三度目の緊急事態宣言はコロナ対策のメリットより経済へのデメリットの方が大!

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緊急事態宣言の解除と延長

<2021/7/31追記>緊急事態宣言による経済損失はオリ・パラ経済効果を上回る!

野村総研は「緊急事態宣言による経済損失はオリンピック・パラリンピック経済効果を大きく上回る」との試算をまとめました。

試算では、神奈川など4府県に緊急事態宣言が適用されることで生じる経済損失は9,400億円としています。

さらに、東京都などでの期限延長を合わせると、「4回目の緊急事態宣言」による経済損失2兆1,900億円に膨らむということです。

東京オリンピック・パラリンピックによって見込まれる経済効果1兆6,771億円を大きく上回ることになり、五輪効果は「完全に相殺されてしまう計算」としています。

<2021/4/21追記>東京・大阪・兵庫・京都の4都府県に三度目の緊急事態宣言発令について

今週末か週明けにも東京・大阪・兵庫・京都の4都府県への「三度目の緊急事態宣言発令」が確実となりましたが、その効果に私は疑問を持っています。

今回特に感じるのは、次のような点です。

①「感染拡大⇒緊急事態宣言」と短絡的にマンネリ化し、効果の検証が十分なされていない

②国民の間に「自粛疲れ」が強くなってきている

③飲食店の休業だけでなく、デパートや遊興施設の休業も予定されているが、同施設でのクラスターが発生しているのかも検証せず、前例踏襲しているだけで感染拡大抑止効果が疑問

④飲食店などの「感染予防対策の努力」を無駄にせず、営業を続けてもらう工夫が不足

⑤政府や医師会などによる医療機関体制の改善などの努力があまり感じられない

⑥休業補償も不公平感が解消されていない上、国や自治体の莫大な負担になってきている

⑦今回の緊急事態宣言で感染拡大が止まらない場合、政治家がどう釈明するのか疑問

⑧文科省の「学校の一斉休校をしない」方針は歓迎したいが、大阪府吉村知事の「スポーツイベントは原則中止ないし延期」方針は工夫がなさ過ぎで疑問

「コロナ対策」としての二度目の「緊急事態宣言」が2021年1月7日に一都三県で、1月14日には大阪府・兵庫県・京都府、愛知県・岐阜県、福岡県、栃木県でも発出され、期限は2月7日までとなっていましたが、栃木県以外の都府県では3月7日まで延長されました。

特別措置法と緊急事態宣言

ただ、最初の「緊急事態宣言」(2020年4月~5月)に続く今回の二度目の「緊急事態宣言」については、「コロナ対策としてのメリット」より「経済へのデメリット」の方が大きいと私は思います。

コロナの第三波は、データを見る限り、12月末までにピークアウトしており、そもそも菅内閣は「緊急事態宣言」を発出する必要はなかったのです。もう少し推移を見守るべきでした。

しかし都道府県知事の催促や専門家の意見に屈して発出してしまいました。そして今回「延長」の決定までしました。これは明らかに誤った政策判断だったと思います。

現在東京や大阪で新規陽性者数が減少傾向にありますが、これは「緊急事態宣言のおかげ」と思っている人も多いかもしれませんが、私は「自然減」だと思っています。

2021年2月9日、大阪府は独自の「解除基準」を達成しているにもかかわらず、兵庫県と京都府がそれぞれの独自基準を達成していないため、「両府県と共同歩調を取る」として、政府への宣言解除要請を断念しました。

