前に「意外と知らない物の名前や現象の名前」「同(その2)」「同(その3)」の記事を書きましたが、まだまだ面白い例がありますので(その4)としてご紹介します。
1.酒林(さかばやし/さけばやし)
酒屋の看板として、杉の葉を球形に束ねて軒先につるしたものを「酒林」と言います。「酒箒(さかぼうき)」「酒旗(さかばた)」「杉玉(すぎたま/すぎだま)」とも言います。
江戸時代の末ごろまで一般にみられた風習で、今日でも一部の酒造家の間には残っています。
新酒が出来たことを知らせるために吊るし、青々とした酒林がやがて枯れて茶色がかってくると新酒が熟成された目印となります。
2.モンキーポッド
日立のCMで「♪この~木、なんの木」と歌われている樹木の種類は「モンキーポッド」と言い、熱帯アメリカ原産のマメ科ネムノキ亜科ネムノキ属の常緑高木です。「レインツリー」「アメリカネムノキ」とも呼ばれます。
ハワイ・オアフ島のモアナルア・ガーデンにある大樹が日立グループのTVCMの題材に永く取り上げられており、別名「日立の樹(この木なんの木)」として知られています。
3.イヤーワーム現象
歌または音楽の一部分が心の中で強迫的に反復される、俗にいう「音楽が頭にこびりついて離れない」現象が「イヤーワーム現象」です。
「あの曲がずっと頭の中でリフレインしている」という感じです。
「イヤーワーム現象」が起こる原因は、「不安を感じやすいこと」「音楽に触れる回数が多いこと」「頭の回転が速いこと」などがあるそうです。
村上春樹の小説「ノルウェイの森」でも、飛行機のBGMで聴いたビートルズのこの曲が主人公の頭の中でリフレインする様子が描かれていたように記憶しています。
ちなみに「ノルウェーの森(Norwegian Wood)」は、1965年12月3日に発売されたオリジナル・アルバム『ラバー・ソウル』の収録曲として発売されたビートルズの曲です。
4.ウィンザー効果
第三者の言葉を信じやすくなる心理現象で、「口コミ効果」ともいわれる効果を「ウィンザー効果」と言います。
例として、「あの人があなたのことを、『いい人だね』って言っていたよ」とか、直接本人から聞くよりも他の人から聞いた方が効果があることを「ウィンザー効果」と言います。
この方法を使うと、本当に自分がいい人に思われてくるので、直接ほめるより効果があります。「第三者からの評価」を上手に生かしたマーケティング実践法でもあります。
アメリカの女性作家アーリーン・ロマノネスによる1990年の自伝的スパイ・ノンフィクション「伯爵夫人はスパイ」という作品の中で、登場人物のウィンザー伯爵夫人がいった「第三者の褒め言葉は、いつも一番効果的」という台詞が「ウィンザー効果」の由来です。
5.カクテルパーティー効果
カクテルパーティーのように、「たくさんの人がそれぞれに雑談しているなかでも、自分が興味のある人の会話、自分の名前などは、自然と聞き取ることができること」を「カクテルパーティー効果」と言います。
例として大会場でいろんな人が話している時に、自分の気になる事や話していることを聞き取れてしまう効果です。
「カクテルパーティー効果( cocktail-party effect )は、 音声 の選択的聴取 (selective listening to speech) のことで、選択的注意 (selective attention) の代表例です。
これは誰しも経験のあることですね。普段は耳が遠くてなかなか話が通じない老人が、自分の悪口を言われると不思議と聞こえてすぐ反応するケースなどがこれです。
6.コンコルド効果
「ある対象への金銭的・精神的・時間的投資をしつづけることが損失につながるとわかっているにもかかわらず、それまでの投資を惜しみ、投資がやめられない状態」を「コンコルド効果(Concorde effect)」と言います。
超音速旅客機コンコルドの商業的失敗を由来としています。
「コンコルド効果」は、「埋没費用効果 (sunk cost effect)」の別名で、コンコルドの誤謬(コンコルドのごびゅう、Concorde fallacy)、コンコルドの誤り、コンコルドの誤信、コンコルド錯誤とも言います。
7.ロミオとジュリエット効果
主に恋愛などにおいて、障害があった方が逆にその障害を乗り越えて目的を達成しようとする気持ちが高まる心理現象を「ロミオとジュリエット効果」と言います。
