コロナ禍の影響で開幕が延期されていた2020年のプロ野球も、ようやく6月19日に始まりました。無観客試合ではありますが、プロ野球ファンにとってはうれしい限りです。
団塊世代の私が小学生から中学生の昭和30年代は、セ・リーグでは水原監督率いる「読売ジャイアンツ(巨人)」、パ・リーグでは三原監督率いる「西鉄ライオンズ」が人気・実力ともにトップで、子供たちの間でも大きく「ジャイアンツ派」と「ライオンズ派」に分かれていました。ただ、大阪にはこのほかに「阪神タイガースの熱狂的なファン」がいたのも事実です。
ところで、プロ野球のセ・リーグとパ・リーグの違いや由来はどうなっているのでしょうか?
今回はこれについてわかりやすくご紹介します。
1.セ・リーグとパ・リーグの歴史や名前の由来
プロ野球は今では2リーグ制が当たり前のようになっていますが、元々は1936年に設立された「日本野球連盟(日本職業野球連盟)」の1リーグ制で行われていました。
1949年(昭和24年)11月の会議で、いくつかの球団が新規参入を表明しました。その中の一つ「毎日オリオンズ」(現千葉ロッテマリーンズ)の参入を巡って意見が分かれ2リーグ制。となりました。
この時、参入に反対したのが後のセ・リーグで、参入に賛成したのが後のパ・リーグになります。
余談ですが、戦前は野球は「学生の趣味」と見られて「早慶戦」などの大学野球が人気で、プロ野球選手は「子供の趣味を大人になっても続け、生計の手段としている人々」として、一般の社会人と比べて低く見られる存在であったようです。
プロ野球人気が急上昇したのは、後年「ミスタージャイアンツ」「ミスタープロ野球」と呼ばれて大活躍することになる長嶋茂雄(終身名誉監督)の巨人入団以降ではないかと思います。
(1)セ・リーグ
①正式名称:セントラルリーグ
②リーグ発足年:1950年
③名前の由来:「正統な連盟であり主流なリーグ」という意味
④最多優勝チーム:読売ジャイアンツ 37回
⑤球団の変遷
当初、読売ジャイアンツ、大阪タイガース(現阪神タイガース)、中日ドラゴンズ、松竹ロビンス、大洋ホエールズ(現横浜DeNAベイスターズ)、広島カープ、西日本パイレーツ、国鉄スワローズ(現ヤクルトスワローズ)の8球団で始まりました。
その後、松竹ロビンスや西日本パイレーツの合併・脱退があり、6球団となって現在に至っています。
(2)パ・リーグ
①正式名称:パシフィックリーグ
②リーグ発足年:1950年
③名前の由来:「国際的な視野があるリーグ」という意味
④最多優勝チーム:埼玉西武ライオンズ 23回
⑤球団の変遷
当初、阪急ブレーブス(現オリックスバファローズ)、南海ホークス(現福岡ソフトバンクホークス)、東急フライヤーズ(現北海道日本ハムファイターズ)、大映スターズ、毎日オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)、西鉄クリッパース(現埼玉西武ライオンズ)、近鉄パールスの7球団で始まりました。1954年には高橋ユニオンズが加わって8球団となります。
その後、大映スターズと毎日オリオンズの合併・脱退があり6球団となって現在に至っています。
2.セ・リーグとパ・リーグの違い
(1)DH制の有無
「DH(指名打者)制」とは、投手の代わりに打席に立つ野手を加え、計9人ではなく計10人で試合をする野球です。
人気のあるセ・リーグと差別化を図るため、メジャーリーグを見習い、パ・リーグが1975年から導入したものです。これにより、投手はピッチングに集中できますし、指名打者はバッティングだけに集中できるメリットがあります。
(2)予告先発の有無
パ・リーグでは、前日に明日の先発投手を発表する予告先発制を1985年から導入しています。
これもDH制と同様、セ・リーグと差別化を図るためのものです。ただし、予告先発制については賛否両論があるようです。
(3)実力の差
セ・パ交流戦では、毎年パ・リーグが勝ち越しており、「実力のパ・リーグ」と言えそうです。
(4)人気の差
人気については、セ・リーグに人気球団が圧倒的に多いこともあり、「人気のセ・リーグ」と言えそうです。
2019年の観客動員数は、セ・リーグが14,867,071人で、パ・リーグが11,669,891人でした。
ただ、近鉄の野茂英雄やオリックスのイチロー、最近では楽天の田中将大や、日本ハムのダルビッシュ有や大谷翔平などの人気選手も出ており、今後もスター選手が何人も出てくれば「人気のパ・リーグ」となる可能性もあります。
3.ペナントレースとは
「ペナントレース」とは、「プロ野球の公式戦」のことです。「オープン戦」は公式戦の開始前に行われる準備運動のような練習試合のことですが、公式戦を「ペナントレース」と呼ぶのはなぜでしょうか?
それは各リーグの公式戦の優勝チームには、「優勝旗」として「ペナント」(三角旗)が与えられるからです。
全球団がこの「ペナント」獲得を目指して争うので「ペナントレース」と呼ばれるわけです。
1リーグ制時代と1982年頃までのパ・リーグでは「四角旗」でしたが、セ・リーグと日本シリーズの優勝旗は1950年の第1回大会から「三角旗」が使用されています。パ・リーグは1983年頃からセ・リーグと同じく三角形のペナントを使用するようになりました。