政府は8月2日、「新型コロナウイルス感染症の医療提供体制に関する閣僚会議」を開き、「入院対象を重症者らに限定する方針」を唐突に決めました。
肺炎などの症状がある中等症のうち、重症化リスクが低い人は自宅療養とし、家庭内感染の恐れや自宅療養が困難な場合は、ホテルなどの宿泊療養も可能とするとのことです。
デルタ株の広がりで新規感染者が1万人を超える日もあり、「病床不足への懸念が強まっている」ため、事実上の方針転換となりました。
これまでは、「軽症や無症状が自宅または宿泊療養」で、「中等症以上は原則入院」でした。入院要件をより厳格にすることで、限られた病床を効率的に使うのが目的ですが、「自宅療養者が増えれば容態の急変時に迅速に対応できない恐れ」があり、「健康観察態勢の整備が急務」と言われています。
菅首相は閣僚会議で、「重症患者や重症リスクの高い方以外は自宅での療養を基本とし、症状が悪くなれば入院できる体制を整備する」と表明しました。また、重症化を防ぐ効果がある新治療薬の「抗体カクテル療法」について、「50代以上や基礎疾患のある方に積極的に投与し、在宅患者も含めた取り組みを進める」とも述べました。
私はこの政府の方針転換について、いくつか疑問を持っています。
1.コロナの感染症分類を「2類相当」から「5類」に変更するのが先決
私は「コロナを過剰に恐れる必要はない」という考え方を持っています。これは国際医療福祉大学の高橋泰教授の仮説や京都大学の宮沢孝幸准教授の仮説の方が正しいと思うからです。
そして病床不足を回避し、医療逼迫・医療崩壊を防ぐための最優先の方策は、コロナの感染症分類を「2類相当」から「5類」に変更することです。
これによって、インフルエンザと同様に一般のクリニックや医院でもコロナ患者が受診できることになります。
「医療従事者はすでにコロナ予防接種2回実施済」なので、「一般のクリニック・医院でも」どんどん「コロナ患者を診療すべき」です。
日本の人口あたり病床数は世界的に見て多いのです。人口千人あたりの病床数は、日本が13.1(2017年)で、OECD加盟国平均の4.7を大幅に上回っています。
そもそも「日本で医療逼迫や医療崩壊が起きる」と騒ぎ立てる方がおかしいのです。
2.「発熱外来の受診は保健所経由」の体制を取りやめ、「医療機関直接受診」に変更が必要
私の家族が高熱を出して「コロナかもしれない」と思って「発熱外来」を受診しようとしても、保健所の電話が全くつながらなかった苦い経験があります。
保健所はパンク状態で、「救命救急センター」や「急性期医療の病院」の電話はつながるのに、保健所の電話がつながらないため、受診を受け付けてもらえず大変困った経験です。
この「発熱外来の受診は保健所経由」の体制は、即刻廃止し、「医療機関が発熱外来で直接受診受付できるようにすべき」です。
3.自宅療養者が適時適切に往診してもらえる体制を国民に明示すべき
コロナが「2類相当」のままの現状で、自宅療養者の容態が急変した場合に、すぐに往診に来てもらえる体制が出来ているのか、はなはだ疑問です。
「かかりつけ医」が往診に応じてくれるようになっているのでしょうか?休日や夜間に容態が急変した場合に「救命救急センター」や「急性期医療の総合病院」の医師が往診してくれるのでしょうか?
この辺の詳しい明確な説明を政府は国民に対してきちんと行う必要があると私は思います。
4.「緊急事態宣言」を何度も出したり、何度も延長するのは効果がない
もう従来のままの「緊急事態宣言」は効果がないことは、誰よりも今の内閣・政府首脳は知っているはずです。
もし知らないか、そう思っていないのであれば、「全くの無能・無策」の「お手上げ状態」であり、さっさと総辞職すべきです。
「政府分科会」の尾身会長や、「日本医師会」の中川会長の意見に洗脳されているのであれば、早急にその呪縛を解くべきです。彼らは自己の経営する病院や「医師会」という圧力団体の利益を代弁しているだけで、「コロナの感染拡大に対処するために自分たちにできることは何か」を考えず、「国民に我慢を押し付けるだけ」に終始しています。
都道府県の知事も、「政府分科会」の尾身会長や、「日本医師会」の中川会長の意見に引きずられるように、「緊急事態宣言」の拡大を要請していますが、私は彼ら首長の考え方が全く理解できません。「日本経済を死なせない」という視点が欠落しているからです。