「原爆」を「平和」にすり替えたGHQの「WGIP」は日本人洗脳プログラム!

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WGIP日本人洗脳プログラム

毎年8月6日の「広島原爆投下の日」には、「広島平和記念式典」が開かれます。これは、「広島市原爆死没者慰霊式ならびに平和祈念式」が正式名称です。

しかし、この式典は「原爆死没者の霊を慰め、世界の恒久平和を祈念するための式典」で、原爆を投下し罪もない日本の一般市民を大量虐殺するという国際法違反の戦争犯罪を犯したアメリカに対する憎しみ(反米感情)をかき立てたり、ましてや、アメリカの非人道的な戦争犯罪を糾弾し謝罪を求める式典ではありません。

毎年8月15日に行われる「全国戦没者追悼式」も「戦没者を悼み、不戦の誓いを新たにして平和を祈念する式典」となっています。追悼の対象は「第二次世界大戦で戦死した旧日本軍軍人・軍属約230万人」と、「空襲や原子爆弾投下等で死亡した一般市民約80万人」の「日本人戦没者計約310万人」です。

このことについて、私は他の多くの日本国民と違って長年違和感を覚えて来ました。

ところが、最近になって、GHQによる占領政策の一環として「WGIP」(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)という日本弱体化戦略があったことを知り、その疑問が氷解しました。

1.GHQによる「WGIP」という日本人洗脳プログラム

WGIP

終戦後、日本を占領したGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)は、日本人の愛国心やアメリカに対する反抗心を弱体化・無力化させ、骨抜きにして占領を円滑に進めるため、「戦争についての罪悪感を日本人の心に植え付けるための宣伝計画」である「WGIP(War Guilt Information Program)」という政策を実施しました。

江藤淳

文芸評論家で評論「夏目漱石」で有名な江藤淳(1932年~1999年)が、「閉ざされた言語空間 占領軍の検閲と戦後日本」(1989年)の中で引用し、初めてその存在を指摘しました。

彼は、WGIPに基づく「太平洋戦争史」という宣伝文書を「日本の『軍国主義者』と『国民』とを対立させようとする意図が潜められ、この対立を仮構することによって、実際には日本と連合国、特に日本と米国との間の戦いであった大戦を、現実には存在しなかった『軍国主義者』と『国民』との間の戦いにすり替えようとする底意が秘められている」と分析しています。

この「WGIP」はGHQの内部文書にある言葉で、その後櫻井よしこ氏やケント・ギルバート氏、産経新聞なども取り上げています。

関野道夫氏は「日本人を狂わせた洗脳工作」という本の中で、このWGIPが「1948年3月3日付で民間情報教育局(CIE)から総参謀二部に宛てた『ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム』という文書」にあることを明らかにしました。GHQはこれによって日本人に「自虐史観」を植え付けようとしたようです。

アメリカの「初期対日占領方針」には、究極の目的として「日本国が再び米国の脅威とならぬようまたは世界の平和及び安全の脅威とならざることを確実に行うこと」が挙げられています。つまりGHQの最大の目的は、「二度とアメリカに刃向かえなないように日本人を洗脳して日本という国の弱体化を図ること」にあったのです。

政策の具体的な目的は次の5項目を徹底することで、この目的を達成するために作成されたのがWGIPでした。

①日本人に戦争の自虐史観を植え付けること

②連合国軍の正当性

③大東亜戦争は日本の悪辣非道な侵略戦争だったこと

④原爆投下の正当性

⑤極東国際軍事裁判の正当性

安岡正篤

陽明学者の安岡正篤氏(1898年~1983年)の「運命を創る」という本には、WGIPの三つの政策「3R」「5D」「3S」について次のように書かれています。

これはうまい政策でありまして、非常に要を得ておる。これを3R、5D、3S政策というわけです。
こうした占領政策を施行された時に、日本人は堂々と振る舞うと思ったのですが、案に相違して、我も我もとGHQ参りを始めました。特に公職追放が行われてから後は、表向きの人々はGHQ様々で唯々諾々として「命これを奉ずる」という有様でした。そこへゆくと、同じ敗戦国でもドイツ人は違っていました。彼らは、なにしろ昔から勝ったり負けたり繰り返してきているから、たまたま負けても動ずるところがない。ですから、占領軍が命令しても悪いことは堂々と拒否する。日本人は唯々諾々、直立して「イエス・サー」と言うからイエスマンといわれたが、ドイツ人はこういうふうですからNein Mensch No Manです。占領軍は、だから、初めは日本人を可愛がり、ドイツ人を憎みましたが、しばらくすると、「日本人はつまらぬ、骨がない」と軽蔑し、逆にドイツ人は「しっかりしとる」と褒めるようになったのです。
日本を全く骨抜きにするこの3R、5D、3S政策を、日本人はむしろ喜んで、これに応じ、これに迎合した、あるいはこれに乗じて野心家が輩出してきた。日教組というものがその代表的なものであります。そのほか悪質な労働組合、それから言論機関の荒廃、こういったものは皆、この政策から生まれたわけです。
今日の日本の堕落、退廃、意気地のなさ、こういう有様は昨日今日のことではない。非常に長い由来・因縁があることを考えないと、これを直すことはできません。
皆さんが今後起こってくる諸般の問題をお考えになるのには、目先の問題をとらえた流行の皮相な理論では駄目でありまして、先程申したように、少なくとも明治以来の思考三原則によって徹底した考察をなさらないと正解を得られない。したがって、今後の真剣な対策も立たないということを私は信ずるのであります。

