1.見事な引退戦略
安室奈美恵さんの引退日の9月16日まで、もう一週間を切りました。ラストツアー「namie amuro Final Tour2018 ~Finally~」のDVD・BDは、オリコン調べで歴代音楽作品で最高売り上げ(129万枚突破)を記録したそうです。
このラストツアーは「25周年の集大成となる安室奈美恵のベストツアー」という位置付けで、2018年2月から各地を回りました。国内ソロ歌手で史上最多となる「1ツアーで約75万人(アジア公演を含めると約80万人動員)」の動員記録を樹立したというのですからすごいですね。
安室奈美恵さんは1977年9月20日生まれで、現在40歳。中学2年生の時、沖縄の女性ダンスパフォーマンスグループ「super monkey’s」の一員としてデビューしました。その後、小室哲哉さんのプロデュースで「ソロ歌手」に転じます。また独特の「安室ファッション」で若い女性を中心に「アムラー」と呼ばれる追随者を生み出し、歌も大ヒットを多数出してきました。
ソロ歌手として、このまま突き進んでいくのかと思っていた矢先に、20歳の若さで結婚し、子供も生まれました。しかし、数年後に離婚しました。
ここ数年は「安室人気」も一時ほどではなくなり、「アムラー」ファッションもあまり見かけなくなりました。
私は、彼女もやはり、AKB48や乃木坂46などの若い世代の人気グループの活躍に押されて、このままフェードアウトして行くのかと思っていました。そこへ、昨年9月に突然の「引退発表」がありました。
2.不死鳥のごとく蘇る
最初、私は、「一年後の引退発表予告」の深い戦略・意図を読み切れていませんでしたので、少し気の早い発表だと感じただけでした。
しかし、彼女(多分、事務所のブレーンと共に)は引退までの「ファイナルドームツアー戦略」「DVD・BD販売戦略」「キャンペーン戦略」などを入念に検討し、着実に実行して来たのだと思います。その結果が、最初に述べたような大成功に結び付いたのでしょう。
よく、売り上げ不振に陥った商店が、「閉店セール」と称して大安売りをしています(大阪では、「もうあかん やめます!」という垂れ幕を下げて年中「閉店セール」をしている靴屋さんがありましたが、つい最近「完全閉店」してしまいました)が、彼女の場合は、そんな不景気な話ではなく、見事に「不死鳥」のごとく蘇り、有終の美を飾ることになりそうですね。
彼女の二十代の全盛時代を知るファンや、元アムラー達には、「懐かしさ」と「40歳と年齢を重ねたことによる円熟味」を感じさせたでしょうし、全盛時代を知らない新しい若いファンには、「何か新鮮な魅力」を感じさせたのでしょう。
蛇足ですが、「一周回って知らない話」という東野幸治さんがMCを務めるバラエティー番組で「ベテラン俳優」や「ベテラン歌手」が、彼らの全盛時代を知らない会場の若い人たちに、当時の状況を話してびっくりされるのと、ちょっと似た感じがあります。
しかし、安室奈美恵さんの場合は、引退すると言っても、まだ40歳の若さですから、上にあげた老人の「ベテラン歌手」とは異なり、その魅力をまだ十分満喫できますので、ファンにとっては幸せなことですね。