「白」という漢字の由来は?99歳のことを「白寿」と呼ぶ理由も紹介

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白・漢字の由来

「白」と言えば、「純白」「白紙」「告白」「自白」「白骨」「白日」など、さまざまな熟語に登場しますね。

では、「白」という漢字の意味はどういうもので、漢字の由来はどうなっているのでしょうか?

1.「白」という漢字の成り立ち

象形文字です

「頭の白い骨(頭蓋骨)とも、日光とも、どんぐりの実」とも言われる象形から、「しろい」を意味する「白」という漢字が成り立ちました。

古代人はどんぐりを食糧(主食)としていたことから、「どんぐりの実」の象形と言う説が一番説得力があるように私は思います。

※我々がよく見るどんぐりの皮の色は「茶色」ですが、皮をむくと実は「白っぽい色」をしてます。(下の画像)

団栗の白い実

2.「白」という漢字の読みと意味

(1)読み

①音読み:ハク、ビャク

②訓読み:しろ、しら、しろ(い)、あき(らか)、もう(す)、せりふ、つくも

(2)意味

①白(反意語:黒)

(ア)雪や塩のような色、光を反射した時に明るく感じられる色のこと。(例:白い靴。白衣)

(イ)「ア」の色の碁石。また、それを持つ方(後手)(例:白の三目勝ち)

(ウ)「紅白試合」などで、「ア」の色を印にする側(例:今年は白の勝ち)

(エ)何も書き入れていないこと。また、そこに何も印刷していないこと(例:白い紙。白紙)

(オ)犯罪の事実がないものと認められること。また、その人(状況から見て彼は白だ)

(カ)豚の腸を串刺しにしたもので、焼き鳥の一種。白モツ

②清い。濁りや汚れがない(例:潔白)

③正しい

④賢い。優れている(例:白帝)

⑤飾らない(ありのまま)

⑥しらむ(①(ア)の色になる、明るくなる)

⑦しらげる(玄米をついて白米にする)。①(ア)の色にする(例:精白)

⑧明らか。明らかにする(例:明白)

⑨明るい(例:白昼)

⑩申す。申し上げる(例:敬白、建白)

⑪語る。ありのままを言う。告げる(例:独白、白状、告白)

⑫せりふ。芝居等のせりふ(例:科白)

⑬官位のないこと。身分の低い者(例:白丁)

⑭つくも(九十九)。99歳(百の字から一を除いた形が白になることから)(例:白寿

⑮杯(さかずき:酒を飲むために使用する容器)(例:大白)

⑯国名、白耳義(ベルギー)の略

3.「白」を含む言葉

(1)面白い(おもしろい)

古語では「面白し」ですが、現代の「面白い」とほぼ同じ意味で使われていました。語源については、次の説が有力です。

「面」は目の前を意味し、「白い」は明るくはっきりしていることを意味します。そこから、目の前が明るくなった状態を指すようになり、目の前にある景色の美しさを指すようになります。

さらに転じて、「楽しい」や「心地よい」などの意味を持つようになり、明るい感情を表す言葉として広義に使われるようになったということです。

「昔、火を囲んで話をしていたところ、面白い話になると皆が一斉に顔を上げ、火に照らされた顔が白く浮かび上がったところから」という説もありますが、これは「面」と「白い」から作られた後世の俗説です。

(2)鼻白む(はなじろむ)

①気後れした顔つきをする。

②興ざめがする。

(3)白骨(はっこつ/はくこつ)

風雨にさらされて、白くなった骨。

(4)白日(はくじつ)

①照り輝く太陽。

②真昼。白昼。

③身が潔白であることのたとえ。

(5)科白(かはく/せりふ)

「科」は役者の動作や表情といった仕種(しぐさ)を、「白」は告白や白状のように話すという意味を持っています。つまり科白とは、「役者の劇中の動きと言葉(セリフ)」のことをいいます。

ただし、「かはく」と読む場合には仕種が含まれますが、「せりふ」と読む場合は単にセリフ(台詞)のみを指します。読み方によって少し異なる意味になる点には注意が必要です。

