最近若い人を中心にして「ほぼほぼ」という言葉をよく聞くようになりました。テレビを見ていると、タレントや民放のアナウンサーが使っているのを聞いたこともあります。
これは、「畳語(じょうご)」とよばれる「繰り返し言葉」です。今後もこのような新しい畳語が生まれてくると思います。
今回はその中から、面白い畳語をいくつかご紹介したいと思います。
1.面白い畳語の具体例
(1)ほぼほぼ
辞書の三省堂が実施している「今年の新語」の2016年の大賞に「ほぼほぼ」が選ばれました。ちなみに同年の「ユーキャン新語・流行語大賞」は「神ってる」でした。
この「ほぼほぼ」は、1949年の「国会会議録」にも出ているくらい古くから使われていましたが、1990年代から使用例が増え、2010年頃にはしばしば使われるようになりました。
バラエティー番組「ほぼほぼ~真夜中のツギクルモノ探し~」(MC:山里亮太、唐橋ユミ、2016年4月から2017年4月まで放映)によって、一気に流行語になったようです。
ちなみに漢字では、「略略」「粗粗」と書きます。
(2)おさおさ
「おさおさ」は「(後に打消しの語を伴って)ほとんど。全く」ということです。「準備おさおさ怠りなく」などと使いますが、最近はあまり聞かれない言葉です。
「をさをさ」という古語が語源です。
(3)ゆめゆめ
「ゆめゆめ」は次のような意味があります。
①(後に禁止を表す語を伴って)決して、断じて。用例:「ゆめゆめ忘れるな」
②(後に打消しの語を伴って)少しも、全く。用例:「ゆめゆめ考えもしなかった」
③努めて、心して。用例:「汝、なほゆめゆめ仏を念じ奉り」(今昔物語)
ちなみに漢字では、「努努」「努力努力」「夢夢」などの、「当て字」を使います。
これも最近はあまり聞かれない言葉です。
(4)つらつら
「つらつら」は「念を入れて物事を考えたり、見たりするさま。よくよく。つくづく」という意味です。
「つらつら考えてみるに」などと使います。ただしこれも最近はあまり使いませんが、味わい深い言葉です。
ちなみに漢字では、「熟」「熟々」「倩」などと書きます。
2.畳語について
「畳語」とは「同じ単語などを繰り返して作った言葉」です。「合成語」の一種で、畳語を形成することを「重畳(ちょうじょう)」または「重複(ちょうふく)」といいます。
(1)用法
①強調:「とてもとても」など
②オノマトペ(擬声語・擬態語・擬音語):「ごろごろ」「きらきら」など
③物などが複数あること:「人々」「山々」など
④動作などの反復・継続:「休み休み」「続々」など
⑤幼児語:「おめめ」「おてて」など
⑥愛称:「タンタン」など
(2)品詞
①名詞:「人々」「山々」「国々」
②動詞:「泣く泣く」「休み休み」
③形容詞:「青々」「寒々」
④形容動詞:「けちけち」「奇々怪々」
⑤副詞:「たまたま」「わざわざ」
⑥数詞:「一々」「三々五々」
⑦感嘆詞:「いやいや」「あらあら」