「和風月名」と「二十四節気」についてご紹介します。「令月」は2月の異称です

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二十四節気

4月1日に発表された新しい元号「令和」の典拠となった万葉集の梅の歌32首の序文(*)にある「令月」というのは、「何事をするにも良い月」という意味ですが、「旧暦2月の異称」でもあります。

(*)万葉集の梅の歌32首の序文

<原文>

于時初春令月 氣淑風和 梅披鏡前之粉 蘭薫珮後之香

<読み下し文>

初春の令月(れいげつ)にして気(き)淑(よ)く風和(やわら)ぎ、梅は鏡前(きょうぜん)の粉(こ)を披(ひら)き、蘭は珮後(はいご)の香を薫(かお)らす

<現代語訳>

初春のよき月で、空気は心地よく、風は爽やかである。
梅は鏡の前の美女が粧う白粉のように開き、蘭は身を飾る香のように薫っている。

古来日本人は、それぞれの季節を敏感に感じ取り、それぞれの月にふさわしい風雅な呼び名を付けただけでなく、さらに1年を24に分けてそれぞれの時季にふさわしい名前を付けました。

1.「和風月名」

旧暦の月の呼び名のことを「和風月名(わふうげつめい)」と言います。これは旧暦の季節や行事に合わせたもので、現在の季節感とは1~2ケ月のずれがあります。

・1月:睦月(むつき) 正月に親類一同が集まる睦び(親しくする)の月

・2月:如月(きさらぎ) まだ寒さが残り衣を重ね着する月。令月(レイゲツ)とも言う

・3月:弥生(やよい) 木草弥生い茂る(きくさいやおいしげる、草木が生い茂る)月

・4月:卯月(うづき) 卯の花の咲く月

・5月:皐月(さつき) 早苗(さなえ)を植える月。早苗月、早月(さつき)とも言う

・6月:水無月(みなづき、みなつき) 水の月(「無」は「の」の意)で、田に水を引く月

・7月:文月(ふみづき、ふづき) 稲の穂が実る月(穂含月:ほふみづき)

・8月:葉月(はづき、はつき) 木々の葉落ち月(はおちづき)

・9月:長月(ながつき、ながづき) 夜長月(よながづき)

・10月:神無月(かんなづき) 神の月(「無」は「の」の意)の意味。全国の神々が出雲大社に集まり、各地の神々が留守になる月という説もあります。

・11月:霜月(しもつき) 霜の降る月

・12月:師走(しわす) 師匠といえども趨走(すうそう、走り回る)する月

この「和風月名」の覚え方(語呂合わせ)を高校の古文の先生に教わりました。「むきゃう さみふく はなか しし」というものです。

これだけではピンとこないと思います。漢字で書くと「無興 三味拭く 鼻が 獅子」で「三味線を拭いている女性が獅子鼻なのは興ざめだ」ということで、単なる語呂合わせで意味はありません。それぞれの月の名は覚えていても、順番がわからなくなることがありますが、これを思い出せば大丈夫だと思います。

む(睦月)き(如月)や(弥生)う(卯月)さ(皐月)み(水無月)ふく(文月)は(葉月)な(長月)か(神無月)し(霜月)し(師走)

2.「二十四節気」

(1)春(旧暦1月~3月)

・立春(りっしゅん):正月節 寒さも峠を越え、春の気配が感じられる

・雨水(うすい):正月中 陽気がよくなり、雪や氷が溶けて水になり、雪が雨に変わる

・啓蟄(けいちつ):二月節 冬ごもりしていた地中の虫がはい出て来る

・春分(しゅんぶん):二月中 太陽が真東から昇って真西に沈み、昼夜がほぼ等しくなる

・清明(せいめい):三月節 すべてのものが生き生きとして清らかに見える

・穀雨(こくう):三月中 穀物をうるおす春雨が降る

(2)夏(旧暦4月~6月)

・立夏(りっか):四月節 夏の気配が感じられる

・小満(しょうまん):四月中 すべてのものが次第にのびて天地に満ち始める

・芒種(ぼうしゅ):五月節 稲などの(芒のある)穀物を植える

・夏至(げし):五月中 昼の長さが最も長くなる

・小暑(しょうしょ):六月節 暑気に入り梅雨の明けるころ

・大暑(たいしょ):六月中 夏の暑さがもっとも極まるころ

(3)秋(旧暦7月~9月)

・立秋(りっしゅう):七月節 秋の気配が感じられる

・処暑(しょしょ):七月中 暑さがおさまるころ

・白露(はくろ):八月節 しらつゆが草に宿る

・秋分(しゅうぶん):八月中 秋の彼岸の中日で、昼夜がほぼ等しくなる

・寒露(かんろ):九月節 秋が深まり野草に冷たい露がむすぶ

・霜降(そうこう):九月中 霜が降りるころ

(4)冬(旧暦10月~12月)

・立冬(りっとう):十月節 冬の気配が感じられる

・小雪(しょうせつ):十月中 寒くなって雨が雪になる

・大雪(たいせつ):十一月節 雪がいよいよ降り積もってくる

・冬至(とうじ):十一月中 昼が一年中で一番短くなる

・小寒(しょうかん):十二月節 寒の入りで寒気が増してくる

・大寒(だいかん):十二月中 冷気が極まって最も寒さがつのる

3.「雑節」

二十四節気を補う季節の移り変わりの目安として、雑節(ざっせつ)があります。なお、「土用」、「彼岸」は「入りの日」を示しています。

・土用(どよう):旧暦(太陰太陽暦)で、「立春・立夏・立秋・立冬の前18日間」のことですが、最近は「夏の土用」だけを指すことが多くなりました

・節分(せつぶん):「季節の分かれ目」のことで、もとは四季にありました。現在は立春の前日を指します

・彼岸(ひがん):春分と秋分の前後3日ずつの計7日のことです。初日を彼岸の入り、当日を中日(ちゅうにち)、終日を明けと呼びます

・八十八夜(はちじゅうはちや):立春から数えて88日目のことで、霜が降りることが少なくなるころ

・入梅(にゅうばい):旧暦で「芒種のあとの壬(みずのえ)の日」で、梅雨の雨が降り始めるころ

・半夏生(はんげしょう):旧暦で「夏至から10日後の日」のことです

・二百十日(にひゃくとおか):立春から数えて210日目のことです