皆さんのご家庭では、冷蔵庫に入れたままにしておいた食品が「賞味期限切れ」になってしまったり、「消費期限切れ」になってしまったことはありませんか?
我が家では普段あまり使わない食品や、特売で大きめの容器で買った食品、あるいは頂き物でそのままにしておいた缶詰などでこのような悲惨な結果になることがたまにあります。
これは「もったいない精神」にも反することです。
1.「賞味期限」と「消費期限」の違い
(1)賞味期限とは
「賞味期限」は、「開封していない状態で、表示されている保存方法に従って保存したときに、美味しく食べられる期限」を示しています。
「賞味期限」は、缶詰・ジュース・スナック菓子・インスタントラーメンなど、5日を超える長期の保存が可能な商品に表示してあります。
「賞味期限」を過ぎても、食べられなくなるとは限りません。
なお、砂糖や塩などの調味料・チューインガム・アイスクリーム類・氷など長期保存が可能なものは、「賞味期限」を省略することができます。
(2)消費期限とは
一方「消費期限」は、「開封していない状態で、表示されている保存方法に従って保存したときに、食べても安全な期限」を示しています。
要するに、「賞味期限」は「(品質が変わらずに)美味しく食べられる期限」で、「消費期限」は「安全に食べられる期限」です。
「消費期限」は、弁当や惣菜・洋生菓子・食肉・低温殺菌牛乳など、概ね5日以内に品質面で著しい品質低下が認められる食品や食材に表示してあります。
「消費期限」を表示した食品は傷みやすいので、期限内に消費する必要があります。
2.「期限切れ食品」や「食品ロス」削減への取組み
農林水産省の推計によると、平成29年の日本の食品廃棄物は年間約2,550万トンもあり、その中で「本来食べられるのに捨てられる食品」(いわゆる「食品ロス(フードロス)」)は年間612万トンにも上っています。
東日本大震災後の「もったいない」意識の追い風もあり、食品メーカー・卸売業者・小売業者・消費者の全てにおいて「食品ロス」削減の動きが加速しています。
(1)食品メーカー
①賞味期限の延長
即席麺メーカーの日清食品ホールディングスでは、カップ麺の賞味期限を従来の5か月から6か月に、袋麺は従来の6か月から8か月に延長しています。
カゴメでは、東日本大震災後、缶入り野菜ジュース「野菜一日これ一本」が野菜の保存食として見直されたのを受けて、賞味期限を従来の2年から3.5年に延長しました。
②賞味期限の表示を工夫
チョコレートなどを作っている明治では、チョコレートや乳児用液体ミルクなど約150品目で以前から賞味期限を「年月日表示」でなく「年月表示」してきましたが、2020年からは賞味期限が1年以上の常温や冷凍の家庭用商品100品目以上を新たに対象に加えています。
飲料大手のサントリー食品インターナショナルでも、全商品を対象に賞味期限の表示を「年月日表示」から「年月表示」に順次切り替えています。
③需要予測の精度を向上
過去の販売実績に基づく需要予測の精度を向上させて、食品ロスを削減する試みです。
④フードバンクの利用
包装の印刷ミスなどで販売できない食品を集めて福祉施設などに配る非営利団体「フードバンク」を利用する動きもあります。
(2)卸売業者
①店舗への納品期限を賞味期限の2/3残しから1/2残しに緩和
流通経済研究所の推計では、卸売業者からメーカーに返品される加工食品は2017年度に562億円(出荷額ベース)に上っています。
返品のうち、2割はディスカウント店などに回りましたが、8割は廃棄されたそうです。
②保管・配送時の破損削減
(3)小売業者
①販売期限を賞味期限の1/3~1/6残しから緩和
これは、総合スーパーや食品スーパー、ドラッグストア、コンビニなどで順次進んでいます。
②「もったいないポイント」など賞味期限が迫った商品から売る工夫
最近、食品スーパーではパンなどで賞味期限が迫った商品を値引き販売しているところが多くなりました。
たとえば買って1~2日以内に食べる商品であれば、賞味期限が2日後でも何ら差し支えないはずです。20%引きなどの値引き販売がされていれば節約にもなります。
③予約販売
「クリスマスケーキ」や「節分の恵方巻」、「おせち料理」など時期が限定された商品については「予約販売」にすることで食品ロスが削減でき、経営的にもプラスになります。
(4)消費者
①過剰な購入を減らす
安売り日などに必要以上の買い溜めをしたり、特売品の大きめの容器を買ったりするのは食品ロスにつながりやすいものです。
②賞味期限を正しく理解する
③作った料理の食べきり
④食材を無駄なく使う工夫
冷蔵庫内の食品の賞味期限・消費期限をこまめに確認して「冷蔵庫の大掃除」をするなど、残った食材を無駄なく使う工夫も必要です。