2.「原爆」を「平和」にすり替えた巧妙な心理戦

1952年に完成した「原爆死没者慰霊碑」にある有名な碑文「安らかに眠ってください。過ちは繰り返しませぬから」は、当時の広島市長浜井信三氏の提案によるものだそうです。

この「過ちは誰が犯したものであるか」については、建立以前から有名な「碑文論争」がありました。

浜井市長は「過ちとは戦争という人類の破滅と文明の破壊を意味している」と述べています。しかし、当時の中国新聞には「碑文は原爆投下の責任を明確にしていない」「あくまで原爆を投下したのは米国であるから、『過ちは繰り返させませんから』とすべきだ」という投書が掲載されました。

これに対してはすぐに複数の反論の投書があり、「広く人類全体の誓いである」との意見が寄せられました。

パール判事

「極東国際軍事裁判」(東京裁判)において、連合国が派遣した判事の一人であるインドの法学者・裁判官のラダ・ビノード・パール判事(1886年~1967年)は、唯一人の「良心的な裁判官」ですが、彼は「広島、長崎に原爆が投ぜられた時、どのような言い訳がされたか、何のために投ぜられなければならなかったか?」と「原爆投下」と「原爆投下を正当化する主張」を批判しています。

そして碑文について、「原爆を落としたのは日本人ではない。落としたアメリカ人の手はまだ清められていない」と述べ、日本人が日本人に謝罪していると解釈して非難しました。

ハロルドラスウェル

アメリカの政治学者ハロルド・ラスウェル(1902年~1978年)は、著書「心理戦」(1950年)の中で、「戦争は、軍事戦・政治戦・心理戦に分けられる。政治戦とは政治的手段によって、心理戦とはプロパガンダや情報操作によって、相手国やその国民を従わせることだ」と述べています。

「心理戦」で彼は、アメリカが第二次大戦以来実践してきた心理戦、とりわけ「ホワイト・プロパガンダ」(情報源を明示し、自らに都合の良い事実を宣伝する)、「ブラック・プロパガンダ」(情報源を明らかにせず、虚偽の宣伝を行う)、「グレー・プロパガンダ」(情報源を明らかにせず、紛らわしい情報を流す)を使い分けた「思想戦」をわかりやすく解説しています。

日本人は「占領は戦争の終わり」と考えていましたが、GHQにとっては「占領は軍事戦の終わりであって、政治戦と心理戦の新たな段階の始まり」を意味していました。

3.WGIPの影響と弊害

GHQのCIE(民間情報教育局)は、日本放送協会(NHK)と日本の新聞各社(三大紙のほか地方紙も)、各種雑誌を使って心理戦を行いました。

CIEの設置目的の一つに次のような項目があります。

「あらゆる層の日本人に、彼らの敗北と戦争に関する罪、現在および将来の日本の苦難と窮乏に対する軍国主義者の責任、連合国の軍事的占領の理由と目的を周知徹底せしめること」

GHQは「ポツダム宣言第10項」(注1)に規定された「言論の自由」に自ら違反して、「プレスコード(新聞などに対する言論統制規則)」(注2)によって日本のメディアから「報道の自由」を奪い、かつCCD(民間検閲支隊)を使って検閲を行っていました。江藤淳は、この状態を「閉ざされた言語空間」と呼びました。

(注1)我々の意志は日本人を民族として奴隷化し、また日本国民を滅亡させようとするものではないが、日本における捕虜虐待を含む一切の戦争犯罪人は処罰されるべきである。日本政府は日本国国民における民主主義的傾向の復活を強化し、これを妨げるあらゆる障碍は排除するべきであり、言論、宗教及び思想の自由並びに基本的人権の尊重は確立されるべきである。

