「秋」を含むことわざ・慣用句・熟語

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一葉落ちて天下の秋を知る

1.一葉落ちて天下の秋を知る(いちようおちててんかのあきをしる)

他の木より早く落葉する青桐(あおぎり)の葉の一枚が落ちるのを見て、秋が来たのを知る意から、僅かな前兆・現象を見て、その大勢を予知することのたとえです。

2.秋高く馬肥ゆ

秋、大気が澄んで空が高く感じられる頃、馬もよく食べてたくましく太ることから、秋は心身ともに爽やかで気持ちの良い季節であるという意味です。

元来は、中国で北方騎馬民族の匈奴(きょうど)が、勢いを盛り返して襲来してくる時期が到来したことを言ったものです。

四字熟語で「秋高馬肥(しゅうこうばひ)」と言います。

3.秋茄子(あきなす)は嫁に食わすな

「嫁」を、姑(しゅうとめ)と仲が悪い嫁と解して、秋ナスは味が良いから嫁には食べさせるなという意味です。

このことわざは、上のように「姑の嫁いびり」の意に解するのが普通ですが、逆に姑が嫁の身を案じて、「秋ナスは体を冷やして毒だから」とか「秋ナスは種子が少ないから、子種が少なくなるのを嫌って」などの理由で、嫁に食わすなと解する説もあります。

「秋魳(あきかます)は嫁に食わすな」「秋鯖(あきさば)嫁に食わすな」「秋蕗(あきふき)嫁に食わすな」「秋鱮(あきたなご)嫁に食わすな」も同様の意味です。

4.秋の鹿は笛に寄る

秋になると雄鹿は、鹿笛の音を雌鹿の鳴き声と思って寄って来て、人に捕らえられることから、恋心に迷って自ら危険な状態に身を投じるたとえです。

「秋の鹿は笛に心を乱す」「妻恋う鹿は笛に寄る」「笛に寄る秋の鹿ははかなき契りに命を失う」「笛に寄る鹿は妻を恋う」とも言います。

5.秋の日は釣瓶(つるべ)落とし

水を汲(く)む時の釣瓶が落ちるように、秋の日脚(ひあし)が短くて急速に暮れることです。

6.秋葉山(あきばさん)から火事

防火・鎮火の神である秋葉山から火事を出すということから、他の範となり、他を戒める立場にある者が自ら過ちを犯すことのたとえです。

秋葉山は、秋葉山権現で静岡県周智郡春野町にある秋葉神社のことです。防火・鎮火の神として古くから信仰を集め、十二月十五、十六日の例祭は、「秋葉の火祭(秋葉祭)」として名高いものです。

「愛宕(あたご)から火を出す」「火消しの家にも火事」も同様の意味です。

7.秋毫之末(しゅうごうのすえ)

極めて僅かなこと、微細なもののことです。出典は「孟子」です。

「秋毫」とは、秋になり生え変わって出てくる獣の細い毛のことです。

8.秋日荒涼(しゅうじつこうりょう)

秋の物寂しい景色の形容です。

9.秋霜三尺(しゅうそうさんじゃく)

研ぎ澄まされた刀剣のことです。

「秋霜」は、秋の霜の厳しく冷たく光ることから、鋭い刀剣のことです。「三尺」は、刀剣の長さから、同じく刀剣のことです。

10.秋霜烈日(しゅうそうれつじつ)

刑罰・権威・節操・意志などが厳しく、また厳(おごそ)かなことのたとえです。

11.秋天一碧(しゅうてんいっぺき)

ただ青一色の、雲一つない秋空のことです。

12.秋風索莫(しゅうふうさくばく)

秋風が吹き、物寂しいさまのことです。

「秋風落莫(しゅうふうらくばく)」とも言います。

13.秋風蕭条(しゅうふうしょうじょう)

物寂しいさまのことです。

14.秋風冽冽(しゅうふうれつれつ)

秋風の厳しく冷たいさまのことです。

15.秋荒れ半作(あきあれはんさく)

秋に天候が荒れると、作物の収穫は半減するということです。

「秋上げ半作(あきあげはんさく)」は、秋の収穫時に雨が続くと、仕事が捗(はかど)らず収穫が半減すること、また秋上げの時期の天候が米作りの全期間の半分ほどの影響力を持つという意です。

なお「秋日和半作(あきびよりはんさく)」は、秋の天候の良し悪しで作物の収穫は半ば決まってしまうということです。

16.秋風と夫婦喧嘩は日が入りゃ止む

秋風が日暮れになると静まるように、夫婦喧嘩も夜になるとおさまるということです。

17.秋の雨が降れば猫の顔が三尺になる

秋は晴れた日より雨の日の方が暖かいので、猫も顔を長くして喜ぶということです。

18.秋の入り日と年寄りはだんだん落ち目が早くなる

年々衰える年寄りの健康状態を、急速に暮れていく秋の夕日にたとえた言葉です。

19.秋の扇

男性の愛を失った女性のたとえです。夏に重宝された扇も秋には必要なくなることからです。

20.秋の日と娘の子はくれぬようでくれる

秋の日は暮れないようでいて急に暮れるように、大事にされてきた娘も、嫁にくれないように見えて案外簡単にくれるものだということです。

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