<2023/3/4追記>倍賞千恵子さんが、映画「PLAN 75」(*)で第65回ブルーリボン賞の主演女優賞に輝きました。おめでとうございます。
この映画は、「75歳から生死が選択できる近未来を描いた映画で、倍賞は人生に絶望した女性の心情を繊細な演技で表現している」(映画記者)そうです。
「PLAN 75」は日本公開から半年以上、全国各地の映画館でロングラン上映を続けています。この度、第65回ブルーリボン賞にて主演女優賞(倍賞千恵子)&監督賞(早川千絵)を受賞したことを記念して、公開時のメイン館である新宿ピカデリーにて3月10日(金)より再々上映が決定しました。
(*)「PLAN 75」とは
本作が長編デビュー作となる早川千絵監督が、是枝裕和監督が総合監修を務めたオムニバス映画「十年 Ten Years Japan」の一編として発表した短編「PLAN75」を自ら長編化。75歳以上が自ら生死を選択できる制度が施行された近未来の日本を舞台に、その制度に翻弄される人々の行く末を描いています。
少子高齢化が一層進んだ近い将来の日本。満75歳から生死の選択権を与える制度「プラン75」が国会で可決・施行され、当初は様々な議論を呼んだものの、超高齢化社会の問題解決策として世間に受け入れらました。夫と死別し、ひとり静かに暮らす78歳の角谷ミチは、ホテルの客室清掃員として働いていましたが、ある日突然、高齢を理由に解雇されてしまいます。
住む場所も失いそうになった彼女は、「プラン75」の申請を検討し始めます。一方、市役所の「プラン75」申請窓口で働くヒロムや、死を選んだお年寄りにその日が来るまでサポートするコールセンタースタッフの瑶子らは、「プラン75」という制度の在り方に疑問を抱くようになります。
年齢による命の線引きというセンセーショナルな題材を細やかな演出とともに描き、初長編監督作にして第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品。初長編作品に与えられるカメラドールのスペシャルメンション(次点)に選ばれました。
私たち団塊世代にとって、倍賞千恵子さんと言えば「下町の太陽」、「男はつらいよ」シリーズの寅さんの妹さくら役などをまず思い浮かべます。
今の若い人にとっては、アニメ映画「ハウルの動く城」のヒロイン「ソフィー」の声優と言った方がわかりやすいかもしれませんね。
1.倍賞千恵子さんは癒しのソプラノ歌手
しかし、彼女の真骨頂というか、最大の魅力は澄み切った美しいソプラノの歌声だと私は思っています。
鮫島有美子さん(1952年~ )など他にも有名なソプラノ歌手はおられますが、彼女の声は深く癒されるような優しいソプラノです。
「下町の太陽」だけでなく、彼女の「抒情歌」「唱歌」は特に優れていると思います。私は「里の秋」が一番好きです。
コロナ禍で疲れた心を優しく癒してくれること間違いなしです。まずはYouTubeで聞いてみてください。
「里の秋」
「下町の太陽」
「オホーツクの舟唄」(「知床旅情」)
「あざみの歌」
「さくら貝の歌」
「浜辺の歌」
「椰子の実」
「夏の思い出」
「北上夜曲」
「浜千鳥」
「花」
「雪の降る街を」
「白い花の咲く頃」
「赤とんぼ」
「叱られて」
「谷間のともしび」
「山のけむり」
「ゴンドラの唄」
「芭蕉布」
「愛の讃歌」
「惜別の歌」(原詩は島崎藤村の「高楼(たかどの)」、中央大学の学生歌)
「早春賦」
私は彼女の歌をもっと広く皆さんに知ってもらいたいと思い、今回ご紹介しました。
私は外国人でテレサ・テンほど日本語を美しく発音する歌手を他に知りませんが、日本人では倍賞千恵子さんほど透き通るようなソプラノで日本語を美しく発音する歌手はいないのではないかと思います。
2.倍賞千恵子さんとは
倍賞千恵子さん(1941年~ )(上の画像は若い頃)は女優・歌手であり、声優でもあります。実妹は女優の倍賞美津子さん(1946年~ )(下の画像の右側)です。
夫はNHK大河ドラマの音楽などでおなじみの作曲家の小六禮次郎さん(1949年~ )です。
幼少時は「のど自慢」荒らしとして知られ、みすず児童合唱団を経て、1957年に「松竹音楽舞踊学校」に入学、1960年に首席で卒業し、「松竹歌劇団(SKD)」に13期生として入団、若くして「逸材」と注目されました。
SKD同期には、松竹女優になった榊ひろみさん(1942年~ )やテレビアニメ「サザエさん」の「サザエさん」の声や「大改造!!劇的ビフォーアフター」のナレーションでおなじみの声優加藤みどりさん(1939年~ )がいました。余談ですが、女優の草笛光子さん(1933年~ )はSKD(5期生)の先輩です。
1961年に松竹映画にスカウトされSKDを退団し、「斑女」で映画デビューしました。
1963年に山田洋次監督の映画「下町の太陽」に主演して以降、山田作品に欠かせない「庶民派女優」となりました。同年「下町の太陽」という曲で歌手デビューも果たしました。
その他のヒット曲としては「さよならはダンスの後に」「おはなはん」「忘れな草をあなたに」などがあります。
映画「男はつらいよ」シリーズでは、渥美清演じる主人公車寅次郎の妹さくら役を演じ、人気を不動のものとしました。
2004年には宮崎駿監督のアニメ映画「ハウルの動く城」でヒロイン「ソフィー」の声を担当し、主題歌「世界の約束」を歌っています。
またフジテレビのコント番組「志村けんのだいじょうぶだぁ」や「バカ殿」にも出演し、ボケからツッコミまで幅広く対応するなど気さくな一面と芸達者なところを見せました。