中国が「米軍が新型コロナウイルスを武漢に持ち込んだ」と言うのは悪質なデマ!

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中国外務省報道官

<2023/2/27追記>コロナ起源「中国の研究所から流出か」 米エネルギー省が判断との報道

「朝日新聞デジタル」による次のような報道がありました。

新型コロナウイルスの起源について、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は26日、中国の研究所から流出した可能性が高い、と米エネルギー省が判断していると報じた。新たな機密情報を根拠としており、ホワイトハウスや米議会幹部に報告されたという。ただ、米政府内でも、動物を介して人に感染した説を有力視する機関もあり、見解が割れている。

WSJによると、エネルギー省は「確信度は低い」としつつも、ウイルスが中国の研究所での不慮の事故によって広まったと判断した。エネルギー省は、先端的な生物学的調査も担う米国立研究所を管轄しており、「相当な科学的知見を有する」という。

 他の政府機関では米連邦捜査局(FBI)も研究所流出説を支持する立場をとっている。国家情報会議や他の四つの機関は動物を介した説を支持し、米中央情報局(CIA)など二つの機関は、どちらの説か結論づけていないという。

1.中国が仕掛ける悪質で巧妙な「広報外交(public diplomacy)」

(1)中国外交部副報道局長の定例記者会見での発言

中国外交部の趙立堅(シャオ・リージエン)副報道局長は2020年3月5日の「定例記者会見」で、米FOXニュースの司会者ジェシー・ワッターズ氏が「中国人は新型コロナウイルスの発生について正式に謝罪すべき」と発言したことに反発し、「新型コロナウイルスの発生源はまだ特定されておらず、必ずしも中国とは限らない」と 表明しました。

趙副報道局長はまず、ワッターズ氏の発言について「おかしなでたらめで、中国に対する傲慢や偏見、無知を十分に明らかにした」と批判しました。

続いて、「『中国謝罪論』は何の根拠も道理もない。今のところ新型コロナウイルスの発生源はまだ特定されていない。発生源がどこであろうと、発生している他の国と同様に、中国も被害者であり、ウイルスとの闘いに挑んでいる。2009年に米国で猛威を振るった新型インフルエンザ(H1N1)は214の国と地域に広まったが、誰が米国に謝罪を要求しただろうか?」と述べました。

これに対して3月6日、アメリカのポンペオ国務長官は「武漢ウイルス」だと発言し、中国の初動対応の遅れを批判しています。中国側はこれに猛反発しており、米中間で激しい応酬が続いています。

(2)中国外交部副報道局長のツイート

「新型コロナウイルス肺炎」(COVID-19)に関連して、中国外交部の趙立堅(シャオ・リージエン)副報道局長が2020年3月12日に、「アメリカ軍が新型コロナウイルスの流行を武漢に持ち込んだかもしれない。アメリカは中国に説明する義務がある」とTwitterでつぶやきました。

しかし、主張を裏付ける根拠などには言及していません。

なお、「アメリカ陰謀論」は今までにも中国、イラン、ロシアの報道機関が広く報じています。しかし、中国政府高官がこうした「陰謀論」を発言するのは今回が初めてです。

このツイートは3月11日にトランプ大統領が新型コロナウイルスのことを「外国のウイルス(foreign virus)」と言及した後に投稿されています。

(3)WHOを使った責任転嫁戦術

WHOのテドロス事務局長は、今回の新型コロナウイルス騒動の初期段階から中国への露骨な忖度が目立ちました。1月28日に北京で習近平主席と会談し「緊急事態宣言」や「パンデミック宣言」をいたずらに遅らせたりしました。

結局「緊急事態宣言」は1月30日、「パンデミック宣言」は3月11日までずれ込み、初動対応の遅れを招きました。

そして、中国がこの新型コロナウイルスに対して極めて適切に対処していると称賛しました。あたかも中国の「広報代理人」のようで、中国への「お追従」としか見えない滑稽さです。「今やパンデミックの中心はヨーロッパ」だとして、中国の責任を隠蔽するような発言を繰り返しています。

(4)習近平主席による新型コロナウイルス肺炎制圧のアピール

WHOが「パンデミック宣言」をする2日前、習近平主席は新型コロナウイルス肺炎の流行後初めて、発生源とされる武漢市を訪問し、現場の医療関係者や軍関係者からの状況報告を受け、治療中の患者とも面会するなど精力的に視察するパフォーマンスを見せました。

そして、「感染は基本的に抑え込んだ。初期の取り組みの成功によって状況は安定し、湖北省と武漢市における潮目は変わった」と述べ、早くも事態の収束をアピールしました。

2.中国は新型コロナウイルス肺炎について国際社会に誠実に説明すべき

(1)中国政府の当初の説明

中国政府は当初、ウイルスの発生源について、武漢市内の市場で売られていた野生動物の可能性を指摘していました。

(2)中国政府による意図的で悪質な「デマゴギー」

しかし最近になって、「発生源は必ずしも中国とは限らない」という主張を繰り返しており、中国のSNS上では「ウイルスの流行の責任はアメリカにあるとする陰謀説」が急激に広がっています。

これは中国政府による意図的で悪質な「デマ」(「デマゴギー(Demagogie)の略)というか「プロパガンダ」で、「中国がパンデミックの起点であるとの批判をそらすための陰謀論」だと私は思います。中国は「防疫」から「情報戦」に明らかにシフトしたようです。

世界の研究者たちは何か月にもわたって、中国国内における最初の感染者と発生源を見つけ出そうと躍起になっています。武漢にある中国の「国営ウイルス研究所」にも調査の目が向けられています。しかし中国政府は、責任追及の矛先をとにかく他へ向けようと必死のようです。

(3)中国は初動対応の遅れを国際社会に謝罪し現状を誠実に説明すべき

初期段階で警告を発した医師(後日、新型コロナウイルス肺炎で死亡)を拘束した上、その発言を無視した中国政府の責任は重く、それが初動対応を遅らせたことは明らかです。

中国政府はまずそのことを国際社会に謝罪した上で、現在中国が把握している発生源や患者の情報を誠実に公開すべきだと私は思います。



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