この吉村知事の対応にも私は疑問を持っています。

1.緊急事態宣言のメリット

(1)コロナの感染者が出る速度を緩やかにできる

最初の緊急事態宣言の時も今回も、政府や専門家はこのメリットを一番に考えているようです。

(2)国民のコロナに対する感染予防意識を高められる

2.緊急事態宣言のデメリット

(1)極度に行動の自由が奪われる

(2)企業の業績悪化や倒産・休廃業、失業者の増加で経済に深刻な打撃を与える

(3)休業要請や時短要請した事業者への補償が必要になる

(4)一律の補償を受ける飲食店の中でも規模によって不公平感が生じる

(5)補償対象外の業種からの不満が高まる

3.誤った考え方

(1)感染拡大の原因についての認識

政府の分科会の専門家や、西村コロナ担当大臣、都道府県知事の共通の認識として、「人の移動があると感染者が増える」という考え方があります。

「多人数での会食で感染者が増える」という考え方や「午後8時以降の飲食で感染者が増える」という考え方もあります。これは「時短要請の根拠」ともなっています。

しかし西村コロナ担当大臣の「ランチでも感染リスクあり」発言に、サイゼリアの社長が激怒しました。確かにこれは「時短要請の根拠」を自ら否定するような発言です。

(2)大阪府が兵庫県・京都府と共同歩調を取ること

せっかく大阪府の吉村知事が「大阪独自の解除基準」を作ったのに、兵庫県や京都府がそれぞれの独自の解除基準を達成できていないからといって、それに引きずられて解除要請をしないのでは、「大阪独自の解除基準」を作った意味がありません。

共同歩調を取るという考え方の根底には、(1)に述べた「人の移動があると感染者が増える」という考え方があるようです。

もし共同歩調を取る考えであれば、事前に「3府県が合意できる共通の合理的な解除基準」を設けるべきでしょう。

たとえば「実効再生産数が一週間平均で1以下になる」といった基準です。

東洋経済オンラインのコロナ国内感染状況」のデータによると、2021/2/8時点の日本の実

効再生産数は0.73です。東京都の実効再生産数は0.76、神奈川県は0.65、千葉県は0.78、埼玉県は0.89です。大阪府・兵庫県は0.69、京都府は0.56です。

(*)「実効再生産数」とは

感染症医療の分野で、「特定の感染症に罹った一人の感染者から、新たに生み出されることになる二次感染者数の平均値」を表すものとして、「基本再生産数」と「実効再生産数」という二つの言葉があります。

基本再生産数」とは、「ある感染症に対する免疫を誰も持っていない通常の状態において、1人の感染者から平均してどれけの数の人々病気がうつることになるのかを示す推計値」のことです。

実効再生産数」とは、「感染症が実際に流行しているある集団特定の時点において、1人の感染者から平均してどれけの数の人々実際に病気がうつっているのかを示す実数値」のことです。以前、専門家会議が「1.4・1.7・2.0の流行シナリオ」を作成し、「東京は1.7」と発表したのでご記憶の方も多いと思います。

「実効再生産数」が1より大きい場合は「感染症の流行が拡大へと向かって行く」状態であるのに対し、「実効再生産数」が1より小さくなれば「感染症の流行が収束へと向かって行く」状態であると言えます。

4.正しいコロナ対策とは



では「ワクチン」や「治療薬」を除く正しいコロナ対策とはどのようなものでしょうか?

1年前は「コロナは未知のウイルスでワクチンも治療薬もなく、恐ろしい感染症」という認識でしたが、1年経った現在はいろいろとわかって来たことも多いはずです。

不必要な「謎対策」「過剰対策」は漫然と続けるより見直しが必要です。

「人の移動」が多くなると「飲食の機会」が増え、「大人数で集まる機会」も多くなるという現象は確かにあります。しかし、これらは「感染の直接の原因」ではありません。

私は「正しいコロナ対策」とは、要するに次のようなことだと思います。

・食事の時は喋らない

・話をする時はマスクをして飛沫が飛ばないようにする

・お酒を飲む時も大声で騒いだりしない

・外出時はマスクを着用する

・こまめに手洗い・消毒をする

このほかに取るべき政策としては、医療崩壊を防ぐための「コロナの感染症指定区分の2類相当から5類への引き下げ」や大多数の国民への金利収入増加策と銀行の経営悪化回避策としての「日銀のマイナス金利政策の即時停止」などがあります。

私はコロナについての認識として、国際医療福祉大学の高橋泰教授の「コロナ新仮説」や、京大・宮沢准教授の「目玉焼きモデル」は傾聴に値すると思います。

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