同音類義語の使い分け(その2)食料と食糧、生育と成育、特長と特徴、稼働と稼動

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食糧と食料

発音は同じだが、互いに区別される語」である「同音異義語」(英語では「homophone(ホモフォン)」と言います)は、「いどう」(移動・異動・異同・医道など)、「かんし」(監視、看視、環視、冠詞、諫止、漢詩、菅氏など)、「きかん」(期間、機関、器官、気管、帰還、基幹、季刊など)のように日本語にはたくさんあります。

しかしこれらはそれぞれ全く意味が異なる言葉なので、使い方に迷うことはありません。

一方、「発音が同じで、意味もよく似た語」である「同音類義語」については、使い分けに悩むことも多いのではないでしょうか?

前に「同音類義語の使い分け(その1)事典と辞典と字典、製作と制作、更生と更正」という記事を書きましたが、ほかにもまだまだありますのでご紹介します。

1.食料と食糧

(1)食料

食料」とは、一般的な食べ物全般のことです。

具体的には、人間の害となる物質を含まず、栄養素を含んでいる食用の物質のことです。米、魚、肉、野菜、果物など、一般的に食べられるものは、性質を問わず「食料」です。

似た意味の言葉として「食品」がありますが、これは人が食べる品物のことです。人間により消費されることが前提となっています。「食料」は人間以外の動物にも使用することができます。

「食料」が使われる代表的な言葉としては、食料自給率があります。

「食料自給率」とは、国内で消費される食べ物のうち、国内で生産された食べ物の割合を示す数値です。以前は「食糧自給率」という表記がされていましたが、現在では「食料自給率」という表記が一般的になっています。

(2)食糧

一方「食糧」とは、食べ物の中でも特に米や麦などの主食となるもののことです。

「食糧」の「糧」という漢字は通常「かて」と読み、「携帯食」「生きていく上での活力の源」といった意味があります。そのため「食糧」には、「食料」よりも生きていくための資源としての食べ物・嗜好品ではない食べ物というニュアンスが含まれています。

資源としてのニュアンスが強く、貧困支援や災害時のために備蓄する食べ物は「食糧」になります。

2.生育と成育

(1)生育

生育」は、生まれ育つという意味ですが、主に植物が生えて育つこと・植物がおいたつことを意味します。

ただし「動物が生まれ育つ(=動物が成長して大きくなるさま)という意味のニュアンスも持っています。

(2)成育

成育」は、人間や動物などが大きく育つ、成長することを意味します。

余談ですが、「生育」や「成育」とよく似た言葉に「生長」と「成長」があります。「生長」は主に植物について使いますが、「成長」は「動物や植物が大きくなる」ことだけでなく「経済や産業・事業・会社などが大きくなる(経済成長・成長産業・成長株など)」という意味でも使われます。

3.特長と特徴

(1)特長

特長」は、他と比べた時に優れている点のこと を指します。   悪い意味で目立つものに対して「特長」は使われません。 そのため、他人に長所を押し出す際によく使われる表現です。

「特長」の「長」という漢字には「長(た)ける」「優れた」という意味があります。

他に比べて目立っている「特徴」の中でも、良い点だけのことを、「特長」という言葉で表現します。他と比べて目立っていても、それが悪い点である場合には使えません。

たとえば、「従来の物より電池の持ちが長く、水に強いのがこの製品の『とくちょう』だ」、と言う際には「特長」を用いるのが自然です。 従来の製品よりも優れている点を指摘しているからです。

(2)特徴

一方、 「特徴」は、良し悪しを別として、他と比べた時に目立っている点のこと を指します。

「特徴」の「徴」という漢字には「しるし」という意味があります。

良いか悪いかにかかわらず、他と比べて違っていること、目立っていることを指す場合に使う言葉です。つまり「特徴」は利点である場合も、欠点である場合も使えます。

4.稼働と稼動

(1)稼働

稼働」は、文字通り「かせぎはたらく」ことで、人や機械が働くことを意味する言葉です。

「稼働」には2つの意味があります。1つ目は「働くこと」という意味で、2つ目は「機械を運転する」や「機械が仕事をする」という意味です。

どちらも「働くこと」を意味していますが、1つ目は「人」が、2つ目は「機械」が働くことを表しています。たとえば「稼働人口」「稼働日数」という使い方の場合、「稼働」は「人が働くこと」を意味します。

ちなみに「働」という漢字は、日本で作られた漢字(国字)で、「稼」は本来、「(穀物などを)植える」または「(穀物などの)実り」という意味であって、「かせぐ」「かせぎ」というのは日本で付けられた訓(国訓)です。

(2)稼動

「稼動」にも2つの意味があります。1つ目は「働くこと」という意味で、2つ目は「機械を運転する」や「機械が仕事をする」という意味です。

「稼働」の「働」には「にんべん」が加えられていることから「人が働く」状況で使われ、「稼動」は「機械が働く」状況で使われます。

「(車両の)稼動率」「稼動施設」などと使います。

「なにが働くのか」によって使い分けがあるものの、実際には人間と機械の両方が働いていたり、どちらが働いているか判断しづらかったりするため一般的には「稼働」が使用されます。

新聞・放送の分野では、「稼働」に統一し、「稼動」は用いないことになっています。

なお、「稼働と稼動」とよく似た使い分けに「実働と実動」があります。

人が実際に仕事に携わって働くことの場合は「実働」と書き、「実働七時間の労働」などと使います。

一方、機械などを実際に運転することの場合は「実動」と書き、「実動台数」などと使います。

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