「人生の節目」を表す四字熟語(その3)「門出・旅立ち」

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衣錦之栄

門出・旅立ちを表す四字熟語には次のようなものがあります。

1.門出・旅立ち

(1)衣錦之栄(いきんのえい)

立身出世して、富貴になり、きらびやかな衣服を着て故郷に帰る栄誉のたとえ。

「錦」は、にしき。金糸銀糸などを用いて美しい文様を織り込んだ紋織物の総称。主に絹織物をいう。「錦にしきを衣るの栄えい」と読み下します。いわゆる「故郷へ錦にしきを飾る」こと。

(2)一路順風(いちろじゅんぷう)

ものごとが順調に進むこと。または、旅に出る人の安全を祈ることば。
「一路」はひたすらの意味。「順風」は追い風のこと。
船の航行が順調ということから。

(3)一路平安(いちろへいあん)

旅立つ人の道中の無事を祈っていう語。「道中ご無事で」の意。

「平安」は無事で穏やかなこと。平穏無事なこと。

(4)燕雀相賀(えんじゃくそうが)

新しい家の完成を祝う言葉。
家の軒の下に巣を作る鳥の燕や雀も、家の完成を祝うという意味から。
「燕雀相賀す」とも読みます。

(5)改過自新(かいかじしん)

自分の過ちを認め改めて、心をいれかえ再出発すること。
「改過」は自分の過ちを改めること。「自新」は気分を新しくすること。
「過ちを改め自ら新たにす」とも読みます。

(6)人間青山(じんかんせいざん)

世の中に出て、十分に腕を奮って活躍するならば、骨を埋める場所はどこにでもあるということ。志を果たすためには、故郷を出て活躍すべきだという意。

「人間」は、人の間(あいだ)すなわち世間のこと。「青山」は、墓のある山、死んで骨を埋める場所のこと。「人間(じんかん)到(いたる)処(ところ)青山(せいざん)有り」の略。

(7)心機一転(しんきいってん)

ある動機をきっかけとして、すっかり気持ちがよい方向に変わること。また、あることをきっかけに、すっかり気持ちや心をよいほうに入れかえること。

「心機」は心の働き・心のはずみ・気持ち。「一転」はまったく変わる、がらりと変わること。

(8)青雲之志(せいうんのこころざし)

徳を磨いて、立派な人物になろうとする心。また、功名を立て立身出世をしようとする心。

「青雲」は雲の上の青い空を意味し、高位・高官、立身出世のことをいう。

(9)洗心革面(せんしんかくめん)

改心して面目を新しくすること。
「洗心」は心の汚れを落として清めること。「革面」は顔つきをよりよくすること。
「心を洗い面を革む」とも読みます。

(10)前程万里(ぜんていばんり)

これから先の道のりが非常に長く遠いこと。また、その人物の前途に大きな可能性が広がっていること。前途が明るいこと。

「前程」はこれから先の道のり。「程」は道のり。「万里」はきわめて長い距離。

(11)前途有為(ぜんとゆうい)

将来、成功する可能性が大いにあること。

「前途」はこれから先の道のり、将来のこと。「有為」は、何か立派なことを行うこと。

(12)前途有望(ぜんとゆうぼう)

将来成功する可能性を大いに秘めているさま。

「前途」は将来、目標までの今後の道のり。「途」は道のり。「有望」は将来に望みをもつことができる状態。

(13)前途洋洋(ぜんとようよう)

今後の人生が大きく開けていて、希望に満ちあふれているさま。

「前途」は将来、目標までの今後の道のり。「途」は道のりのこと。「洋洋」は水があふれるように一面に満ちている様子。前途が大きく広がっていることを表す

(14)送故迎新(そうこげいしん)

前任者を見送り、後任者を迎えること。転じて、人を見送ったり迎えたりすること。

「故」は古い、以前の。「故(ふる)きを送り新しきを迎(むか)う」と訓読します。

(15)桑弧蓬矢(そうこほうし)

桑でできた弓と、よもぎでできた矢のこと。男子が志を立てるたとえ。また、その遠大な志のたとえ。

「弧」は弓。古代中国の諸侯は、男児が生まれると「桑弧」で「蓬矢」を天地四方に向けて射て、将来世の中に大きく羽ばたいてほしいと願ったことから

(16)竹苞松茂(ちくほうしょうも)

新築の家が完成したことを祝う言葉。
「竹苞」は竹の根のようにしっかりとした下部構造。
「松茂」は松の葉や枝のような上部の造りの見事さをほめ称える言葉

(17)万里之望(ばんりののぞみ)

高い官職や地位につきたいという望みのこと。
「万里」は非常に遠い距離のたとえ。
非常に遠くにある目的地に着きたいという意味から。

2.無事を祈る

(1)安穏無事(あんのんぶじ)

変事もなく、穏やかで安らかなさま。社会や暮らしなどの穏やかな様子をいう。

「安穏」は穏やかな様子。「穏」は「おん」とも読みます。

(2)無事息災(ぶじそくさい)

病気や災いなど、心配事がなく、平穏に暮らしていること。また、そのさま。

「息災」は災いを防ぎ止めること。「息」はやめる、しずめる意。「息災無事」とも言います。

(3)平穏無事(へいおんぶじ)

変わったこともなく穏やかなさま。

「平穏」は穏やか、安らかの意。変わった事がない意の「無事」に「平穏」を添えて意味を強調した語。「無事平穏」とも言います。

(4)無病息災(むびょうそくさい)

病気せず、健康であること。元気なこと。

「無病」は病気にかかっていないこと。「息」はやめる、防ぐ意。「息災」はもとは仏の力によって災害・病気など災いを除く意。転じて、健康で元気なさまを言います。

余談ですが、これとよく似た言葉に「一病息災(いちびょうそくさい)」があります。「無病息災」であるに越したことはありませんが、一つくらい持病がある人のほうが、病気もない健康な人よりもかえって健康に気を配り、長生きするということです。いわゆる「病抜け(やまいぬけ)」です。

私の母は若いころ大病をしましたが、現在99歳を超える長寿で、まさにこの言葉通りです。

普通「無病息災(むびょうそくさい)」がよいとされていますが、この「一病息災」もなかなか含蓄のある言葉だと私は思います。




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