松山千春の「大空と大地の中で」という歌がありますが、確かに晴れた青空を見上げていると、どこまでも続いているように見えますね。
しかし、空は一体どこまで続いているのでしょうか?
1.空の果てとは
ここで言う「空」とは、「青い空」のことです。ということは、青い空が見えなくなるところが、「空」と「宇宙」(星のあるところ)の境目と考えられます。
まず、地上約10km。ここはち(8,850m)ょうどジェット機の飛行高度です。チョモランマ(エベレスト)の頂上(8,850m)より高いところです。ここでは人間はもう息ができません。そのくらい空気が薄いのです。しかし、上を見るとまだ空は青く見えています。ということはまだ空気はあるということです。
では、もう少し上空、地上100kmあたりです。このあたりまでくると、だんだん空が暗くなってきます。また、星も見えてきます。さらに上空、200kmのところまでくると、スペースシャトルが飛んでいます。もう完全にまわりは真っ暗です。空気もほとんどありません。つまり空からとびだしてしまったことになります。
このように、「空の果て(空と宇宙の境目)」は、およそ100~200kmの間にあると思えばいいでしょう。かなり大まかな数字になりますが、空気はあるところでぱっと無くなるのではなく、少しずつ無くなっていくものです。したがって、はっきりと、「ここまでが空」というような線を引くことはできないのです。
なお、200~300km上空でも、ほんの少しだけ空気は存在しています。また、厳密に測定すると1,000kmを越える上空でも、ごくわずかですが空気は存在します。
2.「大気圏」内の各層の名前と宇宙空間との境界線「カーマン・ライン」
(1)見上げて見える空の距離
見上げて見える空の距離は20km先だそうです。「見上げて」なので、頭を真上にして見える空の意味になります。ちなみに地平線の向こうに見える空の距離とは少し違う認識になります。
比較する建物など当然ながら身近にないのでピンと来ない高さです。唯一、同じ高さの「建物」ではなく、空に向かって上昇していく「宇宙エレベーター(軌道エレベーター)」というロケットの発射台があります。これはカナダの宇宙関連ベンチャーが取り組んでいるもので、まだ完成はしていないようですが発想がすごいですね。
驚くべきことにこの構想は、100年以上前に提唱されたものだそうです。ただし「イカロスの翼」や「バベルの塔」のように、うまく行かないのではないかと私は思いますが・・・
(2)「大気圏」内の各層の名前
宇宙の話でよく耳にする「大気圏」という言葉があります。地上からの距離でどこの層になるのか名前が付けれられています。
「対流圏」(*)から「外気圏」までが、「大気圏内」で、その外側は「大気圏外」の宇宙空間です。
(*)「対流圏」の高度は、高緯度地域で低く10キロメートル前後、熱帯地域では高く17キロメートルに達します。中緯度の大気をモデル化した標準大気では11キロメートルです
- 対流圏:高度0~9/17kmの範囲
- 成層圏:高度9/17~50kmの範囲
- 中間圏:高度50~80kmの範囲
- 熱圏:高度80~800kmの範囲
- 外気圏:800~1万kmの範囲
地上20kmは、大気圏では「成層圏」にあたります。「成層圏」は地球の環境問題でもよく耳にする「オゾン層」があるところです。
(3)宇宙空間との境界線「カーマン・ライン」
「カーマン・ライン( Kármán line)」とは、海抜高度100キロメートル(62.1マイル)に引かれた仮想のラインです。
国際航空連盟 (FAI) によって定められ、このラインを超えた先が「宇宙空間」、この高度以下は地球の「大気圏」と定義されます。
この高度に達した人工物および人間が宇宙飛行を行ったと認定されます。「カルマン線」とも言います。
「カーマン・ライン」の名は、ハンガリー出身の航空工学者・セオドア・フォン・カルマン(Theodore von Kármán, 英語読みで「カーマン」)(1881年~1963年)に由来します。