1.山椒の実生(みしょう)
我が家の庭のムクゲの木の下に山椒の若葉を見つけたのは数年前でした。誰も植えた覚えがないので、鳥が運んできた種から育った実生です。
この山椒が数年の間にぐんぐん成長し、今やムクゲの木の半分の高さ程になり、勢力争いをしているように見えます。
2.植物の勢力争い
植物は、動物と異なって移動が出来ないので、根を張ったり、蔓(つる)や地下茎を伸ばしたり、種を飛ばしたりといろいろの工夫を凝らして勢力拡大を図ります。
ムクゲの周りには一重山吹(ヒトエヤマブキ)や平戸躑躅(ヒラドツツジ)、射干(シャガ)が植えてあり、彼らもお互いに喧嘩するように勢力争いを繰り広げています。
匍匐植物(Creeping plants)のツルニチニチソウもしたたか者です。経済学で「忍び寄るインフレーション」(creeping inflation)という言葉がありますが、まさに忍び寄るように匍匐前進で勢力範囲を広げて行きます。
年に一度の植木屋による剪定の時に、私が裁定を下してそれぞれの勢力分野を決めているのですが、この勢力争いは飽くことなく毎年繰り返されます。
国家間の領土争いと同じようなものです。
3.山椒の大敵は揚羽蝶(アゲハチョウ)の幼虫
山椒は若葉をちぎって手で揉むとよい香りがします。鰻丼などに添えても香りがよいものです。
この山椒の大敵はアゲハチョウの幼虫です。数日間目を離していると、いつの間にか葉は丸坊主になっています。
この幼虫を手で捕まえようとして、山椒のトゲで指を突き刺すことがよくあるので注意が必要です。
こうして、花や虫と相対していると、少年時代に戻ったような錯覚を覚えることがあります。「もし孫がいれば、いろいろと教えてやるのだが・・・」などと夢想する今日この頃です。
ただ、もしその孫が昆虫や花木に興味がない子供だったら、張り合いのない話ですが・・・