「言づけ(言付け)」と「言づて(言伝)」の違いとは?

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言付け

日常よく使う似たような言葉に「ことづけ(言づけ/言付け)」と「ことづて(言づて/言伝)」がありますが、違いは何でしょうか?

1.「ことづけ(言づけ/言付け)」とは

(1)第三者への単なる伝言

「ことづけ(言付け)」の意味の1つ目は、第三者への単なる伝言です。

ことづけという言葉は、その一つの言葉で微妙にニュアンスが違う意味合いを表します。そのため、状況に応じてどのような意味を表しているのか汲み取る必要があります。たった一語でこういう細かいニュアンスの使い分けるのは、日本語ならではのものと言えます。

ことづけで多いのは「ありがとう」という感謝の気持ちを伝言で伝えることです。

(2)第三者への依頼を含めた伝言

「ことづけ(言付け)」の意味の2つ目は、第三者への依頼を含めた伝言です。ことづけという言葉は、相手に対して単に伝言を頼むだけではなく、ことづけの内容を聞いてほしい第三者に対して、間接的に依頼をするニュアンスも含まれる場合があります。

1つ目の意味と2つ目の意味の使い分けは、文脈から読み取る必要があります。

ビジネスにおいては基本的にこの意味合いで使われることが多くなります。例えば「メールへの返信をいただきますようおことづけいただけますか」という表現は第三者への依頼を含めた伝言であり、基本的に聞いた相手は返信をしなければなりません。

なお、「ことづけ(言付け)」には、「託ける(ことづける)」と記す動詞表現もあります。この表現は相手に対してことづけを頼む意味合いになり、ことづけという言葉も「託」という一文字で表すこともできます。

2.「ことづて(言づて/言伝)」とは

一方、「ことづて(言伝)」は、「第三者への単純な伝言」を意味します。

「伝えたい内容を第三者に取り次いでもらうこと」で、「伝言」と言い換えることもできます。ただ取次ぎするだけで、お願いできる内容は「言葉」だけです。

「ことづて」は「ことづけ」と同じ意味合いで使われることもあり、2つの言葉が同じ意味合いで使われているシーンも少なくありません。しかしながら本来は違いの使い分けが必要な表現であり、それぞれ違った意味を表す表現になります。

ことづてという言葉は、単なる伝言を表すにとどまるため、ビジネスにおいては使い勝手がいい言葉とは言えません。そしてビジネスにおいて相手の手間になるにも関わらず何か伝言を頼むのには意味や重要性があります。そのため、相手に対して気持ちやニュアンスも含めて伝えることづけという言葉を選んだ方がいいと言えます。

ことづけとことづての違いの2つ目は、ことづては依頼を表現しない点です。ことづけは、何か依頼や要望を相手に対して伝えることを含んでいますが、ことづては単なる伝言の意味しかありません。そのため、ことづてという言葉を使いつつ相手に対しての依頼や要望の伝言をお願いすると、間違った使い方に該当してしまいます。

しかしながら、逆に単なる伝言をお願いするにとどめたいことを強調する場合にはことづてという表現が適しています。特に言ったことをそのまま伝えて欲しいというニュアンスを言い表す場合にはことづけよりもことづての方が適しています。

状況によって、ことづけとことづての違いをうまく使い分けるようにする必要があります。

なお、「ことづて(言伝)」には、「それを実際に見たのではなく、人から聞いた話のこと」という意味もあります。よく「人伝てに聞く」という言葉があります。これも「ことづて(言伝)」と同じ意味になります。「人伝て」は「ひとづて」と読みます。

実際にその事柄を当人から聞いたわけでもなく、実際に現場を目撃したわけでもなく、他人の口から聞いた話という意味です。よく「また聞きの話なので、確かではないけれど」という話をすることがあるでしょう。「ことづて(言伝)」にはこの「また聞き」(伝聞)の意味もあります。

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