないということから。
(49)前仆後継(ぜんふこうけい)
次々に犠牲者が出ること。または、犠牲を恐れることなく、前に進み続けること。
「仆」は倒れること。前にいる人が倒れると、その後ろの人が続いて倒れるという意味から。
「前(まえ)仆(たお)るれば後(あと)継(つ)ぐ」と訓読する。
(50)即断即決(そくだんそっけつ)
その場で直ちに決めること。間髪をおかずに決断を下すこと。
「即断」「即決」はともに物事の判断をすぐに行うこと。「即決即断そっけつそくだん」ともいう。
(51)祖逖之誓(そてきのせい)
命をかけた決意のこと。目的を果たすまでは、絶対に帰らないという誓い。
「祖逖」は中国の東晋の将軍の名前。
異民族を討伐に行くときに、戦果を上げなければ二度と帰らないと誓ったという故事から。
(52)鉄心石腸(てっしんせきちょう)
意志が鉄や石のように堅くて、容易には動かせないこと。強く堅い精神や意志のたとえ。
「心」「腸」は心臓や腸などの内臓で、心や意志のたとえ。
(53)冬夏青青(とうかせいせい)
節操が堅く、常に変わらないことのたとえ。松やこのてがしわといった常緑樹は、色を変えることなく冬も夏も青々と茂っていることから。
(54)当機立断(とうきりつだん)
機会をとらえて、素早く決断すること。
「機」は時機・機会の意。「当機」は機に臨むこと。「立」は即刻、直ちにの意。「立断」ですばやく決断すること。
「機(き)に当(あ)たりて、立(たちどころ)に断(だん)ず」と訓読する。
(55)蹈節死義(とうせつしぎ)
正義を貫き通して、節操を守ったまま死ぬこと。
「蹈節」は節操を守ること。「死義」は正義を守るために死ぬこと。
「節(せつ)を蹈(ふ)み義に死す」と訓読する。
(56)白首一節(はくしゅいっせつ)
年老いても節操を守り通すこと。または、節操を堅く守ること。
「白首」は白髪頭のことから、老人のたとえ。
「一節」は最初から貫き通している節操ということ。
「白首(はくしゅ)まで一節(いっせつ)なり」と訓読する。
(57)破釜沈船(はふちんせん)
決死の覚悟で出陣すること。生きて帰らない決意を示すこと。出陣のとき、飯を炊く釜かまを打ち壊し、船を沈めて退路を断つ意から。
「釜(かま)を破(やぶ)り船(ふね)を沈(しず)む」と訓読する。
(58)万死一生(ばんしいっせい/ばんしいっしょう)
必死の覚悟を決めること。また、ほとんど死を避けがたい危険な瀬戸際で、かろうじて助かること。
「万死」はほとんど助かる見込みのないこと。「生」は「しょう」とも読む。前者は「万死に一生を顧(かえり)みざるの計」、後者は「万死を出(い)でて一生に遇(あ)う」「万死に一生を得(う)」の略。
(59)匪石之心(ひせきのこころ)
自分の信念を堅く守り、決して揺らぐことのない心のこと。
石のように転がることがない心という意味から。
(60)百折不撓(ひゃくせつふとう)
何度失敗して挫折感を味わっても、くじけずに立ち上がること。どんな困難にも臆せず、初めの意志を貫くこと。
「百折」は、何度も折れること。「撓」は、枝などがたわんだり、まがったりすることで、気力がなえること。「不撓」でくじけないこと。
(61)赴湯蹈火(ふとうとうか)
苦しむことを恐れずに、危険なことをすることのたとえ。
「赴湯」は熱湯に向かうこと。「蹈火」は熱湯を踏みつけること。
熱さを問題とせず、熱湯に向かって、燃えている火を踏むという意味から。
「湯に赴(おもむ)き火を蹈(ふ)む」と訓読する。
(62)不撓不屈(ふとうふくつ)/不屈不撓(ふくつふとう)
強い意志をもって、どんな苦労や困難にもくじけないさま。
「撓」はたわむ意。転じて、屈すること。
(63)不抜之志(ふばつのこころざし)
何があっても諦めないこと。
「不抜」はどうやっても抜くことができないという意味から、とても堅いことのたとえ。
(64)賁育之勇(ほんいくのゆう)
気力と勇気に満ち溢れている様子。
「賁」と「育」はどちらも人の名前で、孟賁と夏育のこと。
孟賁と夏育はどちらも中国の秦の武王に仕え、二人とも怪力で勇気があることで有名。
(65)磨穿鉄硯(ませんてっけん)/鉄硯磨穿(てっけんません)
強い意志をもち続け、物事を達成するまで変えないこと。また、学問にたゆまず励むたとえ。
鉄でできている硯(すずり)をすり減らして、穴をあけるほど勉強するという意から。
「磨」は磨滅させる、すり減らす意。「穿」はうがつ、穴をあける意。
「鉄硯(てっけん)を磨穿(ません)す」と訓読する。
(66)勇気凛凛(ゆうきりんりん)
失敗や危険をかえりみず、勇敢に物事に立ち向かっていこうとするさま。
「凛凛」は勇ましく勢い盛んなさま。りりしいさま。