漢字は全部でいくつあるのか?「史記」は約526,500字で書かれている!

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史記

漢和辞典を開くと夥しい数の漢字が収録されており、知らない漢字も多いことに改めて驚きます。

1.漢字は全部でいくつあるのか?

漢字はいったい全部でいくつあるのでしょうか?

以前は、「『大漢和辞典』には、この世のありとあらゆる漢字が収められていて、その数は約5万である」というのが、漢字の世界では、一般常識とされていました。ところが残念なことに、現在では「漢字の総数は約5万」とは言えなくなってきています。

その理由の1つは、『大漢和辞典』をしのぐ規模の漢字の辞典が、中国で相次いで編纂されたことです。中でも1994年に出版された『中華字海』という辞典は、約8万5000という収録漢字数を誇ります。

また日本でも、コンピュータの世界で「多漢字」を誇るソフトが現れてきています。たとえば「今昔文字鏡」では17万字の漢字が使用可能ですし、「超漢字4」に至っては、その数18万と豪語しています。

では「漢字の総数は約18万」と言い直せばよいか、というと、問題はそんなに簡単ではないのです。

漢字の中には、「島」に対する「嶋」のように、意味も音読みも同じなのに字体だけが違う「異体字」と呼ばれるものがあります。現在のように活字による印刷物が普及する以前には、この異体字がたいへん多く用いられていました。それらの中には、わたしたちが通常目にする漢字とは微妙に違うだけのものも数多く含まれています。

以前はこういった異体字の多くは、正式の漢字としては認められていませんでした。しかし、最近では、異体字研究にもスポットがあたるようになり、正式の漢字として扱われることが多くなってきています。

このほか、日本で独自に作られた「国字」もあります。

というわけで、こういった異体字も1字としてカウントしていくとなると、少なくとも中国・韓国・日本のありとあらゆる漢字文献を精査せねばならず、現実的には不可能といえます。

そこで、漢字の総数というのは、まさに天文学的数字で、予測不能と言うしかありません。

つまり「英語で使われる単語はいくつあるのか」という問いと同じように、永遠に答えを定めることのできない問題です。

2.漢字がこれほど多くなった理由

(1)表意文字としての宿命

無限は大げさですが、漢字がこのようにたくさん作られてきたもっとも大きな理由は、漢字が現在に至るまで一貫して「表意文字」として使われてきたという事実にあります。

表意文字にはそれぞれの文字に固有の意味があります。そしてそのことを逆に言えば、それぞれの文字はある特定の事物や概念を表すために作られたということになります。

この事物とか概念というものは、人間が暮らしている環境においてはいわば無限に存在すると考えられます。

事物や概念は、文字のない時代には口頭の音声によって表現されていましたが、時代が進んでそれを文字で表記するようになってきました。

その時にアルファベットや日本の仮名のような表音文字を使っていれば、たかだか数十種類の文字の組みあわせによって,事物や概念を表すことができます。

しかし漢字は表意文字ですから、それぞれの事物や概念を指し示すために個別の文字を作るしか方法がありませんでした。公園でポッポッポと鳴いている鳥を表すために「鳩」という漢字を作り、コケコッコと鳴く鳥を表すために「鶏」という漢字を作り、大空を雄々しく舞う鳥を表すために「鷲」という漢字が作られました。

アルファベットや仮名にくらべて漢字の数が格段に多くなったのは、表意文字としての宿命だったのです。

(2)漢字の使用年数の長さ

それに加えて、漢字には悠久の歴史があります。漢字の字数が増加した理由の二つ目は、その使用年数の長さにあるといえるでしょう。

漢字は商(いん)時代の甲骨文字から数えても、現在までに3,000年以上の歴史を有しており、この絶え間ないない文化の発展がありました。社会には新しい物や概念がどんどんと登場し、それに応じて、さらに多くの漢字が新たに作られるようになったのです。

(3)漢字の使用地域の広さ

そしてその文字はさらに近隣の諸国にも伝播して、それぞれの国で言語表記に使われました。その時、本来の漢字では表現できない物についてはそれぞれの国で新しい漢字が作られました

古くから「地大物博」(大地は広く,物産は豊富である)という言葉で形容される中国ですが、海産物に関してはいささか貧弱であって、漢字のふるさとである黄河流域に暮らした古代の中国人は、おそらく「イワシ」という魚を見たことがありませんでした。