ウィリアム・シェイクスピアの戯曲「ロミオとジュリエット」にちなんで命名されました。
8.単純接触効果
特に意識していなくても繰り返し接すると好意度や印象が高まるという効果を「単純接触効果」と言います。
初めのうちは興味がなかったり、苦手だったりしたものも、何度も見たり、聞いたりすると、次第に良い感情が起こるようになってくる、という効果です。
たとえば、よく会う人や何度も聞いている音楽は、好きになっていくようなことです。
1968年、アメリカの心理学者ロバート・ザイアンスが論文 Zajonc (1968年) にまとめ、知られるようになりました。「ザイアンスの単純接触効果」「ザイアンスの法則」とも呼ばれ、対人関係については、「熟知性の原則」と呼ばれます。
9.ストループ効果
文字意味と文字色のように「同時に目にするふたつの情報が干渉しあう現象」(同時に提供される二つの情報が干渉しあって、理解を妨げたり困難にする現象)を「ストループ効果」と言います。
あか あお きいろ みどり
例えば、色名を答える質問を行った場合、赤インクで書かれた「あか」の色名を答える場合より、青インクで書かれた「あか」の色名(『あお』)を答える方が時間がかかることを言います。
「ストループ効果(ストループ干渉)(Stroop Effect)」は、1935年にアメリカの心理学者のジョン・リドリー・ストループ(1897年~1973年)によって報告されました。
10.エメットの法則
「仕事を先延ばしにすることは、片付けることよりも倍の時間とエネルギーを要する」という経営コンサルタントのリタ・エメットの提示した法則が「エメットの法則」です。
エメットは著書『The Procrastinator’s Handbook: Mastering the Art of Doing It Now』日本語版=『いま、やろうと思っていたのに…』(2001年光文社刊)でこの法則を説き、愚図な人間に警鐘を鳴らしています。
第一の法則:タスク(仕事)への不安は、タスク実行より多くの時間とエネルギーを消耗する
第二の法則:完璧主義こそが、先延ばし癖の原因
11.パイロン
工事現場でよく見かける「コーン」のことを「パイロン」と言います。
「パイロン」( Pylon)は、 塔・柱・支柱という意味です。
道路や工事現場などの規制や区分けを目的として置かれる円錐形の樹脂製品の、主に警察や放送・広告・イベント・スポーツ関係者による通称です。
工事や警備関係者には商標名の「カラーコーン」の名で呼ばれることが多いようです。ロードコーン(Road cones)、セーフティーコーン、略して単にコーンとも言います。
色は赤が多いですが、黄や青、緑、白など様々な色が見うけられ、LEDにより発光する機能が内蔵された物もあります。
12.梵天(ぼんてん)
耳かきの後ろの綿毛のようなものは「梵天」と言います。アヒルなどの羽根でできています。
なお、山伏の装束である「鈴懸」(山伏が胸に装着する「結袈裟(ゆいげさ)」)につける球形の房も「梵天」と言います。
13.ランチャーム
お弁当に付いている、醤油やソースなどが入った小さな容器のことを「ランチャーム」と言います。「ランチ(昼食)」と「チャーム(魅力)」を組み合わせた造語です。「たれびん」とも呼ばれます。もともとはガラスや陶器製でしたが、現在ではポリエチレン製がほとんどです。
14.ラムスデン現象
牛乳を温めたときに膜ができる現象のことを「ラムスデン現象」と言います。1903年にイギリスの科学者であるウォルター・ラムスデンが発見したことからこの名前がつけられました。
ちなみにあの「膜」を捨ててしまう人も多いと思いますが、栄養価があるので食べてOKです。なお、かき混ぜながら温めるとできにくいと言われています。
15.目打(めうち)
「目打」とは、「切手シート」(上の画像)のようにつながっている切手、印紙、収入証紙を切り離すのに便利なように、周囲に入れられる連続した小穴のことです。
同様に切り離しやすいように、紙や布に「ミシン目」や「切り取り線」のような点線状の印をつける加工をする道具にルレットがありますが、これは加工の際に紙屑が発生しない点が異なっています。
16.シバリング
シバリング(shivering)とは、体温が下がった時に筋肉を動かすことで熱を発生させ、体温を保とうとする生理現象です。「体が震えたり、寒い時に口ががたがた震えたりする。身震いする」という意味の英語です。