アメリカが「日本との貿易不均衡」是正に向けて「デジタル貿易」についても交渉開始!

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日米貿易交渉

今年4月に、日米両政府は貿易協定締結に向けた交渉を開始しました。農産物や自動車を中心とした物品の関税撤廃・削減交渉に着手したほか、インターネットで情報やサービスを取引する「デジタル貿易」分野も交渉対象とすることで合意しましたが、アメリカは「巨額の対日貿易赤字の解消」に向けて、日本に強く貿易不均衡是正を迫ることが予想されます。

1.日米繊維交渉

かつての「日米繊維交渉」のような激しいやり取りが行われるでしょうが、日本政府にはしっかりと国益を守る努力をお願いしたいと思います。日米繊維交渉は、1955年から1972年までの長きにわたって行われましたが、特に1970年のワシントンでの交渉が有名で、「日米繊維摩擦」と呼ばれました。これが戦後最初に起きた「日米貿易摩擦」です。

この交渉は、「繊維の輸出規制」と「沖縄返還」を絡めた交渉で、「糸(繊維)と縄(沖縄返還)の取引」とも呼ばれました。1969年の日米首脳会談で、佐藤首相が沖縄返還の約束を取り付けるとともに、ニクソン大統領に輸出規制することを伝えました。しかし両国の溝は大きく、交渉は決裂しました。1971年の沖縄返還協定調印後、日本は規制と引き換えに繊維業界に補償することで、1972年に決着しました。

2.今回の貿易交渉の行方

アメリカのトランプ大統領は、「America First」というキャッチフレーズのもと、「TPP脱退・保護貿易志向」や「メキシコとの壁の建設による移民政策の厳格化」、「イスラエルへの過度の肩入れ」「北朝鮮との前のめりの交渉」「対日貿易赤字を問題視」「日本の在日米軍費用負担割合が低いと問題視」など従来のアメリカ大統領らしからぬ政策を続々と打ち出しました。

安倍首相はトランプ大統領との強い信頼関係を強調していますが、貿易交渉においては決して日本に甘い相手ではなく、逆に非常に厳しい交渉相手です。

しかし、日本政府には、トラン大統領が弾劾裁判に追い込まれるか、再選されるかどうかに拘わらず、「自由貿易主義」を基本として、毅然とした態度で、交渉を地道に粘り強く行っていただきたいと思います。

アメリカからの輸入増加とともに、日本の農産物の輸出促進にも力を入れてほしいと思います。「縮小均衡」ではなく。「拡大発展」を期待したいものです。

また、日本の企業には「製品価格の値上げ」を積極的に進めてほしいと思います。これによって、輸出数量を適度に抑制するとともに、日本の企業で働く労働者の「労働分配率向上」に役立ててほしいと思います。

また貿易交渉とは問題が違いますが、「在日米軍費用負担割合」などについてのトランプ大統領の誤解については、信頼できる国防長官や国務長官などを通じて誤解を解く努力が必要です。「大統領は頭が悪い」と言って辞任した大臣が何人もいたぐらいですから、簡単なことではないと思いますが・・・