最近の安倍首相は「外交成果」を急ぐあまり、アメリカのトランプ大統領の対北朝鮮交渉と同様、あまりにも譲歩し過ぎているように見えます。参院選を狙ったものでしょうか?
1.対ロシアの北方領土返還交渉
ロシアのプーチン大統領とは26回も首脳会談を重ねていますが、ロシアの強硬姿勢は全く変わらず、逆に日本側は今年の外交青書で「北方四島は日本に帰属する」という文言を削除するなど訳の分からない一方的な譲歩が目立ちます。
岸田政調会長が、この外交青書の文言削除を問題視しているのは正論だと私は思います。
これでは、北方四島を不法占拠しているロシアに対する日本の非難や正当な主張は、微塵も感じられません。四島全部でなく二島だけを、全く支払う必要もないお金を払って買い戻そうとしているだけに見えます。
しかも、ロシアは自ら「不法占拠であることを認めていない」だけでなく、「主権は日本にあると認めていない」という訳の分からない言い分です。これを飲んでの話であれば、何をかいわんやです。これでは「盗人に追い銭」になるのは目に見えています。
不法かつ残虐極まりないシベリア抑留という戦争犯罪に対する断罪や損害賠償請求は、不問に付されたのでしょうか?
本来の日本の立場としては、「ロシアの北方四島からの無条件退去」と「シベリア抑留や北方四島の不法占拠にかかる損害賠償請求」が先決のはずです。日本にとって何らメリットのない「平和条約交渉」だけが先走りして、日本の国益を損ねようとしているように私は感じます。
2.対北朝鮮の拉致被害者返還交渉
最近、安倍首相は、「北朝鮮がミサイルを発射しても、無条件で金正恩委員長と対話する」と言い出していますが、これでは「盗人に追い銭」になるのは目に見えています。
従来の「拉致被害者全員の無条件返還が日朝会談の絶対的な前提条件」を崩してはならないと思います。
今のままでは、「日本は北朝鮮のミサイル発射の挑発・恫喝に屈した」と甘く見られかねません。
3.今後の見通し
門外漢の私が言っても、何の意味もないかも知れませんが、対ロ交渉・対北朝鮮交渉はともに「失敗」に終わる可能性が高いと思います。くれぐれも「功を焦る」ことなく、毅然としたプリンシプルを持って国益第一で慎重な外交交渉をしてほしいものです。
(1)対ロ交渉
対ロ交渉の失敗とは、次のようなことです。
・ロシアの「不法占拠」を、「不法占拠でない」と事後承認する結果となる
・北方四島は日本の領土とは認められず、「ロシアが第二次大戦で合法的に獲得した領土」と承認させられる。形としては今後は「日ロの共同管理」ということになるでしょう。
・北方四島のロシアの軍事基地や工場・住宅や、ロシア人や中国人の居住権も認めさせられる
・ロシアによる日本兵のシベリア抑留についての責任追及や損害賠償請求は全て却下される
・逆に日本は北方四島での「ロシアとの経済協力名目」で多額の国費の支出を要求される
このような理不尽な要求を飲んだ上で「日ロ平和条約締結」となると私は予測します。
(2)対北朝鮮交渉
対北朝鮮交渉の失敗とは、次のようなことです。
・まず、経済協力や人道援助名目で長期間かつ莫大な援助を求められる
・韓国と同様かそれ以上の「戦争賠償(準賠償)」と「戦後補償」の請求が持ち出される
・拉致被害者については、生存者全員を正直に返すことはなく、返すとしても数人ずつ小出しにして、援助金額の極大化を図る
・ミサイル発射や核開発を継続して、揺さぶりをかけ続ける
・「金王朝の体制保障」を求めて来る