私が以前から気になっていたことがあります。それは、大学の医学部を卒業した人の中で、「医師国家試験」にどうしても合格できなかった人はどうしているのかという疑問です。
私のように、法学部や経済学部を卒業した者は、「司法試験」や「公認会計士試験」を受けて、弁護士・裁判官・検察官といった法曹や、公認会計士のような「専門職」に就く人もいますが、大半は「サラリーマン」や「公務員」になって社会に出て行きました。
そういう意味で、法学部・経済学部は、「つぶしが効く」と言われていました。つまり、法律や経済の「専門職」でなくても、他の職業や他の分野の仕事で十分やって行く能力があるという訳です。
しかし、医学部は医師に特化した学部なので、どうするのかずっと疑問に思っていました。
2018年の「医師国家試験」の合格率は90.1%でしたので、約10%の人は翌年再受験するか、医師になることを断念して別の道に進むかのいずれかを選ばなければなりません。
大学受験と同様に、2浪・3浪もあり、中には5浪以上の人もいるそうです。
2018年の大学別の合格率を見ると、ベスト3は自治医科大学の99.2%、横浜市立大学の97.7%、兵庫医科大学の97.5%でした。ちなみに東京大学は90.0%でした。
大学の偏差値と医師国家試験の合格率が相関しないのは、私立医大の中には合格率を引き上げるために、合格見込みの低い学生は「留年」させて、国家試験を受けさせないからだそうです。
「医師国家試験」の合格率は、その大学医学部の評価に直結します。合格率が低いと文部科学省から補助金の減額や打ち切りの措置を取られますから、大学経営の死活問題になる訳です。
文部科学省のエリート官僚の息子が、東京医大に「裏口入学」したことが話題になりましたが、彼が周囲の「裏口入学」批判に耐えて無事に大学を卒業し、医師国家試験に合格できるのか、他人事ながら心配になります。
医師国家試験は、何度落ちても受験できますが、一般的に多浪すると合格率も下がります。浪人のための予備校もあるそうですが、授業料は年間200万円を超えるそうです。しかし、6年間の医学部時代に、私立大学では平均3,200万円の学費が必要なので、是が非でも早く合格したいということでしょう。
最終的に、医師になることを断念して別の道に進んだ人の中には、「IT系企業に就職する人」や「経営コンサルタント」や「プロ家庭教師」になった人もいるそうです。
大病院に理事長の息子なら、「理事」になるという道もあるでしょうが・・・