1.日本の「民衆蜂起」
日本では、過去に「百姓一揆」(農民の反乱)「打ちこわし」(都市住民の反乱)「一向一揆」(浄土真宗門徒の反乱)「米騒動」(米価暴騰への抗議行動)などの「民衆蜂起」が一部にはありましたが、「フランス革命」のような大規模な革命運動は生まれませんでした。
終戦直後の1946年(昭和21年)5月19日に、「食糧メーデー」(飯米獲得人民大会)が皇居前広場で行われました。
政府の「食糧配給遅延」に対する抗議集会で、終戦後の社会主義運動の高まりを背景に25万人が集結したそうです。
この抗議集会で、「国体はゴジされたぞ 朕はタラフク食ってるぞ ナンジ人民飢えて死ね」というプラカードを掲げた共産党員が、「不敬罪」に問われた「プラカード事件」がありました。このプラカードは、まさに北朝鮮の金正恩のことを言っているように錯覚しそうです。
2.北朝鮮の「民衆蜂起」による金王朝の「独裁・恐怖政治体制」の打倒の可能性
現在の北朝鮮の実情は、脱北者の話などを聞くと、日本の戦後の食糧難をはるかに超えるひどいものではないかと思われます。
そして、フランス革命前夜のフランスの民衆の苦しみを上回る「圧政」「言論弾圧」「人権侵害」と「情報遮断」が行われているようです。
北朝鮮を「正常化」する唯一の方法は、「民衆蜂起」による金王朝の「独裁・恐怖政治体制」の打倒だと思います。それを確実に実現するカギは、韓国に亡命したテ・ヨンホ元駐英公使のような外交官などの元支配階級の人間の協力で「自由主義社会・資本主義社会の正しい情報」が北朝鮮の民衆に届くことでしょう。そのためには、「制裁」の手を緩めることなく、徹底的に金正恩を追い詰めるべきです。
暗殺された金正男氏の息子を保護した「自由朝鮮」が先日「臨時政府発足」を宣言しましたが、これは一つの新しい動きが出て来たということです。「自由朝鮮」は「千里馬民防衛」という組織が改称したもので、以前は金正恩に対抗して金正男を支援していた組織のようです。
社会主義国家として「再生」するのか、資本主義国家として南北統一するかは北朝鮮国民の選択次第だと思います。ただ、資本主義国家として統一するとなると、ドイツと同じように、韓国が北朝鮮の大きな負の遺産を抱え込んで苦しむことになるでしょう。
北朝鮮の国営放送が流す映像は、相変わらず軍事力を誇示するパレードやピョンヤン市民の豊かで満ち足りた表情などばかりで、戦前の日本の「大本営発表」と同じだなと思わせます。
金正恩は金日成・金正日と3代にわたって世襲し、「社会主義人民共和国」とは名ばかりの「金王朝」で、フランスの「ブルボン王朝」(ルイ王朝)と異なりません。
しかも、国民の生活向上は顧みず、核開発を含む軍事力強化のみに国費を注ぎ込み、食糧難や飢饉で一般民衆が困窮したり餓死者が出ても、国連に「人道援助」や「経済支援」を求めるだけの手前勝手な行動を繰り返しています。国民の生命と安全を自ら守るのは、為政者の責務のはずです。
そして北朝鮮の一般民衆には、外国からの「インターネット」情報を遮断し、欧米や日本、韓国のような言論が自由で豊かな生活をしている様子を知らせないようにしています。
生活が豊かなのは、金正恩一族と側近や幹部およびその家族を中心とする「特権階級」だけではないでしょうか?
北朝鮮では「金王朝」の「恐怖政治」「密告制度」が行われていて、「クーデター」や「暴動」は未然に鎮圧され、首謀者などは処刑されているのかも知れません。
3.2019年2月27日・28日の「第二回米朝首脳会談」
自らの独裁体制維持に汲々とするだけの金正恩委員長が、2月末にアメリカのトランプ大統領と茶番劇のような第二回首脳会談をしたのを見ると、私は非常に違和感を覚えます。
金正恩委員長が「人権抑圧」「情報遮断」「偽ドル札製造」や「麻薬製造」「サイバー攻撃」を行い、「経済危機」「食糧危機」を自ら招いているのに、そんな真実に目をつむり、「金王朝」の「体制保障」に手を貸そうとしたトランプ大統領の気が知れません。
今回の会談では「米朝合意に至らず決裂したこと」は、不幸中の幸いです。
今こそアメリカの国務長官・国防長官や真っ当な考えを持つ共和党議員などは、トランプ大統領の誤った暴走を止め、北朝鮮にこれ以上の譲歩をさせないようにすべきだと私は思います。
日本政府には、北朝鮮の「非核化」という今まで何度も繰り返された嘘に騙されて、「人道援助」や「経済支援」をすることがないように切に希望します。