余談ですが、セリフは能や狂言の世界から生まれた言葉で、語源は「競り言う」だと言われています。競り言うとは、「競り合うように言い合う」ことで、古くは「せれふ」「せるふ」とも言われていたそうです。

江戸時代になって歌舞伎でも使われるようになり、一般に広まったと見られています。明治時代になり、役者が劇中で言う言葉である「セリフ」と中国語の「科白」「台詞」とが結びつき、漢字を当てるようになったそうです。

(6)飛白(かすり/ひはく)

飛白(かすり)とは、和物の生地によく見かける、所々かすれたようになっている模様のことです。浴衣によく使われています。

なお、「ひはく」と読む場合は、漢字の書体の一つです。「飛帛」とも書きます。飛白書、飛白体とも言います。

刷毛状の独特の筆でかすれたように書くもので、後漢の蔡邕 (さいよう) が創始したと伝えられており、唐代にも盛んに行われました。

また時には飛白のなかに鳥獣などの姿を書くこともあります。日本へは空海によって伝えられました。

(7)敬白(けいはく)

敬意を持って申し上げること。文書や手紙などの終わりに添える言葉。

啓白(けいびゃく/けいはく)も同様の意味です。

(8)白湯(さゆ)

特に何も入れていない、水を温めただけのお湯。

(9)白拍子(しらびょうし)

平安時代末期から鎌倉時代にかけて起こった歌舞の一種。及びそれを演ずる芸人。主に男装の遊女や子供が今様や朗詠を歌いながら舞ったもの。

(10)白紙(はくし)

①白色の紙。しらかみ。

②書くべきところに、何も書いてない紙。(例:「答案を―で出す」)

③意見などを何ももたないこと。(例:「―で会議に臨む」)

④何もなかったもとの状態。(例:「話を―に戻す」「―撤回」)

⑤ 中国渡来の、白くて薄い紙。書画用。

余談ですが、「性白紙説(性無記説)」という面白い考え方があります。「性善説」「性悪説」に対する考え方で、「人の性には善も不善もない。そのため、文王や武王のような明君が現れると民は善を好むようになり、幽王や厲王のような暗君が現れると民は乱暴を好むようになる」「人の中で善悪が入り混じっている」「性が善である人もいれば、不善である人もいる」というものです。

性善説と性悪説と性無記説(性白紙説)の違いは何か?わかりやすくご紹介します」という記事に詳しく書いていますので、ご一読ください。

4.「白」を含む四字熟語

(1)烏白馬角(うはくばかく)

絶対にあるはずがないこと。
「烏白」は頭の色が白い烏、「馬角」は角の生えている馬のことで、そのような動物は存在しないということから。

(2)雲中白鶴(うんちゅうのはっかく)

世俗を超越した、心の清らかな人のたとえ。
白い雲の中にいる白い鶴のことで、心が清らかで、気高く立派な人物をたとえた言葉。

(3)堅白異同(けんぱくいどう)

辻褄の合わない無茶な論理を展開すること。詭弁。
中国の戦国時代の趙の公孫竜の詭弁のことで、堅くて白い石を見ると白いことはわかるが堅さは分からない、手で触って堅さを調べると色は分からないので、堅くて白い石は存在しないというもの。

「堅白同異(けんぱくどうい)」とも言います。

(4)月白風清(げっぱくふうせい)

静かで美しい秋の月の明るい夜の風情。
「月白」は白く美しく輝く月。
「風清」は涼しくさっぱりとした秋の風。
「月白く風清し」とも読みます。

(5)元軽白俗(げんけいはくぞく)

中国の中唐の詩風を批判した言葉。
「元」は元槇、「白」は白居易のことで、どちらも中唐の詩人のこと。
中国の北宋の詩人の蘇軾が批判して言った言葉で、元槇は軽薄で、白居易は卑俗であるという意味。

(6)紅口白牙(こうこうはくが)

