「スポーツ界」において続々と「パワハラ問題」が表面化

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体操界のパワハラ

<2021/2/26追記>全日本柔道連盟内部でのパワハラ問題について

「全日本柔道連盟内部でのパワハラ報道」を受けて、山下泰裕会長が講道館で会見し、辞任の可能性を示唆したとの報道がありました。

山下氏は「全日本柔道連盟」のほか、「JOC」会長も務めており、五ヵ月後に迫った東京五輪2020に悪影響が出ないか心配です。

スポーツ界のパワハラについては2018年に大きな問題となりましたが、その後は下火になったように思っていたのですが、やはり「いじめ」と同じくそう簡単にはなくならないようです。

私は「感染対策を十分に講じた上で、東京五輪をぜひ開催してほしい」と願っている一人ですので、「東京五輪2020」を五ヵ月後に控えて、オリンピック組織委員会前会長の森氏の辞任騒動のようなゴタゴタの二の舞にならないようにしてほしいものです。

1.スポーツ界におけるパワハラ問題

最近スポーツ界における「ドン」の「不祥事」や、「上層部」による「パワハラ問題」が続々と明らかになって、話題になっていますね。

日本大学のアメリカンフットボール部の内田監督が、自らが率いる日大の選手に対して、相手チームの関西学院大学の選手を「壊す」タックル(「故意による危険な反則行為」)を指示した疑惑が問題になりました。その当事者の日大の宮川泰介選手(19歳)が、相手選手への謝罪と、内田監督の指示に従わざるを得ない状況に追い込まれていたことを明らかにする記者会見を行いました。大変勇気ある会見で、好感が持てました。

その後、日本ボクシング連盟の山根会長が、国からの「助成金を不正流用」したり、同族会社にグローブなどの用具を独占的に販売させたり(「親族の関係企業への利益供与」)、審判員に「不正判定」をさせたり(不正を応諾しないと、その審判員を排除する)との疑惑が浮上しました。

さらに今回、日本体操協会の塚原副会長と塚原女子強化本部長がパワハラ問題で批判を浴びています。

2.ドンに対して自由にモノが言えないスポーツ界の体質

宮川紗江選手(18歳)の速見コーチが、同選手の髪の毛を引っ張ったり、顔をたたくなどの「暴力行為」をしたことを理由に、日本体操協会から「無期限登録抹消処分」という大変重い処分(永久追放に次ぐ重い処分)を受けました。これを最初聞いた時、私は「異常に重い処分」だなと違和感を感じました。その程度の「暴力行為」はスポーツ界の指導においては、今までからよくある話ではないかと思ったのです。今は「絶対禁止」なのかも知れませんが・・・

ただ、日本体操協会の塚原副会長や塚原女子強化本部長が、全く疚しいところもない立場で、このような厳しい処分を下したのであれば、「立派な指導者」ということになるのでしょう。

しかし、宮川紗江選手の記者会見を見て、またその後の塚原副会長や塚原女子強化本部長の発言を聞いて、真相は全く違っていて、副会長や強化本部長の「パワハラ」の方がよほど悪質・陰湿ないじめだと感じました。それにしても、宮川選手は、18歳と若いのにこのような会見を開いたのは、随分勇気があったと思います。逆に言えば、それほど「コーチへの処分が不当であり、体操協会のパワハラがひどかった」ことを告発せざるを得ない心境になったのでしょう。体操協会の二人の幹部こそ、私個人としては「永久追放」に値すると思うのですが、これは「双方に利害関係の全くない」公正な第三者委員会の調査結果を待つ以外になさそうです。

先日のテレビで、池谷幸雄さんが、この件で話しておられましたが、「昔から、体操協会には、自由にものが言えない雰囲気・体質があった」「つまり、塚原先生たちに批判的なことを上に言ったとしても、全部抑えられて、意見が通らない。いくら言ってもだめなので、黙っているという、腫れ物に触るような状態になっていた」とのことです。女王・女帝と呼ばれる強化本部長の「パワハラ体質」は十分わかりました。

森末慎二さんの話では、1991年の全日本体操選手権で、塚原女子強化本部長を中心とする審判団の「採点法」に不満が爆発し、出場選手91人中55人が競技をボイコットする事件があったそうです。私は初めて知りました。つまり、塚原本部長が指導するチームに所属する選手だけに有利な採点をしたというわけです。真相はわかりませんが、ボクシングの山根会長の「奈良判定」というのを聞いているだけに、ありそうな話だと思いました。

最初、「反論・反撃」「全面対決」「いくら金を使っても勝つまでやる」というような居丈高な姿勢から、一転して「謝罪」姿勢に転じたのは、「パワハラ」していたことを認めたも同然だと思います。もし、彼らが「パワハラなど絶対にしていない」と本気で思っているのであれば、むしろ徹底的に戦う姿勢を貫く方が正しいと思います。

宮川紗江選手には、このような騒動に巻き込まれて、随分迷惑な話だとは思いますが、日本体操協会の膿を出し切るために、勇気ある発言をされたことに賞賛とエールを送りたいと思います。また、同じような「パワハラ被害にあっている選手」も「Mee Too!」と申し出て、宮川選手と一緒に体操協会のパワハラ体質を一掃する協力をしてくれたら、もっとよいと思いますが、池谷幸雄さんですら断念したくらいですから、個々の女子選手としては、なかなか難しいことでしょうね。

3.第三者委員会で徹底的に調査し、膿を出し切る努力をすべき

最後に、他のスポーツ競技団体の権力者・上層部にも、このような「パワハラ体質・パワハラ問題」が必ず存在すると思われますので、この際、鈴木大地スポーツ庁長官には、税金を投入している全ての競技団体について、第三者委員会で徹底的に調査し、膿を出し切る努力をしていただくよう切にお願いしたいと思います。イギリスの歴史家・思想家のジョン・アクトンの言葉通り「権力は必ず腐敗する」ものです。