黄河にはコイとかフナという魚がいるので、「鯉」とか「鮒」という漢字が中国で作られました。しかし黄河には「イワシ」も「タイ」も「ブリ」も「マグロ」もいませんので、中国人がそんな見たこともない魚を表す漢字を作るはずがありません。

それに対して四方を海に囲まれた日本では、生活物資の多くを海から得てきました。なかでも魚類は種類が非常に多く、そこには古代中国の食生活に登場しないものも多く、結果としてその魚を表す漢字が存在しませんでした。

そこで「鰯」「鯛」「鰤」「鮪」などの「国字」が作られたのです。

3.史記と司馬遷

「史記」は約526,500字で書かれているそうです。「史記」の末尾に次のような一文があります。

凡(およ)そ百三十篇、五十二萬六千五百字、太史公書と為(な)す。

序略して以て遺を拾い蓺を補い、一家の言を成す。厥れ六経の異伝を協せ、百家の雑語を整斉す。之を名山に蔵し、副は京師に在りて、後世の聖人君子を俟つ。第七十とす。太史公曰く、余、黄帝より以来太初に至るまでを述歴して、百三十篇に訖(おわ)る。

もちろん、重複する漢字もたくさんあるので、使用された漢字はそれより少ないはずですが、それにしても膨大な文字数です。

(1)史記とは

「史記」は、中国前漢の武帝の時代に、司馬遷によって編纂された中国の歴史書です。二十四史の一つで、正史の第一に数えられています。

著者自身が名付けた書名は「太史公書(たいしこうしょ)ですが、後世に「史記」と呼ばれるようになるとこれが一般的な書名とされるようになりました。

二十四史の中でも「漢書」と並んで最高の評価(史漢)を得ており、単に歴史的価値だけではなく文学的価値も高く評価されています。

日本でも古くから読まれており、元号の出典として12回採用されています。

(2)司馬遷とは

司馬遷(しば せん)(B.C.145/135年~B.C.87/86年?)は、中国前漢時代の歴史家で、「史記」の著者です。

姓は司馬。名は遷、字は子長。周代の記録係である司馬氏の子孫で、父は太史令の司馬談です。太初暦の制定や、通史「史記」の執筆などの業績があります。

4.「学習指導要領」による漢字や「常用漢字」「当用漢字」

(1)「学習指導要領」による漢字

小学校で学習する漢字は、「学習指導要領」によって1,026字と決まっています。

中学校で学習する漢字は、「学習指導要領」によって1,110字と決まっています。

(2)「常用漢字」

日常生活における漢字使用の目安とされる「常用漢字」は2,136字あります。

「常用漢字以外の漢字」は「表外漢字」または「常用外漢字」と言います。

なお、日本の戸籍で子供の名付けに使用できる漢字は、全部で2,999字です。

内訳は「常用漢字」が2,136字、「表外漢字」が863字です。

(3)「当用漢字」

現在使われている「常用漢字」の前に「当用漢字」というものがありました。

当用漢字」は、戦後の日本で占領政策を実施したGHQ(連合国軍総司令部)が、「漢字が多いから覚えるのが困難で識字率が上がらず、民主化が進まない」(ただしこれはGHQの完全な認識不足で、日本の識字率は「日本では乞食でも新聞を読む」と言われるほど高かったのが現実)、「日本語ではなく、アルファベットやローマ字を学習すべきだ」などとして、将来的には漢字を無くす方向で「漢字が廃止されるまでの間、当面の間用いる漢字」ということで、漢字使用の制限を目的として日常使用する漢字の範囲を定め、1946年11月に制定されました。

この「漢字使用の制限」は、「当用漢字以外の漢字を使ってはいけないという厳しいもので、この時「当用漢字表」に掲載された漢字は1,850字でした。

しかし、1948年に行われた「日本人の読み書き能力調査」という日本初の全国調査で、「日本人の識字率は非常に高く、漢字の多さ、学習の困難などは無関係であることが証明され制限が廃止されました

5.「日本漢字能力検定」の対象となる漢字数

検定級ごとのレベルと対象漢字数は次の通りです。

・1級:大学・一般程度、対象漢字数 約6,000字

・準1級:大学・一般程度、対象漢字数 約3,000字

・2級:高校卒業・大学・一般程度、対象漢字数 2,136字

・準2級:高校在学程度、対象漢字数 1,951字

・3級:中学校卒業程度、対象漢字数 1,623字

・4級:中学校在学程度、対象漢字数 1,339字

・5級:小学校6年生修了程度、対象漢字数 1,026字

(6級~10級は省略)



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