高齢者運転免許更新で講習予約が取れず免許失効の事態も発生!うっかり失効にも注意

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講習高齢者

世界でも類を見ない「超高齢社会」となった日本ですが、それに伴って高齢者ドライバーによる交通事故も年々増加傾向にあります。高齢者の「免許自主返納」も増えており、2015年には10年前の15倍の27万人に上っていますが、地方では移動手段としてクルマが欠かせないという事情もあります。

そこで2017年3月に道路交通法が改正され、現在は70歳以上の高齢者が運転免許を更新する場合は次のような手続きが必要となっています。

今年は団塊世代が全員70歳以上の高齢者となり、ますます切実な問題になってきますので、今回はこれについて考えて見たいと思います。

「更新期間満了日」時点で70歳以上の高齢者が免許を更新する場合には、「高齢者講習」の受講が義務付けられています。その中でも70歳~74歳までの人と75歳以上の人とでは、手続きの内容が異なります。

ところで余談ですが、「平成31年」が2019年4月30日で終わり、2019年5月1日から「令和元年」となりました。皆さんの持っておられる運転免許証の有効期限は、ほとんどが平成34年〇月△日まで有効」のように「平成元号表記のままだと思いますので、「令和元号への読み替え間違いをしてうっかり失効しないように十分注意してください

1.70歳~74歳の場合

2時間の「高齢者講習(合理化)」を受ける必要があります。(2017年3月の法改正で時間が短縮されたので「合理化」と呼ばれています)

「高齢者講習」は「座学」が60分と、教習所内のコースでの「運転指導」が60分です。「座学」は教本やビデオを使用しながらの「双方向型講義」で、内容は「運転適性診断、夜間視力、動体視力検査など」で受講者への質問や会話も取り入れられ、理解度を確認しながら進められます。「運転指導」は教習車を使って実車走行しながら安全運転への理解を深めるものです。

なお、「高齢者講習」を受講する以外にも「チャレンジ講習」で免許更新する方法もあります。これは、コースを走行して運転の指導(検査)を受け、70点以上の評価が得られれば簡易版の講習を受けて免許更新できるものです。手数料は「高齢者講習」よりも若干安くなります。ただし自動車教習所に通わずに免許を取得するいわゆる「一発免許」と同様に、落ちてしまえば一からやり直しですし、実施場所が少ないこともあり「チャレンジ講習」を受ける人は少ないようです。

2.75歳以上の場合

まず、「認知機能検査」を受検しその後「高齢者講習」を受講することが義務付けられています。また、記憶力と判断力の程度によっては「診断書」が必要になります。

「認知機能検査」で行われるのは、次の3つの検査です。

時間の見当識:その日の年月日や、そのとき何時何分かを答えるものです

手がかり再生:16枚の絵を記憶し、その名前を答えるものです。まずヒントなしで答え、その後ヒントを見ながら答えます

時計描画:アナログ時計の文字盤の絵を描いて、時間を表示する検査です

(1)記憶力・判断力に心配がない場合

75歳未満の人と同じ2時間の「高齢者講習」を受けて免許更新できます

(2)記憶力・判断力が少し低くなっている場合

「高度化講習」と呼ばれる3時間の講習を受ける必要があります。1時間増えるのは「個人指導」で、ドライブレコーダー映像などを活用しながらより個人のくせや運転状況に応じた講習を行うものです。

(3)記憶力・判断力が低くなっている(認知症のおそれがある)場合

通知に従って、「臨時適性検査を受けるか専門の医師の診断書を提出する必要があります。認知症でないと診断されれば(2)の「高度化講習」へ進み、認知症であると診断された場合は運転免許の取消または停止となります。

3.「講習予約が取れず免許失効の事態も発生

75歳以上の運転免許保有者数は、2020年には約600万人になると予想されており、15年で2倍に増加する計算です。

ところが最近、自動車教習所での「講習予約」が取れず、「免許失効」してしまう高齢者が増えているようです。その原因は、75歳以上の高齢者の場合「認知機能検査」と「高齢者講習」の二つを別々の日に受講する必要があり、予約が2度の手間になってしまうことです。

最近の高齢者ドライバーの増加と、若者のクルマ離れに伴う自動車教習所の減少により、「講習予約」がなかなか取れないという事態が発生しているのです。

神奈川県の場合(2017年末)、「認知機能検査」を受けるのに最短でも2ケ月待たなければならず、その後の「高齢者講習」を受講できるまで3ケ月待ちの状態だったそうです。

都道府県の公安委員会が警察施設において高齢者運転講習を直接実施するなどの対策も取られているようですが、混雑解消には至っていないのが現状です。「高齢者の運転免許更新期間延長についての特例」を定める道路交通法の改正など国レベルでの対応が必要だと思われますので、ご検討をよろしくお願いします。

なお、高齢者の「運転免許自主返納」に関しては、国立長寿医療研究センターが65歳以上の人を対象に行った調査で、「免許を返納して車を運転しなくなった人が要介護になるリスクが、運転を続けている人の8倍に上る」という結果が出ています。

4.高齢者の「免許返納」は最善策なのか?

免許返納=高齢者が取るべき最善の選択とは必ずしも言えないようです。「高齢者ドライバーの免許失効の防止策」と「高齢者ドライバーによる交通事故の抑制のための安全施策」とあわせて超高齢化社会の今こそじっくり考えて見る必要がありそうです。

家を造る場合でも、高齢者に優しい「バリアフリー」にすることが推奨されますが、一方で「バリアフリー」は「老人を甘やかす」ことになり、逆に認知症になりやすいという話も聞きます。確かに人間は、ある程度「刺激」や「困難(苦労)」があった方がボケにくいような気がします。