「サンリオピューロランド」の人気V字回復の秘密と、立役者の女性の壮絶な人生

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サンリオピューロランド

1.「サンリオピューロランド」とは

「サンリオ」は「kawaii」というワードを世界共通語にした日本発のスーパーキャラクターであるキティーちゃんの会社です。

「サンリオ」と言えばこの可愛い子猫のキャラクター「キティーちゃん」でおなじみですが、そのサンリオのキャラクターのテーマパークが「サンリオピューロランド」です。

この東京都多摩市にある「サンリオピューロランド」は、「夢と愛とで、できた国」をキャッチコピーに1990年12月に開園した国内初の「屋内型テーマパーク」です。

2.低迷期

開園直後こそ好調な滑り出しでしたが、間もなく訪れたバブル崩壊に端を発した「平成不況」による消費低迷や、資産デフレのダブルパンチに見舞われ、乗り物の少なさや都心から遠いと言った立地条件の悪さなどの要因もあって、毎年「経常赤字」を出し続けるなど低迷期が長く続きました。

開園1年後の入場者数は183万人でしたが、計画比42万人も少なく、15億円の経常赤字でした。翌年以降も入場者数は152万人前後で10億円以上の経常赤字が続きました。

3.人気V字回復

(1)立役者は元サンリオ社員の女性

これを見事にV字回復させたのは、小巻亜矢さんです。彼女は1983年にサンリオに入社後、結婚退社し、出産などを経て関連会社に復帰しています。

その後、2014年にふと訪れたサンリオピューロランドが活気を失っていることにショックを受け、エンターテイメントには素人だったにもかかわらず、再生の提案をします。

そしてサンリオピューロランドの顧問となり、わずか2年でV字回復させました。現在は(株)サンリオエンターテイメントの代表取締役社長で、サンリオピューロランド館長でもあります。

(2)具体的な対策

では、具体的に彼女はどのような対策を実行したのでしょうか?

(1)ターゲットを子供から大人に変えた

今は少子高齢化で子供は少なくなっており、子供だけでは利益が上がらないと判断して、大人もターゲットにすることにしたわけです。

(2)大人の女性向けのコンテンツを増やした

「2.5次元ミュージカル」(漫画やアニメ、ゲームなどを原作・原案としたミュージカル)にイケメン俳優を入れたりして、20代の新たな女性ファンを増やしたり、パレードも大人も楽しめるようなエンターテイメント性を増やしました。

(3)従業員のモチベーションを上げた

彼女が大学で学んだ心理学を使って、従業員が笑顔と活気に溢れるように、従業員のやる気を引き出して、モチベーションを上げました。

(4)インバウンド対策に力を入れ外国人観光客を取り込んだ

(5)キャラクターの輪郭線をなくした

輪郭線があると、キャラクターの壁紙が黒で溢れてしまい、幼稚園のような壁紙になっていたそうです。

そこで「大人向け」にするために、キャラクターの輪郭線をなくしました。

その結果、今や「”インスタ映えしすぎる”テーマパーク」としても話題で、若い女性たちを中心に賑わっています。

4.人気V字回復立役者の壮絶な人生

小巻亜矢さんのインタビュー記事を読むと、彼女の人生は波瀾万丈の壮絶な人生だったことがわかります。

「サンリオに新卒で入社し、数年で結婚退社し、出産・育児」とそこまでは順風満帆のように見えます。

しかし、34歳の時に次男が事故で亡くなり、自分が生きる意味、生きている実感を失ってしまいます。自分が生きていることにすら罪悪感を覚えたり、自分が無意味な存在に思えたりして、いろいろな人間関係も何もかもに疑問を感じ、感情がストップしてしまったそうです。

そんな複雑な気持ちが爆発した後、離婚しシングルマザーとして経済的・精神的に自立する選択をしたそうです。

その後、知り合いの人に勧められて化粧品販売の仕事に就き、全国を飛び回って優秀な営業成績を上げますが、そんな彼女を快く思わない人から嫌がらせや裏切りを受けたり、足の引っ張り合いのような人間の嫌な面も見てしまいます。

化粧品販売の仕事をやめ、サンリオの関連会社で「ハローキティの化粧品」を作る事業を立ち上げましたが、失敗に終わります。

また彼女は「乳がん」や「子宮の病気」のような大病にもかかります。生死にかかわる大病を経て、「限りある人生、悔いなく生きよう」「すべての経験を、誰かのために役立てることができたら本望」と思うようになります。

そこで検診の啓発や女性の活躍を支援する社内ベンチャーを立ち上げたり、ラジオのパーソナリティーをやったりと、40代後半になってから活動の幅が広がります。

そんな中、「人の心の問題」について、自分とどう関わればよりよく生きられるのかを学ぶために、仕事をしながら51歳で東大大学院に入って心理学の勉強を始めます。受験を控えた時は睡眠時間を3時間に削っての猛勉強だったそうです。

大学院進学の動機は、「大切なメッセージを伝えることに残りの人生を捧げたい」という決意もあり、卒業後は教育関連の仕事に軸足を移すつもりだったそうです。

しかし、最初に述べたような事情で、紆余曲折を経ながらも、サンリオピューロランドの再生に取り組むことになったわけです。

彼女は、「様々な回り道をして来たようだが、それらが全て今の仕事につながっているように思う」と話しています。


来場者4倍のV字回復!サンリオピューロランドの人づくり 笑顔とモチベーションを引き出す館長の30カ条 小巻亜矢/著