(注2)プレスコード(報道統制)の禁止30項目の一部抜粋

SCAP(連合国司令官、もしくは総司令部)への批判、極東軍事裁判への批判、GHQが日本国憲法を起草したことへの批判、検閲制度への言及、アメリカ・ソ連・イギリスおよび連合国への批判、朝鮮への批判、中国への批判、大東亜共栄圏の宣伝、占領軍兵士の日本女性への暴行、戦前に行われた連合国の政策への批判空襲や原爆投下に関する内容など

その後、CIEは「極東国際軍事裁判を日本人に受け入れさせること」に力点を移しました。そのために「日本人が侵略戦争をしたということ」「その過程で残虐行為を行い、アジアの国々の人々に多大の被害を与えたこと」「日本人全員がそれについて責任があること」が強調されました。「日本=戦犯国家」という「刷り込み」です。

これは、「アメリカ軍自身も、投降してきた日本兵を多数殺害したこと」「広島・長崎で人道に反する無差別大量虐殺を行ったこと」から日本人の目をそらすためでした。

アメリカはトランプ大統領を待つまでもなく、昔から「アメリカ・ファースト」であったことを忘れてはならないと私は思います。

マスコミや教育界にはWGIPの呪縛・影響が残り、弊害が今も続いています。

4.原爆投下についてのアメリカ人と日本人の意識

共産主義国家・覇権主義国家で核保有国のロシア・中国、ならびに北朝鮮の軍事的脅威がある現在の世界情勢の中では、核を持たない日本としては強固な日米軍事同盟に頼らざるを得ません。しかし歴史認識として、アメリカの原爆投下の罪・責任から目をそむけるべきではないと思います。

早稲田大学の有馬哲夫教授は、「アメリカ政府は、『100万人の兵士の命を救うためだった』と原爆投下を正当化する。しかし、実際は軍事力をソ連にアピールするために、残酷な仕方で広島、長崎の市民の命を奪った」と述べています。

WGIPの工作によって「自虐バイアス」や「敗戦ギルト」を植え付けられた結果、被害国である日本国民の中にも一定数、「原爆投下は正当だった」あるいは「仕方なかった」と考える人が存在します。マスコミもそういう見方を強化し続けています。

アメリカの対日戦争勝利50周年の1995年に、スミソニアン航空博物館は、広島に原爆を落としたB29爆撃機「エノラゲイ」を修復・展示する計画を立てました。その時、博物館はアメリカの勝者としての一方的な視点だけでなく、敗者である日本の視点も含めようと原爆被爆者の写真も同時に展示しようとしました。

これに対して「退役軍人団体」が、「エノラゲイは100万人ものアメリカ兵の命を救った。それなのに、原爆犠牲者の写真を展示すると、アメリカ軍が何の罪もない一般市民を無差別に大量殺戮したように見えてしまう。だからエノラゲイだけを展示し、原爆被爆者の写真は撤去せよ」と強硬に抗議しました。結局、博物館側が折れました。

しかし、その論争のさなか、アメリカABCが「ヒロシマ・なぜ原爆は投下されたのか」という番組を放送しました。この番組でABCは「原爆は戦争終結を早め、100万人ものアメリカ兵の命を救ったというが、それは本当なのか?」と問いかけました。

アメリカ政府の公式見解は、「原爆投下か、日本本土への上陸作戦しか選択肢がなかった」ことを前提としています。タブーに挑戦したこの番組には、放送番組に与えられる最も権威あるピーボディー賞が与えられました。

終戦の年のギャラップ世論調査では、原爆投下を正当だと答えたアメリカ人は85%いましたが、この番組が放送された4年後の1999年のデトロイト・フリープレスの調査では63%、2016年のピュー・リサーチの調査では56%となっています。

2015年7月にイギリスの調査会社ユーガブがアメリカ人1000人を対象に「原爆発明の是非」と「原爆投下の是非」に関する面接調査を行った結果、62%が「原爆発明は良くなかった」と回答し、46%が「原爆投下は正しかった」と回答しています。ただし、18歳~29歳の若い世代では、「原爆投下は正しかった」と答えたのは31%で、「間違いだった」と答えたのが45%に上りました。

一方日本では、2018年8月12日にNHKが「BS1スペシャル▽”悪魔の兵器”はこうして誕生した~原爆 科学者たちの心の闇」を放送しましたが、原爆使用「賛成派」2人と「仕方なかった派」1人をクローズアップしただけで、「反対派」の意見は取り上げませんでした。ちなみに「反対派」の科学者はシカゴ大学の研究所だけでも69名いたそうです。

これは視聴者に「原爆投下は仕方なかった」という印象を与える「情報操作」のように見えます。


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