「メスメリズム」とは?麻酔術確立前の痛み緩和の「催眠術」。

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メスメリズム

1.催眠術ブーム

一時テレビのバラエティー番組で、「催眠術」を芸能人に実際にかけるという趣向が流行しました。

私が特に印象に残っているのは山口美江さんで、「あなたはお猿さんです」という催眠術の暗示にかけられて、猿のような格好をしてスタジオ内を歩き回ったのには唖然としました。

山口美江

これは若い女性タレントにとっては恥ずかしい姿なので。テレビ番組のためにわざとかかった振りをしているようにも見えませんでした。

理知的な女性タレントという印象があったので、これほど暗示にかかりやすい人だったのかと驚きました。

2.メスメリズムとメスメル

(1)メスメリズムとは

「メスメリズム(mesmerism)」とは、「19世紀後半に麻酔術が確立される前の時代の、外科手術の痛みを緩和するための一種の催眠術」のことです。

坪内逍遥の「内地雑居未来之夢」(1886年)にも「あのおみやは『ビゲー』とやらの為に・・・『メスメリズム』(魔酔術)で」という記述があります。

「メスメリズム」の名前の由来となったのは、メスメルというドイツの医師で、「動物磁気」と呼ばれるものを提唱しました。

彼は動物磁気なるものを体内でコントロールする治療法と称していましたが、実際のところは「暗示」や「催眠」のたぐいでした。

しかし実際に患者の痛みを和らげる力があったため、麻酔が誕生するまでは麻酔代わりに使われていました。

ちなみに「催眠をかける」「魅惑する」などの意味を持つ英単語「mesmerize」の語源は、この「メスメリズム(mesmerism)」です。

(2)メスメルとは

メスメル

オーストリアのウィーンで開業医をしていたフランツ・アントン・メスメル(1734年~1815年)は、1774年にヒステリー発作のある女性患者に鉄を含んだ調合剤を飲ませて「人工的な干満」を生じさせ、それから患者の体のあちこちに磁石を付けるという治療を行いました。

彼はニュートンの「潮の干満理論」の影響で、人体の中にも潮の干満があり、その原因は太陽や月の運動に違いないと解説しました。

この治療によって、患者は体中に流れる不思議な液体の流れを感じたと言い、数時間で病状から解放されたとのことです。

彼は生命現象を司る物理的流体が宇宙に存在すると考え、これを「動物磁気」と名付けました。そして動物磁気を操作することで患者の病気を治せると主張しました。

彼は磁石を使わない動物磁気を使った治療法を考案しました。その治療法とは、手のひらを間者の体にかざし、接触することなく撫でることで動物磁気を与えます。動物磁気を与えられた患者は分利と呼ばれる痙攣を起こし、この痙攣を除去することで病気が治ったとされています。

彼によれば、動物磁気は万物の間に充満していて、運動作用を伝えたり神経を介して動物に影響を与えたりする力であり、既存の物理とは異なる力だということです。つまり動物磁気は心理的なものではなく、物理的に検出できる力であると主張しました。

(3)その後の「メスメリズム」

メスメルが考案した動物磁気を扱う治療法は、「メスメリズム」と名付けられ、オーストリアだけでなくドイツやイギリスなどに伝わって行きました。

1784年にはフランス国王ルイ16世からの命令で、フランスに二つのメスメリズム調査委員会が設立され、メスメリズムについての調査が行われましたが、委員会は「メスメル氏が考案した動物磁気は物理学的に検出できないゆえに存在しない」と結論付けました。

その後は各国で下火になりながらもメスメリズムの研究は続けられました。

そして彼の「動物磁気」の概念と実践の発展が、1842年のジェイムズ・ブレイド(1795年~1860年)による催眠術の開発をもたらしました。ブレイドはイギリスの外科医で催眠療法の研究者です。

ブレイドはメスメリズムに興味を持ち、「メスメリズムによる催眠状態は動物磁気ではなく、心理・生理学的な現象によって引き起こされるとし、迷信的なものではない」とする論文を発表しました。

ブレイドは後に、メスメリズムに代えて「神経催眠」という言葉を生み出し、「凝視法」という催眠導入法を考案しました。

3.催眠術

メスメリズム振り子

(1)催眠術とは

「意識が朦朧として暗示にかかりやすい状態」は「催眠」と呼ばれており、この状態に導く技術が「催眠術」です。

麻酔術が確立される前の時代に、外科手術の痛みを緩和するための一種の催眠術として用いられた「メスメリズム」は、偽薬の「プラセボ」と同様の「心理的な暗示療法」です。

(2)催眠商法

催眠術的な手法を用いて消費者の購買意欲を煽り、本来は必要でもない商品を買わせる詐欺的な商法が「催眠商法」です。

(3)集団催眠

多くの人が催眠術にかかってしまうのが「集団催眠」ですが、これは集団心理を利用したもので、一人に催眠術をかけるよりも簡単だとも言われます。

「洗脳」というのも集団催眠の一つと言えます。

「原爆」を「平和」にすり替えたGHQの「WGIP」という「日本人洗脳プログラム」がありますが、これなども戦後の日本人を集団催眠に陥れたもので、いまだにその名残りが今の「日本の政治」や「日本社会の風潮」に影を落としているように私は感じます。



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