日本語の面白い語源・由来(その10)反りが合わない、目溢し、強ちなど

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そりが合わない

1.反りが合わない(そりがあわない)

「反りが合わない」とは、「互いの考えや性格が違うため、気心が合わなかったり、うまくやって行けないこと」です。

「反り」は、「刀の峰の反っている部分」のことです。「反り」が「鞘(さや)」の曲がり具合に合わないと、刀を鞘に納めることが出来ません。

刀の反り

これが人間関係に当てはめられ、気心が合わない意味となりました。このように「反りが合わない人」とは「戦略的互恵関係」で行くしかありませんね。

なお、逆に「気心が合う」場合は「反りが合う」と言います。

2.目溢し(めこぼし)

「目溢し」とは、「咎(とが)めるはずのことを、わざと見逃すこと。大目に見ること」です。「不正を目溢しするわけにはいかない」「お目溢しを願い出る」などと使います。

「目溢れ」も同じ意味です。

「目からこぼす」ということで、「目の中に入れないようにする」「気付かないふりをして許す」という意味になります。

3.強ち(あながち)

「あな」は「おのれ(己)」の意で、「己勝ち」が語源です。

(1)副詞(後に打消しの語を伴って)

①(断定し切れない気持ち)必ずしも。一概に。「強ち嘘とは言い切れない」などと使う

②(強い否定の意)決して。「範頼、義経が申し状、強ち御許容あるべからず」(平家物語)

(2)形容動詞

①強引なさま。無理やり。「父大臣(おとど)の強ちにしはべりしことなれば」(大鏡)

②一途なさま。ひたむき。「などかく、この御学問の強ちならん」(源氏物語)

③身勝手なさま。わがまま。「おろかに過ぎにし方さへくやしうおぼさるるも強ちなり(和泉式部日記)

4.はったり

「はったり」とは、「わずかなことを大袈裟(おおげさ)に言ったり、ありもしない物事をあるように見せたりして他人を圧倒しようとすること。またそういう言動」のことです。

語源には諸説あります。

①賭場で客に勝負を促す「張ったり張ったり」(さあ、張った張った)という掛け声からとする説

②「張る」は殴る意で、殴って脅すことから、脅かしやゆすりのことを「張ったり」と言い、そこから転じたとする説

歴史上の有名な人物で「はったり」で有名なのは勝海舟です。彼自身、自分のことを「大ほら吹き」と公言しています。

白洲次郎も「はったりをかます」ところがあったようです。

ほら吹き男爵」として有名なミュンヒハウゼン男爵も「はったり」を得意とした人物です。

5.感ける(かまける)

「かまける」とは、「あることに気を取られて、他のことをなおざりにすること」で、「遊びにかまけて勉強がおろそかになる」などと使います。

古くは「かまく」と言って、「心を惹かれる。感心する。共感する」という意味もあり、「はしきやし翁の歌におほほしき九(ここの)の児らやかまけて居らむ」(万葉集)のように使われています。

語源については諸説あります。

①「気負(けまく)」が転じて「かまける」になったとする説

②「他事をやめて」という意味の「まける」から転じたとする説

③「あることに心を奪われる」という意味の「懸任(かかりまける)」から転じたとする説

6.馳走(ご馳走)

「馳走(ちそう)(ご馳走)」とは、贅沢な食事、食事をもてなすことです。

ご馳走の「馳走」は、本来「馬を走らせること」「走り回ること」「奔走すること」を意味します。
昔は、客の食事を用意するために馬を走らせ、食材を集めたことから「馳走」が用いられました。
走り回って用意するところから意味が転じ、もてなしの意味が含まれるようになりました。

さらに、走り回って集められた食材を使った料理や、もてなしに用意される食事から、ごちそうは贅沢な食事も意味するようになりました。

7.茶番(ちゃばん)

「茶番」とは、底が見え透いていて、ばかばかしい振る舞いのことです。「茶番劇」とも言います。

江戸時代に、余興に歌舞伎のパロディとして、おもしろおかしく演じた素人の寸劇を「狂言茶番」、略して「茶番」といっていたことに由来します。

そもそもは、「茶番」は楽屋で茶をくむ係の人のことです。茶番に当たった大部屋の役者が余興にやったことから広まったとされます。

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