「掛軸」を季節ごとに掛け替えることで「季節感」を感じる

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円相図

私が子供の頃に暮らした明治20年代に建てられた古い家には「掛軸」が何幅もありました。

普段掛けてある「日常掛」は「松鶴図」でした。

今回は、我が家に古くからある掛軸のほか、私が古い家を取り壊して自宅を新築したのを契機に購入した掛軸のこともご紹介したいと思います。

1.掛軸とは

掛軸とは、「書や東洋画などを掛けて鑑賞できるように表装したもの」で、下端に装着した軸木に巻き付けて保管します。書画などの周囲に表装裂(きれ)や紙を配し、裏打ちを施して調整し補強した構造になっています。

一年中同じ掛け軸を掛けておく「年中掛け」もありますが、季節ごとにその時季にふさわしい掛け軸に掛け替えて、季節感を味わうのが掛け軸の楽しみ方としてはよいと私は思います。

(1)歴史

掛軸は古代中国を起源としており、「掛けて拝する」という礼拝用の意味合いが強く、仏教の仏画として普及が始まったようです。

日本へは平安時代に、仏教崇拝のための「仏画」として伝えられました。鎌倉時代になると禅宗に影響による水墨画の流行で、掛軸も流行しました。このころから、花鳥風月の水墨画のように独立した芸術作品としての性格も持つようになります。

室町時代には「書院造り」という現代日本の住居の原型となる建築様式が広まり、「床の間」に掛軸を飾るスタイルが定着しました。

また室町時代には「茶の湯」の文化が人気となり、床の間にも水墨画の掛け軸が多くなります。千利休が掛け軸の重要性を説いたことで、掛軸が爆発的に流行するようになります。

(2)種類

日常掛・季節掛・慶事掛・仏事掛・節句掛などの種類があります。

(3)図柄

四季花鳥画・龍虎図・富士山・四君子(梅竹蘭菊)・松竹梅・季節の花・山水画・旭日旭波・武者・雛・鶴・高砂・蓬莱山・魚(鮎・鯉など)・果物(柿・栗・桃など)・神仏画などの種類があります。

2.古くから家にある掛軸

松鶴図、旭日旭波、菅原道真公のほかに、中国の深山幽谷を前に岩頭に佇む仙人を描いた彩色山水画の大きな掛け軸がありました。

3.家を新築して買った掛軸

双鶴図、土筆画、一行書(青松多寿色)、鮎図、喫茶去、円相などの掛け軸を買い求めました。

双鶴図は、正月に掛けます。旧来の伝統的な鶴の図ではなく現代的なもので、気に入りました。

土筆画は、早春に掛けるもので京都の骨董店で求めました。土筆の絵の上に元大徳寺の高僧による「野火不焼尽 春風吹又生」という画賛が添えられています。

これは白居易(772年~846年)の「古原草(こげんそう)を賦し得て別を送る」という漢詩から取った文章です。

原文は『離離原上草 一歳一枯榮 野火焼不盡 春風吹又生』という「五言律詩」です。

読み下し文は『離離(りり)たり原上(げんじょう)の草 一歳(いっさい)一(ひと)たび枯栄(こえい)す 野火(やか)焼けども尽きず 春風(しゅんぷう)吹いて又生(しょう)ず』

入矢義高監修/古賀英彦編著の「禅語辞典」によれば、『・・・野火が焼いても根絶やしにはできず、春風が吹くと又萌え出でる、そのような雑草の根強さを煩悩妄想のきりのなさに喩える』とあります。

一行書(青松多寿色)は春に掛けます。これは孟郊の「西上経霊宝観」の次の漢詩に由来します。

『道士無白髪 語音霊泉清 靑松多壽色 白石恒夜明 放歩霽霞起 振衣華風生 真文秘中頂 寶氣浮四楹 一片古關路 萬里今人行 上仙不可見 驅策徒西征』

鮎図は夏に掛ける もので、渓流に跳ねる鮎が涼しさを感じさせます。

喫茶去は秋に掛けるものです。これは「五灯会元(ごとうえげん)」という書物にある趙州従諗禅師の言葉に由来します。ここでは読み下し文だけご紹介します。

『師、新到(しんとう)に問う。曾(かつ)て此間(すかん)に到るや。 曰く、曾て至る。師曰く、喫茶去。又僧に問う。僧曰く、曾て至らず。師曰く、喫茶去。後、院主、問うて曰く 何としてか、曾て至るにもまた喫茶去と云い、曾て至らざるにもまた喫茶去と云いし。師、院主と召す。主、応諾す。師曰く、喫茶去。』

入矢義高監修/古賀英彦編著『禅語辞典』には、「茶を飲んでこい。お茶を飲みに行け。茶堂(茶寮)へ行って茶を飲んでから出直してこいという意。『まあ、お茶を一杯お上がり』(且坐喫茶)という意ではない」とあります。

円相図は12月に掛けます。円相は禅における書画の一つで、図形の丸(円形)を一筆で描いたものです。


茶道具 書掛軸 横物「円相」足立泰道和尚 直筆

悟りや真理、仏性、宇宙全体などを円形で象徴的に表現したものとされています。「円窓」と書いて、「己の心を映す窓」という意味で用いられることもあります。

私はこの円相図がなかなか面白い「深く考えさせる掛軸」だと思っています。


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