日本語の面白い語源・由来(ろ-②)浪人・ロースト・廊下・ロンパリ・ロース・緑寿・蝋燭

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浪人

日本語の語源には面白いものがたくさんあります。

前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、語源を知ることは日本語を深く知る手掛かりにもなりますので、ぜひ気楽に楽しんでお読みください。

以前にも散発的に「日本語の面白い語源・由来」の記事をいくつか書きましたが、検索の便宜も考えて前回に引き続き、「50音順」にシリーズで、面白い言葉の意味と語源が何かをご紹介したいと思います。季語のある言葉については、例句もご紹介します。

1.浪人(ろうにん)

浪人

浪人」とは、「入学や入社の試験に不合格となり、次の試験に備えている人。また、その状態。職を失った人。主家を自ら去ったり、失ったりした武士」のことです。

本来の漢語では、本籍を離れ住みかを定めずさまよい歩く人、流浪人を「浪人」と言いました。

律令国家においては、租税の負担から逃れるため、本籍地から逃亡する者を意味しました。
中世以降は、主家から去ったり失うなどして、仕官ができずにいる武士を言うようになりました。この意味においては「牢人」とも書きます。

近世には、武士以外の者が職を失うことや、その失業者も「浪人」と言うようになりました。
現代では、近世以降の意味から派生し、主に入学試験に失敗した学生を「浪人」と呼び、就職に失敗して次に備えている者は「就職浪人」などと言います。

2.ロースト/roast

ロースト

ロースト」とは、「肉などをあぶり焼きにしたり、蒸し焼きにしたりすること。また、その料理。豆類を炒ること」です。

ローストは、英語「roast」からの外来語です。
「あぶり焼き」を意味するゲルマン祖語の「raustjan」が、12世紀にゲルマン系のフランク語「rostir(ロスティール)」となり、13世紀に英語に入り「roast」となりました。

一般的に「ローストチキン」や「ローストビーフ」など肉料理に用い、「あぶり焼き」や「蒸し焼き」を意味しますが、「ローストナッツ」のように「豆類をいる」の意味でも用いられます。

3.廊下(ろうか)

廊下

廊下」とは、「部屋と部屋をつなぐ細長い通路」のことです。

「廊」は殿舎から殿舎に通じる通路(渡殿)や、屋根・ひさしがある通路(渡り廊下)をいった語で、現代の「廊下」と基本的な意味は同じです。

その「廊」に「下」が付くようになった由来は未詳ですが、「屋根の下の通路」という意味が影響したか、「内側」の意味の「下」と思われます。

乗せたり掛けたりする意味の「架」を用いた「廊架」という表記も見られます。
「廊下」も「廊架」も和製熟語なので、「廊(ろう)」をいつしか「ろうか」と呼ぶようになり、当て字として「廊下」や「廊架」が使われるようになったとも考えられます。

4.ロンパリ

ロンパリ

ロンパリ」とは、「斜視を嘲っていう俗語」です。

ロンパリは、一方の目でロンドンを、もう一方の目でパリを見ている意味から。
1950年代に普及した語で、略した「ロンパ」という語も生まれました。

近年、「ロンパる」や「ロンパった」など、「ロンパリ(ロンパ)」を動詞化したした語も見られるようになり、自分自身に対して用いられることも多くなりました。

5.ロース

ロース

ロース」とは、「牛・豚・羊などの肩からにかけての背肉」のことです。

ロースは、英語「roast(ロースト)」の「t」が日本人には聞き取りにくいため、脱落して生じた語です。

ローストは「肉などを焼くこと」を意味し、肉の部位を指す言葉ではありませんが、ロースは「ローストに適した肉」の意味で用いられ、肩から腰かけての背肉を表すようになりました。

また、しゃぶしゃぶのように焼く用途でなくても、その部位であれば「ロース」と呼ばれ、「ロースト」の意味から独立した言葉となりました。

6.緑寿(ろくじゅ)

緑寿

緑寿」とは、「数え年で66歳の祝い」です。

緑寿は、還暦など他の長寿の祝いとは異なり、2002年9月に日本百貨店協会が提唱したものです。

一般的な定年が60歳から65歳、つまり数え年で66歳になりましたが、まだ介護が必要でもなく、現役世代と高齢世代の節目となる年齢で、新たな社会活動への参画を促すスタートラインに位置づけられました。

21世紀が「環境の世紀」といわれることから「緑」をイメージし、66歳なので「緑緑寿」となるところを簡潔に「緑寿」としたものです。

7.蝋燭(ろうそく)

ロウソク

ろうそく」とは、「糸や紙縒りを芯にして、蝋を固めた円柱状の灯火用具」です。

蝋燭は中国から渡来したもので、漢音は「らふしょく」といいます。
「らふ」は字音仮名遣いのため「らう」「ろう」と変化し、「しょく」は呉音で「そく」となりました。

中世頃には、蝋燭を「おらっそく」「らっそく」「らんそく」と呼んでいた例も見られます。
「蝋」は植物などからとる脂肪に似た物質のことで、「燭」は「明かり」を意味します。