美しい女性の容姿を言い表す言葉。
「白牙」は白い歯。
紅い唇と白い歯という意味から。

(7)黄白青銭(こうはくせいせん)

金銭のこと。
「黄」は金、金貨。
「白」は銀、銀貨。
「青」は青銅、銅貨。

(8)黄茅白葦(こうぼうはくい)

荒れ果てて痩せた土地のこと。
「茅」は植物のかやのこと。
「葦」は植物のあしのこと。
茅と葦は、どちらも荒れて痩せた土地でも生える植物で、茅と葦しか生えていなくて黄色や白に見えるという意味から。

(9)黒雲白雨(こくうんはくう)

空が黒い雲に覆われて、激しい雨が降ってくること。
「白雨」は一時的に降る激しい雨。

(10)黒白混淆(こくびゃくこんこう)

善いことと悪いことの区別をごっちゃにすること。
「黒白」は物事の是非や善悪のたとえ。
「混淆」は混ざり合っていること。
「黒白混交」とも書きます。

(11)黒白分明(こくびゃくぶんめい)

善いことと悪いことの区別をわかりやすくしていること。
「黒白」は物事の是非や善悪のたとえ。
「分明」は分かりやすく区別されていること。

(12)黒風白雨(こくふうはくう)

暴風雨のこと。
「黒風」はちりやほこりが巻き上がるほどの強い風のこと。
「白雨」は急に降ったり止んだり、強くなったり弱くなったりする雨、にわか雨のこと。

(13)白河夜船(しらかわよふね)

何も気がつかないほど、ぐっすり寝入っている様子のこと。
または、本当は知らないのに、知っているかのように振舞うこと。
「白河」は京都の地名。
京都に行ってきたと嘘をついた男が、「白河」はどうだったかと尋ねられたときに、男は白河を川の名前だと勘違いし「夜の船で、眠っている間に通り過ぎたからよくわからない」と答えたため、男の嘘がばれてしまったという故事から。
「白河」は「白川」、「夜船」は「夜舟」とも書きます。

(14)清浄潔白(しょうじょうけっぱく/せいじょうけっぱく)

行動や心が清らかで、うしろめたいことがないこと。
「清浄」は汚れがなく、清らかなこと。
「潔白」は清らかで後ろめたいことがないこと。

(15)蒼狗白衣(そうくはくい)

時世の変化が速いことのたとえ。
「蒼狗」は青い犬または黒い犬のこと。
空に浮かぶ雲は、犬に見えたかと思えば、すぐに白衣に見えるように、変化が速いという意味から。

「白衣蒼狗(はくいそうく)」とも言います。

(16)素車白馬(そしゃはくば)

葬式で使う馬車のこと。
「素車」は飾りつけをしていない白い木の馬車。
「白馬」は馬車を引く白い馬。
謝罪や降伏をするときに、死を覚悟しているという意志を示すためにこの馬車を使うこともありました。

(17)抽黄対白(ちゅうこうたいはく)

美しい文章を創作すること。または、美しい色をほどよく組み合せること。
「抽黄」は黄色を抜き出すこと。
「対白」は白に対比するということ。
四六駢儷文の創作についていう言葉。
「黄を抽きて白に対す」とも読みます。

(18)転倒黒白(てんとうこくびゃく)

事実を捻じ曲げること。
黒い色を白い色と言い、白い色を黒い色と言うということから。
「黒白を転倒す」とも読みます。

(19)二河白道(にがびゃくどう)

仏教での極楽往生へ至るための道のこと。
「二河」は怒りを示す火の河と貪欲を示す水の河のこと。
二つの河に挟まれた極楽の彼岸に到達する白い道のことで、両側から火と水が迫り、後ろからも追っ手が迫っている中で一心にその道を進むと、ついには極楽浄土へたどり着いたことから、煩悩にまみれた人でも念仏一筋につとめれば悟りの彼岸にいたることを説いたもの。

(20)白衣宰相(はくいのさいしょう)

