前に琵琶湖一周サイクリング「ビワイチ」の記事を書きましたが、今全国的に「サイクルツーリズム」で訪日客を呼び込もうとする動きが活発になっています。
2019年9月に国土交通省は、日本を代表する自転車道として、「ビワイチ」(滋賀県)、「しまなみ海道サイクリングロード」(広島県・愛媛県)、「つくば霞ケ浦りんりんロード」(茨城県)の3カ所を「ナショナルサイクルルート」第一弾として選定し、海外へ発信することで、インバウンド誘致拡大を目指すことにしました。
1.サイクルツーリズムとは
近年は「自転車を活用した観光事業」が盛んに行われており、この「サイクルツーリズム」が「地方創生」につながる兆しもあります。
自転車で走るのであれば、都会の混雑した道路ではなく、気持ちよく走れる地方のほうが適しています。
そういう意味でサイクルツーリズムは、自然豊かな地方部ほど商機が見込めるため、瀬戸内・信州・北海道などで特に注目されています。
NHK総合テレビで現在放送されている「にっぽん縦断こころ旅」という番組があります。1949年生まれで70歳(団塊世代)の火野正平さんが「人生下り坂最高」と嘯(うそぶ)きながら自転車で視聴者の思い出の地を旅するものですが、この番組の人気もサイクルツーリズムや中高年のサイクリングブームに一役買っているのかもしれません。
2.代表的なサイクリングロード
前に紹介しました「琵琶湖一周サイクリングロード(ビワイチ)」以外の主なサイクリングロードとしては、次のようなものがあります。
(1)瀬戸内しまなみ海道サイクリングロード
「青い空、輝く海、緑の木々に黄色いレモン」に象徴される「瀬戸内しまなみ海道」は、今や瀬戸内観光に欠かせないスポットとなっています。
これは、広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ全長約70kmのサイクリングロードです。
開通ブームが一服した2005年度に3万台だった貸自転車は、2017年度には15万台に増えました。
日本人は母国である日本の良さを外国人に賞賛されて、改めて再認識するということがよくあります。このしまなみ海道も、米CNNが「世界で最も美しいサイクリング道」の一つに選んだことで人気が急上昇しました。
2018年秋に開かれた「国際サイクリング大会」には5万人強が参加・来場し、9億円の経済効果があったということです。
特に訪日客に人気のある尾道市の外国人観光客数は、2008年は2万5千人だったのに対し、2017年は28万6千人に急増しています。
(2)つくば霞ケ浦りんりんロード
全国第2位の面積を誇る霞ヶ浦と、日本百名山にその名を連ねる筑波山。茨城の風光明媚なふたつの絶景をダイレクトにつなぎ、14市町村にまたがるフラットな平野を中心としたサイクリングロードが「つくば霞ヶ浦りんりんロード」です。
その総延長はなんと約180kmもあります。ツール・ド・フランスなど、自転車レースで走る1日の距離にも匹敵する長さですが、ここは関東平野!ゆったりと穏やかな平地が中心です。
そのため、初心者でもロングライドを安心して楽しめます。もちろん、クライマーなら筑波道とも直行する「つくば霞ヶ浦りんりんロード」から筑波山、加波山などの1級山岳も楽しめます。
このように全ての市民サイクリストが楽しめる「つくば霞ヶ浦りんりんロード」ですが、2020年までに走行環境のさらなる改善を目指し、現在あるつくばりんりんロードと霞ヶ浦自転車道も再整備中です。
(3)ジャパンアルプスサイクリングロード
「北アルプスや諏訪湖を一周するサイクリング」を信州観光の柱にしようと、2019年6月に長野県や事業者が「ジャパンアルプスサイクリングプロジェクト」という協議会を立ち上げました。
「日本アルプス観光連盟」が主催する「北アルプスサイクリングツアー」が春と秋の年2回開催されています。
(4)北海道サイクリングロード
北海道では、2018年4月に自転車の安全な利用と普及を目指して、「北海道自転車条例」を制定しています。
北海道サイクリングロードは次のようなものがあります。
①支笏湖公園自転車道
②滝野上野幌自転車道
③旭川層雲峡自転車道
④オホーツク自転車道
⑤釧路阿寒自転車道
⑥利尻島自転車道
⑦札幌恵庭自転車道
⑧十勝大平原自転車道
⑨深川砂川自転車道
⑩真駒内茨戸東雁来自転車道