「新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)」の世界的感染拡大(パンデミック)が続いており、日本では病院・介護施設などでの院内感染や集団感染が続いているほか、市役所・区役所、警察署などの公共機関での集団感染が次々と起きています。
このような中で、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」での「救援活動に参加した陸上自衛隊の隊員の感染者がゼロ」という事実が注目されています。
また「陽性患者220人を受け入れている自衛隊中央病院では今も院内感染ゼロ」というのも注目すべきことです。
1.防衛省・自衛隊による広報活動と救援活動
新型コロナウイルス肺炎の感染拡大で、自治体などに防護に関する指導を行っている防衛省・自衛隊は、「市販品の原料を用いた消毒用エタノールなどの作り方」「建物内で感染者らの使用区域と他の区域を分ける方法」「手袋やマスクのはずし方」などの感染防止のポイントを「統合幕僚監部のホームページ」に掲載しています。
河野防衛大臣は、「自治体から(防護の)教育指導の要請が多く寄せられている。要領を公表することで、日常生活での感染防止にも役立つ」と話しています。
確かにこれは自治体だけでなく、一般の人も参考に出来る自衛隊式のノウハウだと思います。
(2)クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」などでの救援活動
防衛省は1月下旬以降、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」や、政府チャーター機で中国から帰国した人たちの一時滞在先などで、救援・支援活動を実施しました。
延べ13,300人の自衛隊員が、PCR検査の検体採取や食事の配膳などに携わりましたが、厳重な防護態勢で臨んだため、救援・支援活動に伴う感染者は一人も出ていません。
2.自衛隊員がコロナに感染・汚染しない防護装置
個人装備としては「化学防護衣」が装備されています。化学科には一般の防護衣より能力の高い化学防護衣が装備されています。そして不織布の防護スーツなども導入されており、原発事故やクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の現場でも着用されていました。ゴーグルやN95マスク、グローブなどもセットです。
クルーズ船の救援現場で「感染者ゼロ」だったのはこうした個人防護装備をフル装着していたからで、同時に防護装備の着脱も「二人一組で行う」など、決められた手順を守り徹底していたからです。
隊員一人一人がフル装備で、正しく装着し、外面に触れないように脱ぐという運用を指揮統制し、隊員の命を守る危機管理体制も敷かれていたのです。
3.自衛隊員がコロナに感染・汚染しない予防術
個人の感染予防対策が徹底しているのは、自衛隊の隊員への教育内容に負うところが大きいようです。駐屯地や基地などで勤務して暮らす集団生活なので、感染症は簡単に蔓延してしまいます。
自衛官は、感染症を予防するための「手洗い、うがい」は新隊員として入隊した時から徹底的に教え込まれます。食堂へ入ると手洗い場があり、手を洗浄しないと食事を受け取れない「動線」になっています。
手洗い方法も、爪の間や親指を入念に洗うなど、我々が最近になって意識的に行うようになった方法を、とっくの昔から行っていたのです。
このような自衛隊式の予防術を長期間続く外出自粛生活に採り入れるのも、よいかもしれません。