<2024/1/30追記>ファミリーマートの一部店舗でプラスチック製スプーン・フォーク・ストロー有料化を開始
コンビニ大手のファミリーマートは、1月29日から一部の店舗でプラスチック製のスプーンやストローなどの有料化を始めました。プラスチックごみの削減がねらいで、コンビニ大手では初めてです。
ファミリーマートは、弁当やデザートなどを購入した人に無料で提供しているプラスチック製のスプーンとフォーク、ストローを29日から全国の100店舗で有料化し、4円から6円で販売しています。
会社は100店舗での有料化によって、プラスチックの使用量を年間およそ4トン削減できると見込んでいて、今後は順次、全国1万6000余りの店舗へ有料化を広げていくことにしています。
昨年(2020年)7月から、百貨店やドラッグストア、コンビニのレジ袋が有料化されました。スーパーなどのレジ袋有料化はすでに定着した感があります。
さらに今回、政府は「2022年4月以降、コンビニ店などに使い捨てのフォークやスプーンの提供を規制すること」などを盛り込んだ「プラスチック新法案」(プラスチック資源循環促進法案)を閣議決定しました。
これは明らかに行き過ぎで、「プラスチック憎しの間違った大暴走」としか言えません。
この動きに私は疑問を持っています。前に「プラスチックごみ問題解決法」の記事や「自販機のペットボトル排除問題」の記事も書いていますので、ぜひご一読ください。
1.「スプーン有料化」を含む「プラスチック新法案」とは
「プラスチック新法案」の内容は、政府の発表によれば次のようなものです。
プラスチックごみの排出削減やリサイクル促進などを目的としている。「設計・製造」「販売・提供」「排出・回収・リサイクル」の3段階で措置を講じ、このうち「販売・提供」段階では、コンビニやレストラン、カフェといった事業者が提供してる使い捨てのプラ製ストロー、フォーク、スプーンなどについて、使用の合理化を求める。
そして、具体的には使い捨てプラ製品の「有料提供」「受け取らなかった客にポイント還元」「代替素材への転換」などで、いずれかの対応を取るよう義務付ける方向で検討しているようです。
命令に違反すれば、50万円以下の罰金が科せられます。法案は今国会で審議され、来年4月の施行を目指しています。
2.「プラスチック新法案」の問題点
レジ袋やプラスチック製フォークやスプーンを有料化することは、プラスチックごみ問題の根本的解決にはならないと私は思います。
ポリエチレンは「エチレンプラント」での石油精製の過程で必然的に出来るもので、ポリ袋やペットボトル、使い捨てスプーンやフォークなどのプラスチック製品はこれの「有効活用」と言えます。
これらのプラスチック製品は安価で、ポリ袋は買い物袋に使った後は、ゴミ袋にもなりとても便利なものです。これを「悪者」扱いするのは、本末転倒です。
しかも、ポリ袋(レジ袋)は、国内で1年間に出るプラスチックごみの2%程度と見られています。2016年に環境省が国内10地点で行った海岸の漂着ごみ調査によれば、プラスチックごみのうちレジ袋を含むポリ袋は容積で0.3%、ストローやフォークなどの食器類もわずか0.5%でした。比率が高いのは、漁網やロープ(26.2%)、発砲スチロールブイ(14.9%)などの産業用品で、生活関連では飲料用ボトルが12.7%を占めていました。
今の風潮は、「木を見て森を見ず」で、「穴の開いたバケツの、大きな穴(中国や東南アジア諸国)を修理せずにそのまま放置し、小さな穴(日本などの先進国)を一生懸命修理しようとしている。その結果、水漏れ(海洋プラスチックごみ汚染)はほとんど改善しない」ように見えます。
消費者に経済的負担を強いる一方、コンビニなどの利益を増やすだけの「プラスチック製スプーン等の有料化」は正しい政策とは思えません。
環境問題を考えて「プラスチック製スプーン等を有料化」するのであれば、その前に「環境に配慮した無料で提供できる木製スプーン等」を用意してから実施するのが筋だと思います。
また、「レジ袋有料化」の効果やデメリット・問題点の検証もせずに、またもや意味不明の「プラスチック製スプーン等を有料化」する政策を打ち出すのは、全く理解に苦しみます。
私は「環境問題」に関連して「温暖化対策」についても疑問を持っています。これについては前に「温暖化対策問題」の記事を書きましたので、ご一読ください。