いよいよ梅雨の季節ですが、この時期は「ホタル鑑賞」の絶好の機会でもあります。ぜひ家族連れでホタルの光に癒されてください。コロナ疲れの子供たちも自然の素晴らしさを体感してきっと喜ぶと思います。
カジカガエルの美しい鳴き声を聞くこともできるはずです。暗闇に点滅するホタルの光を見ながら、カジカガエルの声を聞くとなぜか心が洗われるような、幽玄の世界にいざなわれるような気がします。
今回は私のふるさとである高槻市の摂津峡のホタル鑑賞スポットをご紹介します。
1.摂津峡のホタル鑑賞スポット
高槻市では芥川(あくたがわ)や檜尾川(ひおがわ)などでゲンジボタルを見ることができますが、芥川の上流である「摂津峡」は比較的アクセスもよく、駐車場もあるので気軽にホタル鑑賞が楽しめます。
(1)摂津峡・下の口駐車場(または「塚脇」バス停)から摂津峡の上流に向かうルート
これが一番アクセスも良く、ホタルも多く見られるおすすめのルートです。上流に向かって右側にそそり立っている山が「三好山」で、「戦国時代最初の天下人」三好長慶の居城「芥川山城」があった所です。
「山水館」から「白滝」にかけてゆっくりホタルを鑑賞できると思います。山水館を少し行くと山口誓子の「ホタルの句碑」(*)が左側にあります。
(*)「ホタルの句碑」とは
「摂津峡」は、高槻市内を南北に流れる芥川の中・上流に広がる渓谷で、約3kmに渡って奇岩や断崖、滝などに加え桜や紅葉など四季折々に表情豊かな風景が見られることから、大分県にある日本三大奇景の一つの「耶馬渓(やばけい)」になぞらえて「摂津耶馬渓」とも呼ばれます。
私が子供の頃は、単に「耶馬渓」と呼んでいました。
私は以前、この「摂津峡」を「かじか荘(今は廃業)」や「桜公園」のある「下の口」から上流に向かって川沿いの細い道や岩場を歩いて、「上の口」まで行ったことがあります。その途中の温泉旅館「山水館」を過ぎた辺りに山口誓子の次のような「ホタルの句碑」があります。
「流蛍の 自力で水を 離れ飛ぶ」
(2)摂津峡・上の口バス停から「摂津峡大橋」を渡って摂津峡の下流に向かうルート
これは(1)とは逆に上流から下流に向かって右岸の道を進むルートです。
「摂津峡大橋」(上の地図の赤丸)を降りて河原の道(上の地図の赤線)を進むことも出来ますが、大小の石がごろごろあって足元が悪いので歩きにくいことと、ある地点まで行くと上の道に上がらなければなりませんので、ご注意ください。
おすすめのコースは、「摂津峡大橋」を渡ってさらに奥へ進み、「慶住院」を過ぎて坂道を降り、川沿いの細い道を行くと水面を離れて飛ぶホタルを見ることができます。
(3)摂津峡・「塚脇橋」から芥川右岸の「芥川清水緑道」を行くルート
これは(1)と(2)のルートと異なり、摂津峡の峡谷を過ぎたゆるやかな下流の散歩道のようなルートです。「あくあぴあ芥川」の方に向かって南下して「西之川原橋」まで行くものです。
ここでも最盛期には草むらでホタルの光が点滅したり、ホタルが水面を行き交う姿が見られます。ただし、(1)と(2)のルートに比べると数は少なめです。
2.ホタル鑑賞の「見頃」と「時間帯」
高槻市摂津峡では、6月上旬~中旬が見頃です。
ホタルが光る時間帯はおおよそ決まっていて、「20~21時頃、23時頃、夜中2時頃」の3つの時間帯です。私がおすすめのベストの時間帯は、深夜にかからない「20~21時頃」です。22時を過ぎますと、バスの本数も少なくなり、「上の口」の場合、22時30分頃が最終バスとなるからです。(「塚脇」の場合は、最終バスが21時台まで)
3.ホタル鑑賞の「おすすめ条件」(天候)
ホタルがよく飛ぶ条件は、じめっとした曇りの日です。ただし晴れた日でも見ることは出来ます。しかし、風の強い日や雨の日はあまり見ることができません。
4.ホタル鑑賞の注意点
高槻市では「ホタルの捕獲は禁止」されていますので、ご注意ください。なお川沿いの道は暗いので、足元を照らすために(小型の)懐中電灯は必要ですが、ホタルは明るい光が苦手ですので、直接懐中電灯で強い光を当てたりしないでください。
5.摂津峡へのアクセス
(1)車でのアクセス
①摂津峡・下の口駐車場
2020年5月30日(土)~6月21日(日)の期間は、「ホタルシーズン」として特別に17時~21時まで500円で駐車できます。(普通車160台収容)
②摂津峡・上の口駐車場
これは「マス釣り用の駐車場」で、営業時間は8時~17時で料金1000円となっています。(普通車30台収容)
ただし、20時頃に行ってみると管理人はおらず、ホタル見物と思われる車が何台も駐車しています。また、「摂津峡大橋」を渡って奥の「慶住院」前にもホタル見物と思われる車が何台か駐車しています。
いずれにしても、付近の住民の方の迷惑にならないように注意してほしいものです。
(2)バスでのアクセス
「上の口」と「JR高槻駅北」の間のバスは頻繁に出ていますが、「塚脇」と「JR高槻駅北」の間のバスは本数も少なく、最終バスも午後9時台と不便です。バスで行く場合は「上の口」まで行って1.(2)のルートでホタル見物されることをお勧めします。
6.新川のヒメボタル(5月上旬~下旬が見頃)
「摂津峡のゲンジボタル」は、幼虫が川の中でカワニナを捕食して過ごす水生のホタルで、6月上旬~6月中旬に見られます。
ゲンジボタルの卵は川岸の木や石に生えた苔に産み付けられます。幼虫はすぐに川の中に入ります。
一方「新川のヒメボタル」は、幼虫が陸生でカタツムリなどの陸生貝を捕食します。羽化の時期は5月上旬~下旬です。
「新川のヒメボタル」というのは、芥川の支流の新川の土手(城西橋の東南側の桜並木のある東側の土手の斜面)で生育しているもので、ヒメボタルの保護に取り組んでいる人々が、発現時期になると毎晩「発現数」を記録しておられます。
私も数年間は、この時期になると毎晩9時頃に自転車で観察に行きました。ゲンジボタルが黄白色の冷たい光であるのに対し、ヒメボタルはカメラのフラッシュの「点滅光」のようなオレンジ色の光で、「ピカッ、ピカッ」と光ります。土手に天然のイルミネーションが出来たような感じです。
ご興味のある方は一度行ってみて下さい。
なお、現在高槻市では、ゲンジボタル・ヒメボタル・ヘイケボタルを含む全てのホタルの捕獲が禁止されていますので、ご注意ください。