地位を持っていないのに、大きな権力を持っている人。または、地位を持っていないのに、宰相のような待遇を受けること。
「白衣」は白い色の服のことで、官位にある人は、官位ごとの決まっている色の服を着たということから、官位のない人のこと。
「宰相」は政務を執る官位の最高位のこと。

(21)白衣三公(はくいのさんこう)

地位も権力も持たない者が出世して高官になること。
「白衣」は白い色の服のことで、官位にある人は、官位ごとの決まっている色の服を着たということから、官位のない人のこと。
「三公」は丞相、太尉、御史大夫という最高権力をもつ三つの官職のこと。
漢の公孫弘は、生まれは平民でしたが、出世して丞相になったという故事から。
「白衣より天子の三公となる」を略した言葉。

(22)白雲孤飛(はくうんこひ)

旅の途中で親を思うことのたとえ。
「孤」は一つだけあること。
空に一つだけ浮いている雲を見て、その雲の下にいるであろう親のことを思い浮かべて悲しむこと。

(23)白屋之士(はくおくのし)

役人になることなく、貧しい生活をしている学者や知識人のこと。
「白屋」は白い茅葺きの屋根の家ということから、普通の市民や貧しい家のこと。

(24)白眼青眼(はくがんせいがん)

相手によって応対を変えること。
中国の晋の賢者の阮籍は、気に入らない客には白い目をしてそっけなく扱い、気に入った客には青い目をして喜んで迎えたという故事から。

(25)白玉微瑕(はくぎょくのびか)

非常にすぐれた人や物に、わずかな欠点があること。
「白玉」は白い宝石。
「微瑕」は少しきずがあること。
白く美しい宝石に少しだけきずがあるという意味から。

(26)白玉楼成(はくぎょくろうせい)

文人の死をいう言葉。
「白玉楼」は天にあるとされる、白く美しい宝石で作られた楼閣のことで、文人の死後に行くとされている場所のこと。
中国の詩人の李賀のところに天からの使者が現れ、「天帝が白玉楼を作り、李賀を招いてその記を書かせることになった」と言われ、まもなく死んだという故事から。

「白玉楼中(はくぎょくろうちゅう)」とも言います。

(27)白虹貫日(はくこうかんじつ/はっこうかんじつ)

心が天に伝わること。
または、戦乱になって君主に危険が迫ることのたとえ。
白い虹が太陽を貫く現象をいい、この現象は願いが天に伝わったときや、戦乱によって危険な状況に陥る前兆として発生するとされています。
「白虹日を貫く」とも読みます。

(28)白砂青松(はくしゃせいしょう/はくさせいしょう)

海岸の美しい景色を言い表す言葉。
「白砂」は白い砂、「青松」は青々と生い茂った松の林のことで、主に日本の美しい海岸線のことをいう。
「白沙青松」とも書きます。

(29)白首一節(はくしゅいっせつ)

年老いても節操を守り通すこと。または、節操を堅く守ること。
「白首」は白髪頭のことから、老人のたとえ。
「一節」は最初から貫き通している節操ということ。
「白首まで一節なり」とも読みます。

(30)白手起家(はくしゅきか)

全く何も無い状態から事業を起こし、一代で繁栄させること。
「白手」は手に何も持っていないこと。
「起家」は家を栄えさせること。
「白手もて家を起こす」とも読みます。

(31)白首窮経(はくしゅきゅうけい)

歳をとって老いるまで学問に精を出すこと。
「白首」は白い頭という意味から、白髪頭のことで老人のたとえ。
「窮経」は儒教の基本経典とされる五経を研究すること。

(32)白首北面(はくしゅほくめん)

年老いても衰えることのない向上心を持ち続けること。
または、知識のないものは、年老いた人でも、幼い子どもでも教えを受けるべきであるということ。
「白首」は髪が白くなった頭という意味から、老人のこと。
「北面」は北を向いて座ることで、中国では地位の高い者は南を向いて座るという習慣から、師の指導を仰ぐことを言います。

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